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勝者に技アリ!
比嘉真美子は右足を浮かせない意識で胸の正面でボールをとらえる【勝者に技アリ!】
比嘉真美子は右足を浮かせない意識で胸の正面でボールをとらえる【勝者に技アリ!】
配信日時:2022年3月9日 08時00分
2022年日本女子ツアーは、3月3日にダイキンオーキッドレディス(沖縄県)で開幕した。今シーズンの選手たちの調子を占うという意味でも大きな注目を集めるシーズン開幕戦だが、19年のダイキンオーキッドレディスは、強風と横殴りの雨でスコアを崩す選手が続出。過酷な状況が忘れられない大会だった。
比嘉真美子はドライバーも胸の正面でインパクト【連続写真】
最終日首位でスタートしたのは地元沖縄出身の比嘉真美子だった。比嘉は2位に7打差をつけて余裕の最終日首位スタートだったが、16番までに二つダブルボギーを叩き、後続に2打差まで詰め寄られた。これ以上スコアを落とせないという状況で迎えた17番パー4。体が揺れるような強いフォロー風が吹くなか、比嘉がスーパーショットを見せてバーディを奪取。勝利を呼び込んだ。ピンそば2メートルにつけた、56度のウェッジショットだった。
「ラウンド終盤は“プレーオフでもいい、1打差でもいいから優勝できればいい”と思っていました。17番のティショットは、フェアウェイをとらえてピンまで残り98ヤードでした」
右からの強いフォローの風に加えて、雨が強くなってきていた。状況は過酷だった。
「通常、56度のウェッジは85〜90ヤードを打つのですが、すごいフォローだったので80ヤードぐらいのライン出しショットで、風に乗せてピンを狙う選択をしました。風で体が傾くような厳しい状況だったので、右足を浮かさないことだけ気をつけていました」
右カカトが浮くと、上体が起き上がって体の正面でボールをとらえることができない。緊張した場面だったからこそ、いつも以上に体の正面でインパクトを迎える意識を強く持ったという。
「ショットでしっかりボールをミートするには、インパクトで胸の面がボールに正対していることが大切です。インパクトを迎えるときに、胸が目標を向いていると当たりが薄くなってしまいます。逆に胸が目標と反対の方向を向いていると、体の回転が止まって手打ちになってしまいます。右ヒザを左ヒザに向けて動かし、右足を浮かさないように意識することで、胸がボールに正対してインパクトを迎えられるようになります」
腕の振りと体の回転を同調させ、胸の正面でインパクトする。よくいわれる大事なポイントだが、強い風が吹いたり、プレッシャーが大きくのしかかってくると、その大事なポイントがおろそかになってしまう。これはプロでも同じなのだ。厳しい状況のなかで比嘉が考えたのは、前傾姿勢を起き上がらせないことだった。胸の正面でインパクトするために、風に負けない軸をつくる。そのための決断だった。
腕と体の動きを同調させて、体の正面でインパクトする。ショットのときにそう考えてしまうと、注意しなければならないポイントが続々と頭の中に浮かんでくる。そうなったら混乱を呼ぶばかりだ。比嘉は“右足を浮かせない”という一つのポイントだけを抑えて、ショットに臨んだ。これがプロのやり方なのだ。参考にしたい。(2019年取材)
比嘉真美子はドライバーも胸の正面でインパクト【連続写真】
最終日首位でスタートしたのは地元沖縄出身の比嘉真美子だった。比嘉は2位に7打差をつけて余裕の最終日首位スタートだったが、16番までに二つダブルボギーを叩き、後続に2打差まで詰め寄られた。これ以上スコアを落とせないという状況で迎えた17番パー4。体が揺れるような強いフォロー風が吹くなか、比嘉がスーパーショットを見せてバーディを奪取。勝利を呼び込んだ。ピンそば2メートルにつけた、56度のウェッジショットだった。
「ラウンド終盤は“プレーオフでもいい、1打差でもいいから優勝できればいい”と思っていました。17番のティショットは、フェアウェイをとらえてピンまで残り98ヤードでした」
右からの強いフォローの風に加えて、雨が強くなってきていた。状況は過酷だった。
「通常、56度のウェッジは85〜90ヤードを打つのですが、すごいフォローだったので80ヤードぐらいのライン出しショットで、風に乗せてピンを狙う選択をしました。風で体が傾くような厳しい状況だったので、右足を浮かさないことだけ気をつけていました」
右カカトが浮くと、上体が起き上がって体の正面でボールをとらえることができない。緊張した場面だったからこそ、いつも以上に体の正面でインパクトを迎える意識を強く持ったという。
「ショットでしっかりボールをミートするには、インパクトで胸の面がボールに正対していることが大切です。インパクトを迎えるときに、胸が目標を向いていると当たりが薄くなってしまいます。逆に胸が目標と反対の方向を向いていると、体の回転が止まって手打ちになってしまいます。右ヒザを左ヒザに向けて動かし、右足を浮かさないように意識することで、胸がボールに正対してインパクトを迎えられるようになります」
腕の振りと体の回転を同調させ、胸の正面でインパクトする。よくいわれる大事なポイントだが、強い風が吹いたり、プレッシャーが大きくのしかかってくると、その大事なポイントがおろそかになってしまう。これはプロでも同じなのだ。厳しい状況のなかで比嘉が考えたのは、前傾姿勢を起き上がらせないことだった。胸の正面でインパクトするために、風に負けない軸をつくる。そのための決断だった。
腕と体の動きを同調させて、体の正面でインパクトする。ショットのときにそう考えてしまうと、注意しなければならないポイントが続々と頭の中に浮かんでくる。そうなったら混乱を呼ぶばかりだ。比嘉は“右足を浮かせない”という一つのポイントだけを抑えて、ショットに臨んだ。これがプロのやり方なのだ。参考にしたい。(2019年取材)
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