40歳以上で世界一飛ばす! ”レフティ”の沢柳慎也がクローズに立つ理由は「ロフトを立てる」ためだった!【ドラコン選手紹介】
今年の「ULD世界選手権」の40代以上の部を制したレフティ、沢柳慎也を紹介する。
配信日時:2024年11月19日 06時40分
今年の日本ドラコン界は盛り上がりをみせている。9月に行われた『ULD(Ultimate Long Drive)世界選手権』では日本選手権5連覇中の三隅直人が世界一に輝き、11月の『アジアドラコン選手権』では豊永智大がアジアNo.1の称号を手にした。彼らは何がきっかけでドラコンを始め、どんなことを意識して飛ばしているのか? 今回は三隅が優勝したULD世界選手権で40代以上の部を制したレフティ、沢柳慎也を紹介する。
1983年生まれの静岡県出身。もともとは野球少年で静岡県の古豪、浜松商業に進み、2年時(2000年)に甲子園出場を果たした。野球では右投げ左打ちで、父親も左用のクラブを使っていたため、「20代後半からそのまんまレフティでゴルフを始めました」。ドラコン競技に出始めたのは5年前の36歳のとき。「僕より飛ぶ人が周りにいなかったので、挑戦しようと思いました」と話す。
ヘッドスピードは「トラックマンで測定して良いときで65m/くらい」。地元静岡の朝霧カントリークラブで行われたドラコン大会でマークした415ヤードが最長飛距離だ。そのスイングは独特で、クローズスタンスでフェースをかぶせて構え、大きなフックで飛ばす。ここにレフティならではの理由があった。
「本当はロフト5度くらいのヘッドを使いたいんです」。右打ちではロフト5度前後のヘッドを手に入れることもできるが、左打ちではなかなか見当たらない。そこで、「スピンが抑えられて初速が出る」コブラの『DARKSPEED LS』のロフト9度のヘッドを、カチャカチャで1.5度立てて7.5度にし、フェースをかぶせることでロフトをさらに殺しているのだ。真っすぐ構えるとボールが引っかかって右に飛ぶため、クローズに構えてフックを打つ。
また、沢柳のスイングを正面から見ると、まず右足に乗って反動をつけ、左に乗りながら完全に右足を宙に浮かせ、大きなフットワークを使っているのが分かる。インパクトではアッパーにボールをとらえて、打ち出し角を上げている。本人は「イメージとしてはずっと引いている感じです」という。
「トップからフィニッシュまでの腕の力は“ゼロ”。ボールに合わせに行こうとすると手に力が入って、筋肉をつぶしてしまう。クラブの通り道をぼんやりとイメージしながら、腕は『でんでん太鼓』のように、軸が回って後から手が付いてくる。体で引っ張ってスピードを出しています」
だから普段から“引く”トレーニングを重点的に行っている。「ゴルフは上から引っ張るし、ヨコからも引っ張るし、下からも引っ張る動きもある。いかに効率よく体で振れるかを考えながら、いろんな角度から引っ張っています」。身長179センチで現在の体重は98キロ。「去年よりも10キロくらい増やして、今年の方がスピードが出ていますね」。限られた左用のクラブをテクニックとスピードでカバーして、世界でもトップクラスの飛距離につなげている。
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●身長174センチとドラコン選手では小柄な三隅直人はなぜ世界で活躍できるのか? 関連記事の【37歳の三隅直人が352ヤード飛ばしてドラコン世界一に輝く! 懸垂300回で「ヘッドスピード67~68m/s」】では、その飛距離の秘訣に迫っている。