優勝者のスイング
“自然体アドレス”で復活Vの河本結「両腕ダランで軽く胸を広げる」【優勝者のスイング】
「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で5年ぶりとなるツアー2勝目を飾った河本結。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年8月13日 06時20分
「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で5年ぶりとなるツアー2勝目を飾った河本結。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
3打のリードを持って単独首位でスタートした最終日は、「73」とスコアを1つ落としたものの、後続とは1打差のトータル11アンダーで逃げ切った。QTランキング4位で挑んだ今季は、優勝する前までの20試合でトップ10入り12回と好調をキープ。2勝目は時間の問題と思われてきたなかでの復活優勝だった。
そのスイングについて南は、「以前はフェースローテーションが大きかったのですが、いまはそれが抑えられていてレベルに振っています。左に振ってフェードを打つ、絶対に左にいかせないフェードスイングなので、たとえボールが曲がっても大怪我にはなりにくい。それでいて飛距離も出ていて、パットも入っているのが好調の要因でしょう」と話す。
スタッツを見ると、パーオンホールの平均パット数が1位(1.7350)、平均バーディ数は4位(3.8473個)、平均ストロークも4位(70.2746)と、チャンスにつけ、パットを決めていることが分かる。
出場した試合の半数以上でトップ10入りし、平均ストロークも上位。抜群の安定感を生んでいるひとつの要素に「自然体なアドレス」がある。南は、「アドレスを見れば、大体どんな球を打つのかわかります。逆に言えば、アドレスを疎かにすると良い球は打てないわけで、『球が曲がる』、『思うような動きができない』と悩むなら、もう一度アドレスを確認するといいでしょう」と、アドレスの重要性を説く。
まずは目標に対し真っすぐ構えることからはじめたい。典型的なミスは右を向くことで、真っすぐ構えるには、クラブで3本のラインを作ってチェック。1本目はボールのところにターゲットを示すラインを、2本目はツマ先から10〜15センチ程度ボール寄りに、そして3本目はカカトの位置に。この3本のラインはすべて平行になるようにセットする。
「ターゲットラインは目線を乗せるためのもの。頭が大きく傾けば軌道も狂いやすくなりますから、目線を平行に保つチェックになります。ツマ先前のラインは、ヒザ、腰、肩のラインを合わせるもの。ドライバーでボールに対して構えれば肩が開きやすいので、しっかりとスクエアを意識します。さらにカカトに置いたクラブに、両足のカカトを付ければ、スクエアなアドレスの完成となります」
左右のツマ先の開き具合が違うのに、ツマ先のラインで合わせてしまうと、オープンスタンスやクローズスタンスになり、軌道がズレる原因となってしまうのだ。
もうひとつ、“自然体”に立つために大切なのが、後方から見たときの背中のラインだ。河本のように頭から腰のラインが一直線になるのが理想となる。「ボールをしっかり見ようとすれば猫背に、反対に姿勢を良くしようとすると反り腰になります。どちらもバックスイングでパワーを溜めることができません。自然体で構えるには、両肩をダランと落とし、腕が長い状態を作ったら、軽く胸を広げること。首が下がりにくくなって、頭から腰まで一直線で構えやすくなります」。
そのうえで、「軽くツマ先重心にすると反り腰になりにくくなります。足に力を入れず、歩き出せるような力感でアドレスし、後方から見て、肩の下にヒザが来るように、同じライン上にくるのが目安となります」。肩が前に出ればヒザが突っ張り、足に力が入ってヒザが曲がれば前傾が取りにくくなってしまう。
「日常生活から姿勢良くすることが、とても大切です。プレー中も歩く時に姿勢を正すことで、良いアドレスにつながります」。河本の日頃の積み重ねが、この優勝にもつながった。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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