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    【第11回】令和のベン・ホーガン・植竹希望の本人スイング解説#1「低いトップなら絶対オーバースイングにならない」

    1998年度生まれの黄金世代。植竹希望といえば、ツアー屈指の美しいスイングの持ち主。女子離れしたタメの深いダウンスイングは、1940〜50年代に活躍しゴルフスイングの教科書といわれたベン・ホーガン(米国)を彷彿とさせる。そんな植竹がリモート取材に応じ、スイングでこだわっているポイントについて語ってくれた。 <br><br> 連続写真撮影/福田文平

    配信日時:2021年10月25日 03時00分

    • レッスン
    目次 / index
    この記事の写真 42 枚を見る

    植竹希望がリモート取材でスイングをセルフ解説

    ジョン・ラームのようにコンパクトで速い切り返しに、セルヒオ・ガルシアのようなダウンスイングでの深いタメ。女子プロ離れした切れ味鋭いショットを武器に、初めて賞金シードを確定させた植竹希望。本人に自分の連続写真を見てもらいながら、リモート取材でそのスイングの核心に迫る!
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    トップが低いから、インパクトで手元が浮かない

    低くてコンパクトなトップを作ることで、インパクトでは手元が体の近くに下りてくる

    低くてコンパクトなトップを作ることで、インパクトでは手元が体の近くに下りてくる

    ――植竹プロのスイングをインスタで初めて見たときに、インパクトでまったく手元が浮いていなくてすごいと思いました。こんなに手元が浮かない女子プロはなかなかいないですよね。

    植竹 これは意識してないですけど、右ワキをきつく締めて、右ヒジを体から離さないようにしたら多分…浮かなくなると思います。手元を低くしようと意識するのではなくて、五木ひろしサンじゃないですけど(笑)、右ヒジがあんまり体から離れないようにしています。あと稲見萌寧ちゃんも右ヒジがあまり体から離れていないですよね。

    ――ショートアイアンはもっとすごいですよね。

    植竹 私、アイアンは右のモモに当たっています。

    ――それはすごい! うらやましい。やっぱりトップのときに手元があまり高くないから手元を低い位置に下ろしやすいんですか?

    植竹 それは絶対ありますね。もともとトップはすごくアップライト(手元が高い)だったんです。証拠にあとで昔のスイングの動画を送りますよ。

    高校生のときは、一日OB打たなかったら奇跡

    左が曲がり倒した高校2年生のときで、右が現在のトップ。違いは一目瞭然だ

    左が曲がり倒した高校2年生のときで、右が現在のトップ。違いは一目瞭然だ

    ――確かに比べてみると全然違いますね。

    植竹 高校生のときはすごくアップライトで、手首をたくさん使って上から引っぱたくスタイルだったんです。いまと真逆ですね。体を使っている感じはあまりなかった。そのときの動画を見ると、右ワキがテークバックのときにガラガラに空いている状態だったので、飛距離はいまより20ヤードくらい飛んでいたんですよ。だけど曲がりすぎてお話にならなかったですね。一日にOBを一回も打たなかったら奇跡みたいなゴルフだったので。

    ――それが今年はフェアウェイキープ率14位!(10月25日時点)

    植竹 はい。ワキの意識が強いので勝手に低くなりました。

    ――ワキの意識が大事なんですね。

    植竹 両ワキにティを挟んでトップを上げる練習をしていたら、勝手にみんなこうなります。

    ――本当ですか(笑)?

    両ワキにティを挟む練習でオーバースイングが直った


    シーズン終了後に、実際に両ワキにティを挟んでドライバーを打ってもらうと、本当に落ちなかった
    植竹 絶対なります。特に右ワキです。今でも練習では両ワキにティを挟んで、ずっとフィニッシュまで落ちないように打つ練習をするんですけど、アマチュアの方にレッスンするときもそれはよく教えていました。

    ――そもそもフィニッシュまで落とさないことは可能なんですか?

    植竹 可能です。体の捻転差が使えない人はティを挟んで打てないんですよね。どっかで緩めて打たないといけないので。体が上手く使えて切り返しで捻転差がある人は、この練習が得意です。捻転差が作れない人には、ティを両ワキに挟む練習をオススメしています。

    右足前まではフェースをシャットに上げる

    カメラのレンズやアングルもあるが、このときは少しフェースを開いて上げてしまっている

    カメラのレンズやアングルもあるが、このときは少しフェースを開いて上げてしまっている

    ――切り返しの話はまたのちほど。バックスイングで気を付けていることはありますか?

    植竹 この日本女子プロ選手権の練習日は調子が悪かったので、できていないんですけど、右足前まではフェースを開かないようにシャットに上げる意識はしています。写真ではちょっと開いていますが、試合中に修正して3日目、4日目に良くなった(最終4位)。右手でペラって上げてしまう癖があるので、それを抑えるためですね。

    ――始動を体で上げればクラブが外れないということですよね?

    植竹 そうですね。胸の前から極力ヘッドの重みが外れないように打ちたい。男子プロでも調子が悪くなると、「ヘッドがどこにあるかわからなる」って言っていますよね。私も調子が悪いと、どっかでワキが緩んでタイミングが外れちゃう。だから両ワキにティを挟んで打つ練習をするんです。

    右ヒジをたたむバックスイングで、右ワキが空かない

    植竹は猿腕のため、右ヒジを伸ばして上げているように見えるが、本人はたたむことで右ワキが空かないようにしている

    植竹は猿腕のため、右ヒジを伸ばして上げているように見えるが、本人はたたむことで右ワキが空かないようにしている

    ――バックスイングでは右腕をたたむ意識? 伸ばしたまま上げる意識?

    植竹 私はたたんじゃいます。写真では伸ばしているように見えますけど、伸ばしっぱなしだと右ワキが空いてしまうので、極力、右ヒジをうまく使いたいなと思っています。

    ――トップが低いから絶対にオーバースイングにならないですよね?

    植竹 ならないですね。もともとオーバースイングだったんですけど、こうやって見ると昔と全然スイングが違いますね。

    (続く)
    撮影:鈴木祥

    撮影:鈴木祥

    ■植竹希望
    うえたけ・のぞみ 1998年7月29日生まれ。東京都出身。身長170センチ。“希望”と書いて“のぞみ”と読む名前の由来は、87年公開の中山美穂主演のドラマ「おヒマなら来てよネ!」の主人公、佐竹希望から。お父さんが中山美穂のファンだったため、男の子だったら希望と書いて“のぞむ”になる予定だった。その女子プロ離れした鋭い切り返しと深いタメは、「ジョン・ラームさんとセルヒオ・ガルシアさんを半々にした感じってよくいわれます。でもスイングの見た目が一番好きなのはザンダー・シャウフェレさんなんです」と本人は語る。その3人のほかには、タイガー・ウッズやジャスティン・トーマス、アダム・スコットなど、米ツアーのトッププロたちのスイング動画を研究して、独学でスイングを作り上げた。

    ■植竹希望 プロフィール&成績
    ■植竹希望 特選フォトギャラリー
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