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    上田桃子・吉田優利・渋野日向子らが実践 辻村明志「クラブの入口と出口の高さを揃えるとスイングが整う」【四の五の言わず振り氣れ】

    2007年の賞金女王・上田桃子をはじめ、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。長いシーズンを戦い抜くために、チーム辻村ではスイングを「整える」ことを重視するという。大切になってくるのは、後方から見たときの手やクラブの入口と出口だというが、その真相とは?

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年6月17日 05時00分

    • レッスン
    • 上田桃子
    • 吉田優利
    • 渋野日向子
    ダウンとフォローで手元とクラブが肩付近を通ると、スイングの精度がグッと上がる。シャフトの傾きも揃うように打つことが大切となる
    ダウンとフォローで手元とクラブが肩付近を通ると、スイングの精度がグッと上がる。シャフトの傾きも揃うように打つことが大切となる
    • 「反対にアウトサイド・インでは、入り口が高く出口は低い。後方から見て、その軌道が一直線にはなりません」と辻村は語る
    • ダウンで手元が肩の高さになったとき、左腕はほぼ地面と平行になる。この時、シャフトは立って入るのが理想。また、後方から見て軌道が一直線に重なるためには、出口でもシャフトは立って出ていく
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    2007年の賞金女王・上田桃子をはじめ、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。長いシーズンを戦い抜くために、チーム辻村ではスイングを「整える」ことを重視するという。大切になってくるのは、後方から見たときの手やクラブの入口と出口だというが、その真相とは?

    ダウンとフォローで手元とクラブが肩付近を通る 渋野のスイングを写真でチェック

    ◇ ◇ ◇

    過去の流行語のひとつに、「整う」があります。ボクも大好きなサウナの用語です。たっぷり汗を流した後に入る水風呂の爽快感を、見事に言い当てた言葉ですね。さて、ゴルフでも整えることはとても大事なこと。チーム辻村が合宿で特に何を整えるのかを紹介します。それは手元とクラブの入口と出口の位置です。真正面から見ると、ちょうど手元が肩から肩の動きになります。

    そのための練習が、徹底したスリークォーターショット。肩から肩の振り幅でスイングして、使用クラブは9番アイアン。フルショットより小さい動きを意識させ、真っすぐで強いライナーを打ちます。ボクがチェックするのは、まずは後方から。入口と出口での手元と腕、クラブがきちんと左肩付近に抜けて重なっているかどうかです。ちなみにインサイド・アウトでは、入口が低く出口は高い。反対にアウトサイド・インでは、入口が高く出口は低い。後方から見て、その軌道が一直線にはなりません。軌道も大事ですが、入口と出口の高さができるだけ同じで低いのが理想です。この辺もチェックします。

    もうひとつ後方からチェックするのが、シャフトの傾きです。ダウンで手元が肩の高さになったとき、左腕はほぼ地面と平行になります。この時、シャフトは立って入るのが理想です。また、後方から見て軌道が一直線に重なるためには、出口でもシャフトは立って出ていきます。ボクはこれをチェックします。

    ちなみに昨年話題になったシャローイング。切り返しからダウンで意識的にシャフトを寝かせるのが、流行していました。しかしチーム辻村の選手で、シャフトが寝た方が振りやすいという選手はいません。アマチュアが形だけをマネるのが危険だと感じる理由については後述しましょう。

    真正面からチェックするのは、入口と出口の距離です。手元は低く入って低く出て行きますが、同時にその距離がどれだけ長いか。腰から腰の間で手元が低く動く距離が長いほどインパクトゾーンも長くなります。また、腕は体の近くを通るのが理想です。より強くねじれの少ないボールが打てるようになります。

    合宿では、左足の前側に、飛球線前方のラインから上側1個から1個半の位置にペットボトルを置き、ヘッドがそれに当たらないように振らせたりもしています。アウトサイド・インの傾向がある人は、ペットボトルを右足の前、飛球線後方線上の同じ位置に置くのもいいでしょう。

    この連載でも登場していただいている、ジャンボ尾崎さんを支えた伝説のキャディの佐野木計至さん。シーズン中には、ボクのチームの選手の調子が悪いときにはよく電話をいただきます。その中によくあるのが「○○は最近、シャクリだしたな」というものがあります。シャクリというのは、ヘッドがアンダーから入る状態。ダウンで右肩が下がり正しく体重移動ができない、軸が右に傾く……といったスイングになります。その原因がどこにあるかは人それぞれ。肉体的な疲労もあれば、結果が出ない焦りなどもあるでしょう。そういう不調なときにこそ、整えることが大事です。

    では、どうやって整えるかといえば、まずは高くティアップしたボールを打つこと。ジャンボさんが、みかん箱の上にティアップしたボールを打ち続けたことは、すでに佐野木さんの証言で紹介しています。肩の高さを整えるのは、ジャンボさんの拘ったレベルスイングの基本であり、手元と腕、クラブの入口の高さを整えることにもつながります。

    そしてボクが選手たちにやらせているもうひとつの練習が、左足下がりの状態を作って、素振りをさせたりボールを打たせる練習です。具体的には練習場では、右足下にマットを1枚敷いて、それで振らせたり、打たせたりしています。体の重さとスイングで生まれたエネルギーを、そのままボールにぶつけるためには、軸が1ミリたりともブレてはならないからです。

    シャクリとは、この軸がブレたり傾いたりしながら、ヘッドが下から入るスイングに他なりません。しかし、これはインから下りるのでなく似て非なるアンダーだと考えています。もっといえば入口は低いが、出口は高い極端なインサイド・アウトです。これは、入口と出口の高さが違います。

    さて、先ほどボクはシャローイングには少し懐疑的だと書きました。ましてアマチュアの方がマネをするのは、多くの場合、危険が伴うと思っています。もちろんシャローイングの理論を否定するわけではありません。鍛え抜かれたPGAの選手であれば、可能なスイングかもしれません。

    しかし多くのアマチュアの場合、ダウンでシャフトを寝かすためには、手元でクラブを動かしたり、軸を右に傾ける以外にないような気がします。軸が右に傾いた時点で、それはシャクリでしかないでしょう。もうひとついえば、そこからPGAの選手のようにハンドファーストで打とうと思えば、軸が傾いたアマチュアではシャンクしか出ないと思うのですが、いかがでしょうか?

    ■辻村明志
    つじむら・はるゆき/上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導し、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。1975年福岡生まれ。元(はじめ)ビルコート所属。

    ※『アルバトロス・ビュー』838号より抜粋し、加筆・修正しています

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    辻村明志【四の五の言わず振り氣れ】

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