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    【第8回】上田桃子の“ザ・レッスン” ピンを狙うライン出しアイアン#3「ホースでしなりを待つ」

    上田桃子は「コースに出たらアイアンは9割以上がライン出しショット」だと言う。確実にグリーンをとらえピンそばにボールを運ぶ、このライン出しショットではフルショットよりも振り幅が抑えられるが、シャフトを正しくしならせることが重要だ。このしなりを待つことができないと、ラインが出たとしても飛ばないボールとなってしまう。「しなりを待つ」とは?

    配信日時:2021年10月13日 03時00分

    • レッスン
    • 上田桃子
    • アイアンレッスン
    • ライン出し
    目次 / index
    • 正しいシャフトのしなりを覚えるために、上田はゴムホースを振って練習をしている。トップで体に巻き付いたゴムホースが、インパクトで伸び切り、フォローからフィニッシュで再び体に巻き付く
    • 腕の力で振り下ろしていると、ゴムホースは暴れてインパクトで伸びない
    • ゴムホースはホームセンターなどで売っているもので十分。先端にゴムなどのおもりをつけて使用する。タオルでも代用できるが、ゴムホースのほうが重さがあって感覚をつかみやすい
    • クラブの重さを感じるには、腕の力を抜いて脱力することが大事。ただし、足裏、おしり、おなかの3点が安定していなくてはいけない。足裏で地面に圧をかけ、おしりに張りを持たせ、おなかを締めて体の内側に力をたくわえる
    • ホースの先端の動きを感じながら体を回す。トップでホースが体に巻き付いた状態のまま、下半身から動き始めて振り下ろす。それには上体を閉じたまま、待つことが大事
    • 腕の力で振り下ろしたり、上体が突っ込むとシャフトはしならない。上体を閉じたまま、左サイドを開かず、腕が下りてくるのを待つことが大事。自分が頑張って動きすぎると、クラブと体の動きが同調しない。この動きを知るために、ゴムホースを振る
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    体を閉じてクラブを下ろす

    正しいシャフトのしなりを覚えるために、上田はゴムホースを振って練習をしている。トップで体に巻き付いたゴムホースが、インパクトで伸び切り、フォローからフィニッシュで再び体に巻き付く
    腕の力で振り下ろしていると、ゴムホースは暴れてインパクトで伸びない
    ゴムホースはホームセンターなどで売っているもので十分。先端にゴムなどのおもりをつけて使用する。タオルでも代用できるが、ゴムホースのほうが重さがあって感覚をつかみやすい
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    正しいシャフトのしなりを覚えるために、上田はゴムホースを振って練習をしている。トップで体に巻き付いたゴムホースが、インパクトで伸び切り、フォローからフィニッシュで再び体に巻き付く
    クラブを短く持って、ボールの近くに立ち、振り幅を抑えて振っても、シャフトをしっかりしならせることが重要です。シャフトが正しくしなっていないと、たとえラインが出たとしても番手なりの飛距離が出ません。結果、グリーンの手前にショートするか、曲がり球となってしまいます。そのシャフトの動きを体で覚えるために、私はゴムホースで素振りをしています。

    シャフトをしならせるには、クラブの重さを感じることが最も大事です。ゴムホースも同じ。まず、アドレスで脱力すること。ただし、力を抜くといっても誰かに押されてぐらつくようなアドレスでは、体の回転でクラブを振ることができません。足裏、おしり、おなかの3点を安定させて、おへそから動き始めるようにしてください。おへそから動けば、腕の力は不要。手が何もしなくても、クラブもゴムホースも動きます。ゴムホースは先端から動き始めることはありません。おへそが動くから、ホースの先端、クラブだったらヘッドが動く。このちょうどいい脱力感とおへそ始動を知る意味でも、ゴムホースの素振りは効果があります。
    クラブの重さを感じるには、腕の力を抜いて脱力することが大事。ただし、足裏、おしり、おなかの3点が安定していなくてはいけない。足裏で地面に圧をかけ、おしりに張りを持たせ、おなかを締めて体の内側に力をたくわえる

    クラブの重さを感じるには、腕の力を抜いて脱力することが大事。ただし、足裏、おしり、おなかの3点が安定していなくてはいけない。足裏で地面に圧をかけ、おしりに張りを持たせ、おなかを締めて体の内側に力をたくわえる

