中途半端な40、50、60ヤードのアプローチをきっちり打ち分けて寄せワン連発!
ラウンド中に40、50、60ヤードといった距離が残ることは意外に多い。アプローチとしては長く、ショットとしては短いこの中途半端な距離はどう対応すればいいのだろう。今回はツアープロ屈指の業師、河野晃一郎に1ピン以内にピッタリくっつけて、寄せワンが取れる秘訣を伝授してもらったぞ。
配信日時:2023年11月14日 02時28分
- 1.SWで「振り幅」を変えて距離を調整するのが正解!
- 【1】40ヤードの振り幅
- 【2】50ヤードの振り幅
- 【3】60ヤードの振り幅
- 【4】フィニッシュはコンパクトにおさめる
- 2.超ハンドファーストで打つと飛距離が一定になる
- 【1】左の手首の角度をアドレスから変えずに打つ
- 3.インパクト前後の50センチはフェースを真っすぐ動かそう
- 【1】左ワキに支点があるイメージでシャットに振ろう
- 4.「状況別」中途半端な距離の対処法を紹介!
- 【1】ラフからはカット軌道+10ヤード増の強さで打つ
- 【2】高さの打ち分けはフォローの大きさを変えるとカンタン!
- 【3】40ヤード・ノーマルの高さの打ち方
- 【4】40ヤード・高い球の打ち方
- 【5】40ヤード・低い球の打ち方
1.SWで「振り幅」を変えて距離を調整するのが正解!
10ヤードを打ち分ける距離感は繊細です。だからこそ、感覚ではなくて振り幅と番手(ロフト)を決めてオートマチックに打つことが大切。最も簡単なのは58度前後のSW(サンドウェッジ)を使うこと。SWだと最大でも70ヤードなので、50ヤード前後の距離に調整しやすい。これが52度のAWになるとフルショットで100ヤード飛ぶので、50ヤード前後を打とうとしても、パンチが入ると80ヤード飛んでしまいます。
【1】40ヤードの振り幅
40ヤードはノーコックで打てる距離。振り幅の目安としてはヘッドが腰の高さより少し大きいトップを作って、フィニッシュは腰の高さで止める。時計で言えば10時から3時。コックを使わないので両ヒジを曲げずに打つ方が距離感が安定する。
【2】50ヤードの振り幅
50ヤードを打つときの目安はシャフトを垂直に立てるところでトップをおさめること。腕のポジションとしては左腕が地面と平行になる高さ。40ヤードと比べると少しコックを使って、ヘッドを走らせる感覚で打ち、フォローはきっちり「2時」で止める。
【3】60ヤードの振り幅
60ヤードはスリークォーターの振り幅でOK。ただし、アマチュアはトップをスリークォーターにしてもフィニッシュはフルショットと同じになりやすい。フィニッシュは両ヒジを曲げずに伸ばしたままの高さで止めると、1時くらいでおさまる。
【4】フィニッシュはコンパクトにおさめる
振り幅では40・50・60ヤードでトップを3段階に分けるのはもちろん、ポイントはフィニッシュを小さくすること。アプローチでは左右対称に振ろうしても、フォローが流れてしまってフィニッシュが大きくなりやすい。フォローがダラダラと流れてしまうとインパクトも緩みやすい。フォローはビタッと止めるくらいの感覚で打つ方がインパクトが緩まず、振り幅とロフト通りの距離が打てます。
2.超ハンドファーストで打つと飛距離が一定になる
皆さんは40・50・60ヤードをSWで打つときにショートすることが多くないですか? それはロフトを寝かせているからです。SWでロフトが寝ると大幅に飛距離が落ちてしまいます。プロはロフトを立ててフェース全面でボールを押すように打つことで距離感を合わせています。
アイアンでも基本はハンドファーストインパクトですが、50ヤード前後のアプローチだとさらに手元を前に出して超ハンドファーストにしてロフトを立てるのが理想です。
【1】左の手首の角度をアドレスから変えずに打つ
3.インパクト前後の50センチはフェースを真っすぐ動かそう
50ヤード前後で方向性がズレてしまう一番の要因はフェースを急激に返そうとすること。フェースを返すとヒッカケが出てしまい、ヒッカケを怖がると開いて打ってしまう。この距離でピンに真っすぐ打つためにはインパクトゾーンの50㎝くらいはストレート軌道のままフェースをスクエアにキープすることが大切です。
60ヤードまではシャットフェースのスイングを意識すると、ロフトを立てたままストレート軌道で打ちやすくなります。
【1】左ワキに支点があるイメージでシャットに振ろう
4.「状況別」中途半端な距離の対処法を紹介!
【1】ラフからはカット軌道+10ヤード増の強さで打つ
ラフからでも「SWで振り幅を変える」という基本は同じですが、ラフは芝の抵抗があるから距離感が難しい。攻略法はカット軌道で打つこと。ストレート軌道やインサイドからの軌道だと芝の抵抗が大きくなり過ぎてしまいますが、カット軌道だと上からヘッドが入るので芝の影響を受けにくくなります。
ただし、それでも多少はラフの影響でヘッドスピードも初速も落ちてしまうので振り幅としては「+10ヤード」を想定して打ちましょう。
【2】高さの打ち分けはフォローの大きさを変えるとカンタン!
残り40ヤードでもピンが遠いなら低い球、バンカー越えなら高い球で攻めたいところ。高低の打ち分けはバックスイングとフォローの振り幅で調整するのが最も簡単。高い球を打ちたいときアイアンだとフォローを大きくしますが、58度のSWだとフォローを小さくして自然落下する感じでリリースしながらヘッドを落とすとロフトが寝るので球を上げやすい。SWで低い球を打ちたいときはフォローを大きくした方がヘッドスピードを加速させやすいので低い弾道でランが出るアプローチになります。
「ただSWの場合、低い球を打つのが一番距離感が難しいので、基本はノーマルか高い球で40ヤード前後は打ち分けよう」(河野)
【3】40ヤード・ノーマルの高さの打ち方
40ヤードの基本的な打ち方はバックスイングに対してフォローを1割くらい小さくする。キャリーが35ヤードに対してランは5ヤード前後。
【4】40ヤード・高い球の打ち方
高い球を打ちたいときはあえてバックスイングを大きくして、ヘッドの自然落下だけでボールを上げる感覚でOK。ランは3ヤード以内。
【5】40ヤード・低い球の打ち方
ロフト58度のSWで低い球を打ちたいときは、小さいバックスイングからフォローを大きくすることでヘッドが加速して強い打球のアプローチになる。
苦手意識を持つゴルファーの多い中途半端な距離ですが、打つためのポイントさえ押さえれば1ピン以内に寄せることは十分に可能。距離や状況に合わせて、振り幅を変えることで間違いなくチャンスが増えますので、ぜひコースで実践してみてください。
河野晃一郎
かわの・こういちろう/1981年生まれ。4年間、米国のミニツアーを転戦して、2007年に日本のプロテストに合格。2011年に「マイナビABC」でツアー初優勝を飾った