2017年樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントは、台風22号の影響で最終日が中止となり36ホールに短縮された。優勝を遂げたのは、このときプロ2年目の永井花奈だった。永井は2日目の最終18番パー5で、3打目を53度のウェッジでピンそば1メートルにつけてバーディを奪取。単独首位でホールアウトし初優勝を勝ち取った。

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大会を通して8番アイアン以下の番手が好調だったという永井。調子が悪いときはフィニッシュで手元の位置が低くなるということに早々に気がつき、「手元が高いフィニッシュを意識したのが結果につながった」と永井はいう。何をどう意識して高いフィニッシュをつくったのか、振り返る。

「ショートアイアンは狙える番手だからといって、インパクトを合わせにいくと、緩んでフェースの向きが変わりしっかりボールをミートできません。フィニッシュまで振り切る意識を持って、スイング中に体の動きを止めないことが大事です」

狙う意識が強く出ると、ついインパクトを合わせにいってしまう。するとスイングが緩んで、方向性も距離感も安定しない。

「フィニッシュで手元が低い位置に収まってしまうと、弾道が低くなるだけではなく、カット打ちになることが多いので注意が必要です。手元を頭よりも高い位置に振り抜いてゆくハイフィニッシュを私は心がけています」

手元を高い位置に振り抜くために、気をつけるべきは下半身だという。

「手元が高いハイフィニッシュを実現するには、下半身の力を利用してスイングに勢いをつけます。このときポイントになるのが体重移動。切り返しで左サイドに踏み込んで、クラブを振り下ろします。右腰を目標に向けていくイメージで腰を回すと、肩も一緒に回って自然と手元が高い位置に上がっていきます」

トップで目標を向いた右尻を、ダウンスイングで目標と反対方向に向ける意識でもいい。右腰の回転を意識すると左腰が引けてしまうという人は、尻を意識してみよう。

「体重移動が行われず下半身の動きが抑えられていると、手元は低い位置にしか収まりません。また切り返しで左サイドに踏み込むとき、アドレスでつくった左ヒザの角度をキープして振り抜いていくことも大事です。左ヒザが伸びてしまうと、アウトサイドインの軌道になってフィニッシュが低くなります」

ショートアイアンでグリーンを狙うときは、手元を高く振り抜いて番手飛距離をしっかり打つ。それが永井流の寄せ技だ。シンプルに攻めることこそが、スコアアップの近道なのだ。（2017年取材）