    ゴルフは体を回転させてクラブを振るため、ボールを見ようとして体が先にいってしまいがちです。私自身もそういう癖があるのですが、遠心力に負けてついつい体を開きたくなるのです。でも、シャフトを正しくしならせるには、体を閉じた状態でクラブを振り下ろすことが大事。つまりクラブが下りてくるのを“待つ”ことが重要です。その“待つ”を知るには、ゴムホース素振りはうってつけ。ホームセンターで売っているゴムホースで十分なので、ぜひ試してください。
    ホースの先端の動きを感じながら体を回す。トップでホースが体に巻き付いた状態のまま、下半身から動き始めて振り下ろす。それには上体を閉じたまま、待つことが大事

    ホースの先端の動きを感じながら体を回す。トップでホースが体に巻き付いた状態のまま、下半身から動き始めて振り下ろす。それには上体を閉じたまま、待つことが大事

    おへそから動き始めてホースを振り上げたら、トップでは上体にゴムホースが巻き付きます。その巻き付いたゴムホースの先端が動くのを上体を閉じたまま待ち、遠心力を先端に伝えるイメージを持って振り下ろしてください。ダウンスイングでもおへそから動き出す意識を持つなど、下半身から切り返しましょう。腕の力は必要ありません。
    腕の力で振り下ろしたり、上体が突っ込むとシャフトはしならない。上体を閉じたまま、左サイドを開かず、腕が下りてくるのを待つことが大事。自分が頑張って動きすぎると、クラブと体の動きが同調しない。この動きを知るために、ゴムホースを振る

    腕の力で振り下ろしたり、上体が突っ込むとシャフトはしならない。上体を閉じたまま、左サイドを開かず、腕が下りてくるのを待つことが大事。自分が頑張って動きすぎると、クラブと体の動きが同調しない。この動きを知るために、ゴムホースを振る

    スイングは円運動です。その円を考えたとき、体の回転は小さくてクラブの動きは大きくなります。この小さな体の回転とクラブの大きな円の動きを同調させないと、スイングの円運動は成り立ちません。腕の力を使ったり上体が突っ込んでしまうなど、自分が頑張って動いてしまうとクラブと体の動きが連動しません。そのためにも、ゆったり振ることが大事です。私はコースでクラブを振るときの3倍くらい遅いイメージでゴムホースを振ります。

    速く振ることが高い技術だと思っているアマチュアの方が少なくありませんが、ゆっくり振ることこそが高い技術です。ゆっくりと下りてきて、しなり戻りを使いながらインパクトから速くなる、スローイン・ファーストアウトが理想です。ダウンスイングで腕が早い段階で伸びるのはNG。上体を閉じたまま腕が下りてくるのを待ちましょう。ワキが締まっていても動きが固まらず、しなりを感じて振り下ろすことができます。

    手元が腰の高さにフォローが出るまで前傾姿勢をキープ

    フォローで上体が起き上がると、つかまったボールが打てない。手元が腰の高さにフォローが出るまで前傾姿勢をキープする。「切り返しからしっかり左股間に乗って踏ん張れば、前傾は起き上がりません」と辻村明志コーチ

    フォローで上体が起き上がると、つかまったボールが打てない。手元が腰の高さにフォローが出るまで前傾姿勢をキープする。「切り返しからしっかり左股間に乗って踏ん張れば、前傾は起き上がりません」と辻村明志コーチ

    ダウンスイングでヘッドが遅れるようにシャフトをしならせて下りてきたクラブが、インパクトでしなり戻ってしっかりボールをつかまる。それにはフォローで手元が腰の高さに出るまで前傾姿勢をキープすることが大事です。前傾姿勢が起き上がってしまうと、ヘッドのトウが下がってフェースが開くトウダウン現象が起きて、ボールをつかまえることができません。

    極端かもしれませんが、手元が腰の高さにフォローが出るまで左サイドを閉じたままガマンするイメージを持ってください。左足裏で地面を踏み続ける意識を持つといいでしょう。この動きも、ゴムホース素振りでつかむことができます。
    ■上田桃子(右)
    うえだ・ももこ 1986年6月15日生まれ、熊本県熊本市出身。2005年プロテスト合格。07年賞金女王獲得。同年ミズノクラシックで優勝を遂げ、米ツアーの出場権を獲得。08年から主戦場を米ツアーに移す。14年から日本ツアーに復帰。アイアンの分厚いインパクトは男子プロも顔負けで、女子ツアーきってのショットメーカーである。ZOZO所属。

    ■辻村明志
    つじむら・はるゆき 1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後は上田桃子、小祝さくら、山村彩恵、松森彩夏らを指導。

    取材協力・丸山ゴルフセンター(千葉県) 撮影・米山聡明
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