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    【第13回】令和のベン・ホーガン・植竹希望の本人スイング解説#3「球を押せるインパクトは〇〇が動かない」

    1998年度生まれの黄金世代。植竹希望といえば、ツアー屈指の美しいスイングの持ち主。女子離れしたタメの深いダウンスイングは、1940〜50年代に活躍しゴルフスイングの教科書といわれたベン・ホーガン(米国)を彷彿とさせる。そんな植竹がリモート取材に応じ、スイングでこだわっているポイントについて語ってくれた。 <br><br> 連続写真撮影/福田文平

    配信日時:2021年10月29日 03時00分

    • レッスン
    • 植竹希望
    目次 / index
    この記事の写真 42 枚を見る

    植竹希望がリモート取材でスイングをセルフ解説

    ジョン・ラームのようにコンパクトで速い切り返しに、セルヒオ・ガルシアのようなダウンスイングでの深いタメ。女子プロ離れした切れ味鋭いショットを武器に、初めて賞金シードを確定させた植竹希望。本人に自分の連続写真を見てもらいながら、リモート取材でそのスイングの核心に迫る!
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    ハンドファーストになりすぎないように意識

    ――前回の体を三等分して、真ん中だけ行くけど、上と下は残すという植竹プロ独自の考え方は面白かったですね。今回はインパクトについて聞いていきたいと思います。どんなことをイメージしていますか?

    植竹 試合中は足と足の間だけすごく意識しています。例えば、フェードを打ちたいときにはボールを左足寄りに置いて、ボールに近づいて構えるんですけど、足と足の間では外めから入れて、フェースを開かないようにちょっと左に打ち出したい。ボールを左に置いていれば、絶対にフェースはかぶって当たるはず。それでもピン方向にどうしても手が出て行きやすいんです。だから頑張ってフェースを閉じた状態でインサイドに出すことを意識しています。
    ハンドファーストになりすぎないようにインパクトし、『ズーン』と球を長く押す

    ハンドファーストになりすぎないようにインパクトし、『ズーン』と球を長く押す

    ――写真を見ると、ドライバーでもハンドファーストに見えるんですけど、その辺りはいかがですか?

    植竹 低い球を打つとき以外、ハンドファーストのイメージはまったくないです。ハンドファーストに当てたいっていう人がよくいるんですけど、私がそれを意識してしまうと、手がどんどん先行して、逆にフェースが開いてペラ球(弱々しい球)になっちゃう。

    ――ハンドファーストに打てないアマチュアにはない悩みですね。

    音で例えると『パチン』ではなく『ズーン』

    植竹 ヘッドの重みが感じられるギリギリまでのハンドファーストというか…言い方が難しいですね…うーん…球を押す感覚がなくならないようにはしています。音で例えると『パチン』ではなく『ズーン』と長く押す感じが出ているときはメチャクチャ調子が良いです。フェースに球が長く乗るからドローもフェードも打てるんです。

    ――この写真では球を押せていますか?

    植竹 ボールを打った後に、これよりもヘッドがもうちょっと下にあるときがあるんです。

    ――もっと低く長いフォローで球が押せている?

    植竹 逆ですね。それがペラ球を打っているときです。手元がもっと先行して右手首が折れちゃっていたら、もう右に吹かしていますね。この写真ではヘッドがちゃんとフォロースルーで戻ってきているので球は押せている。多分ギリギリ間に合っているくらいだと思います。

    ――インパクトでの体重配分は5:5くらいですか?

    植竹 実際に測ったことはありませんが、意識は右足体重ですね。

    ――だから頭が右に残って、いわゆるビハインド・ザ・ボールで打てるんですね。

    “鎖骨の少し上”を支点にしてスイングする

    頭ではなく鎖骨の少し上とボールとの位置関係を崩さなければ、ビハインド・ザ・ボールでボールを強く押せる

    頭ではなく鎖骨の少し上とボールとの位置関係を崩さなければ、ビハインド・ザ・ボールでボールを強く押せる

    植竹 このときは調子が悪くて、頭が右に残りすぎていますけど、本当に調子がいいときは、もう少しアドレスの位置に近いところに頭がある。私は鎖骨のちょっと上のところと、ボールとの位置関係がいつも変わらないように意識していて、これはあまり良いショットではなかったかもしれないです。

    ――「頭を動かさない」ではなく、「鎖骨の上を動かさない」なんですね。

    植竹 頭が動かなくても、背骨のラインはがズレてしまうことがあります。胴体にある鎖骨のちょっと上を支点にしたほうが背骨のラインは崩れません。でも人によっては体の前側よりも後ろ側、背中を意識したほうがいい人も絶対いると思うんです。男子プロとは「あの人は背中で意識した方がスイング良くなりそうだよね」とか、PGA選手の練習風景を見ながら「こういうふうに使いたいんだろうね」って話をするのがすごく楽しくて、そのせいでオタクっぽくなっちゃったんですけど(笑)。

    ――アマチュアこそスライスで悩んでいる人が多くて、ペラペラした球から抜け出せません。胴体にスイングの支点を置けば、ボールはつかまりますかね。

    アドレスの前傾のままフィニッシュを取るとスライスしない

    アドレスの前傾角度をフィニッシュまで保てば、ボールがつかまる
    山口すず夏もフィニッシュまで前傾角度が崩れない
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    アドレスの前傾角度をフィニッシュまで保てば、ボールがつかまる
    植竹 前にも言ったかもしれませんけど、右ワキをきつく締めて、右ヒジを体から離さないようにしたら、インパクトで手元が浮かないのでフェースは開きにくくなると思います。あと私はけっこう猿腕なので、それもあって手元が浮かないで済んでいるのかもしれません。

    ――そして、前傾キープもできている。

    植竹 誰だろうな…山口すず夏ちゃんもスイングを後ろから見ると、アドレスの前傾姿勢のまんまフィニッシュを取るんですよ。あれがペラ球防止に一番いい打ち方だと思っています。

    ――確かに山口プロもドライバーショットが本当に正確です。次回は、植竹プロのスイングの一番の特徴ともいえる『深いタメ』について教えてください。

    (続く)
    撮影:鈴木祥

    撮影:鈴木祥

    ■植竹希望
    うえたけ・のぞみ 1998年7月29日生まれ。東京都出身。身長170センチ。“希望”と書いて“のぞみ”と読む名前の由来は、87年公開の中山美穂主演のドラマ「おヒマなら来てよネ!」の主人公、佐竹希望から。お父さんが中山美穂のファンだったため、男の子だったら希望と書いて“のぞむ”になる予定だった。その女子プロ離れした鋭い切り返しと深いタメは、「ジョン・ラームさんとセルヒオ・ガルシアさんを半々にした感じってよくいわれます。でもスイングの見た目が一番好きなのはザンダー・シャウフェレさんなんです」と本人は語る。その3人のほかには、タイガー・ウッズやジャスティン・トーマス、アダム・スコットなど、米ツアーのトッププロたちのスイング動画を研究して、独学でスイングを作り上げた。

    ■植竹希望 プロフィール&成績
    ■植竹希望 特選フォトギャラリー
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