優勝者のスイング
メジャーを制した古江彩佳 平均スコア1位の安定感を生む高い“右肩”&一直線になる“左腕”【優勝者のスイング】
「アムンディ・エビアン選手権」で海外メジャー初制覇を成し遂げた古江彩佳。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年7月17日 07時26分
最終ホールでイーグルを奪う劇的な結末で、古江彩佳が米ツアー2年ぶりの優勝をメジャーで飾った。現在のドライビングディスタンスは250.75ヤードで全体122位と飛距離が出るタイプではないが、全てにおいて高いスキルを持ち、今季は17試合でトップ10入りが全体1位の9回。バーディ数(237個)と平均スコア(69.887)も1位で、年間ポイントランク1位のネリー・コルダ(米国)を上回る数字を残している。
抜群の安定感を生んでいる要因はどこにあるのか。プロコーチの南秀樹は古江のスイングをこう分析する。「シンプルに上げて下ろすだけ、動きに無駄のないスイングです。体を目一杯使った高いトップから、ダウンスイングでは右肩が下がることなく、腰はレベルターン。フォローは低く長く、正面から見てヘッドが時計の4時の位置あたりにきた時に、左肩からヘッドまでが一直線になっています。アドレスのままフォローを出しているような、クラブの重みを使って、効率良く振っているので、飛んで曲がらないのです」。
少しでもスイングを安定させたいなら、古江のようにダウンスイングで右肩を下げないことと、左肩とヘッドが一直線になるフォロー、2つのポイントが参考になる。まずはダウンスイングで右肩を下げないためには、力を抜いてクラブの重みで手元を下ろすことが大事だ。
「古江さんのように手元が腰の高さに下りるまで右肩の高さをキープするのが目標。そのためには、トップの形のまま我慢すること。右ヒジを絞ったり、手元を解いてしまわないように、一瞬ですが“何もしない我慢”が必要になります。手元をストンと落とす動きだけにフォーカスして、当てるだけでいいので、ボールを打ってみてください。どのタイミングで、どこに力が入っているのかが分かります」
手元が腰の高さに下りるまでは、力を抜いてとにかく我慢。そこからは前傾角度をキープして上体を回していく。
そして、フォローでは振る方向を意識したい。目標を中心に時計の文字盤をイメージして、その左斜め上、10時と11時の間に向かって振るようにしたい。「体がターンしていく中で、横に回れば腰が割れて左ヒジが引けてしまいます。フォローで左肩からヘッドを一直線にするには、しっかりと左足に乗ってターンすることが不可欠。体全体で左上に振るイメージなら、体と手元の間隔が変わらず、左に乗っていくことができます」。
左への意識が不十分で12時方向に振ってしまうと手元が体から離れ、ボールがつかまらなくなってしまう。シンプルで無駄のないメジャーチャンピオンのスイング。ぜひ参考にしてみてほしい。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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●古江彩佳が最終18番パー5で2オンを狙ったのは6番アイアンだった。それをピン横につけ、イーグルフィニッシュで勝負を決めた。関連記事【メジャー初V・古江彩佳の劇的イーグルを生んだ『軟鉄鍛造アイアン+特殊素材シャフト』を激写‼】では、その手に持っていたアイアンの詳細に迫っている。
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