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【第14回】令和のベン・ホーガン・植竹希望の本人スイング解説#4 “深いタメ”を生む切り返しと“手首のヒンジ”

【第14回】令和のベン・ホーガン・植竹希望の本人スイング解説#4 “深いタメ”を生む切り返しと“手首のヒンジ”

1998年度生まれの黄金世代。植竹希望といえば、ツアー屈指の美しいスイングの持ち主。女子離れしたタメの深いダウンスイングは、1940〜50年代に活躍しゴルフスイングの教科書といわれたベン・ホーガン(米国)を彷彿とさせる。そんな植竹がリモート取材に応じ、スイングでこだわっているポイントについて語ってくれた。 <br><br> 連続写真撮影/福田文平

配信日時:2021年11月16日 07時00分

植竹希望がリモート取材でスイングをセルフ解説

ジョン・ラームのようにコンパクトで速い切り返しに、セルヒオ・ガルシアのようなダウンスイングでの深いタメ。女子プロ離れした切れ味鋭いショットを武器に、初めて賞金シードを確定させた植竹希望。本人に自分の連続写真を見てもらいながら、リモート取材でそのスイングの核心に迫る!

肩甲骨と手首の柔軟性+猿腕で、強い“タメ”が自然発生

肩甲骨と手首の柔軟性に加え、猿腕という体の特徴が強いタメを生む1つの要因となっている

肩甲骨と手首の柔軟性に加え、猿腕という体の特徴が強いタメを生む1つの要因となっている

――前回は『ズーン』と長く押していくインパクトのポイントを聞いていきました。今回は植竹プロのスイングの代名詞ともいえる『深いタメ』について教えてください。

植竹 ダウンスイングがけっこうすごいってよく言われるんですけど、すいません…これは無意識にやっちゃっています。

――といいますと?

植竹 深くたまっちゃう理由として、私は肩甲骨と手首がかなりやわらかいんですよ。それに私は“猿腕”がきつめなので、勝手になっちゃうんです。やわらかすぎて逆に固められない。この下ろしかた以外は現状できません。

――ではタメをほどく下ろし方もトライしたんですか?

植竹 もうゴルフにならない(笑)。もともと早く下ろそうと思って、そういう練習をしてきたんですけど、合わないことがわかって、諦めて練習していたら、このかたちに定着したという感じです。ウフフフフ。

トップからダウンで右ワキと右ヒジを一気に近づける

切り返しのクラブを引きつける動きが、タメを作るポイント

切り返しのクラブを引きつける動きが、タメを作るポイント

――植竹プロにはない悩みかもしれないですけど、アーリーリリースのアマチュアが、タメを作るにはどうしたらいいでしょうか?

植竹 トップからダウンスイングで右ワキを一気に締め上がるようなイメージはあります。右ワキと右ヒジを一気に近づける感じですね。ダウンスイングでは右ワキの締め具合と、球を出していく肩のライン、右足のツマ先に重心を乗せること(第12回を参照)を意識していますね。

手首をヨコに使う“ヒンジ”で、ボールが押せる!

手首をタテに使う“コック”はではなく、ヨコに使う“ヒンジ”によって、フェースローテーションを抑えている

手首をタテに使う“コック”はではなく、ヨコに使う“ヒンジ”によって、フェースローテーションを抑えている

――なるほど。前に言っていた、両ワキにティペグを挟んだまま打つ練習もそこにつながってきそうですね(第11回を参照)。それから植竹プロのスイングは、あまりフェースローテーションをしないなと思ったんですが、返す意識はありますか?

植竹 フェースを返そうとはしていません。調子が良いときは結果的に返っていますね。

――手首の使い方を見ると、ターンさせて返すのではなく、左手の背屈というか“ヒンジ”の動き(手首をタテ方向ではなく、ヨコ方向に折る)を使っていますよね。

植竹 はい。そういうイメージのほうが多いです。手首のタテのコックをみんな言いますけど、いまのクラブってタテのコックだとボールが擦れちゃうんですよね。球離れが早すぎて、ボールが滑っちゃう。それで手首をヨコに使う動きでもいいんじゃないかとやっていたら、ボールを押せるようになったので、これはこれでもいいのかもと思って、勝手にやっています(笑)。人にはあまり言っていないんですけど。

――その方がフェースローテーションを抑えられて、ボールを押せますよね。

タテのコックを積極的に使うとイップスになりやすい、かも

バックスイングでもフォローでも、手首をタテに使う“コック”を抑えている

バックスイングでもフォローでも、手首をタテに使う“コック”を抑えている

植竹 体を使っていればいいんじゃないと思っています。それに、タテのコックを積極的に使う人ってイップスになりやすいイメージがある。私の勝手なイメージですけど。私はまだアプローチのイップスが完全に直ってないですけど、もともとみんな細かい動きが得意だったはずなんですよ。

アプローチはもともと自分が一番上手いと思えるくらい本当に得意だったんですけど、いまはこうなっちゃってあんまり打ててない。どっからでも寄せる自信があったときは、試合でも手首で上手く調整したりとか、緩ませて打ったり、強めに入れたりとか、何でも自由が利いたんですよ。だけどある日突然、ギャラリーの人に「下手くそ」って言われて一回失敗して、それから動かなくなっちゃった。

――いまはどうやって試合で戦っているんですか?

植竹 手の感覚が強すぎる人はイップスになりやすいから、手首の意識はショットでも外した方が良いかなと思って、極力考えないようにはしているんです。今はこうなっているっていう課程はあるんですけど、スイング自体ではあまり動かさないようにしています。先々怖いので。良くなって来た後が一番怖いなと思って。

ショットメーカーとして、いま一番こだわっている数字は?

――全部一番になりたいといわれていましたが、そのなかでも一番こだわっている数字はありますか?

植竹 『ボールストライキング』ですかね。やっぱりフェアウェイキープ率、飛距離、パーオン率とショットの総合的な数字だと思うので、いまの女子ツアーで上に居続けるには大事になってくるんじゃないかと思います。

――これからも切れ味鋭いショットを期待しています。きょうは本当にありがとうございました。
撮影:米山聡明

撮影:米山聡明

■植竹希望
うえたけ・のぞみ 1998年7月29日生まれ。東京都出身。身長170センチ。“希望”と書いて“のぞみ”と読む名前の由来は、87年公開の中山美穂主演のドラマ「おヒマなら来てよネ!」の主人公、佐竹希望から。お父さんが中山美穂のファンだったため、男の子だったら希望と書いて“のぞむ”になる予定だった。その女子プロ離れした鋭い切り返しと深いタメは、「ジョン・ラームさんとセルヒオ・ガルシアさんを半々にした感じってよくいわれます。でもスイングの見た目が一番好きなのはザンダー・シャウフェレさんなんです」と本人は語る。その3人のほかには、タイガー・ウッズやジャスティン・トーマス、アダム・スコットなど、米ツアーのトッププロたちのスイング動画を研究して、独学でスイングを作り上げた。

■植竹希望 プロフィール&成績
■植竹希望 特選フォトギャラリー
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