ゴルフグリップの正しい握り方とは? 代表的な3つの握り方と手順、注意点を解説
ゴルフを始めて、練習を重ねていくと、グリップをどう握るべきか悩むことが増えるはずです。グリップはゴルファーとクラブの唯一の接点ですから、握り方次第でスイングや球筋、飛距離が大きく変わります。この記事では、代表的なグリップの握り方や手順、注意点について解説していきます。
配信日時:2024年3月28日 10時35分
1.代表的な3つのゴルフグリップの握り方
グリップは、ゴルファーとクラブをつなぐ唯一の接点です。握り方次第で飛距離や方向性が大きく変化します。そのため、体力や骨格、スイングタイプに合った握り方を見つけて、実践することが大切です。
まずは、ゴルフグリップの代表的な3つの握り方を紹介していきましょう。
【1】インターロッキンググリップ
【2】オーバーラッピンググリップ
【3】テンフィンガーグリップ
【1】インターロッキンググリップ
右打ちの人の場合で、右手の小指と左手の人差し指を絡ませる握り方を「インターロッキンググリップ」と呼びます。ジャック・ニクラスやタイガー・ウッズ(ともに米国)と言ったレジェンドプレーヤーが採用したことで真似をするゴルファーが急増し、現在、最もポピュラーな握り方の一つとなっています。
最大のメリットは、ショットの安定感が増すことです。指を絡ませる分、右手と左手がより密着し、手の中でグリップが動きにくくなるため、クラブヘッドの動きを安定させやすいのです。
また、実際に「インターロッキンググリップ」で握ってみると分かりますが、自然に手元が高いハンドアップの構えが作りやすくなります。手元が高くなると、スイング中のフェース開閉を小さく抑えることができ、結果として方向性の高いショットが打ちやすくなります。
石川遼は特殊な「インターロッキンググリップ」をしていた?
指の絡め方を工夫した特殊な「インターロッキンググリップ」も存在します。
国内男子ツアー通算18勝(2024年3月28日現在)を誇る石川遼は、指を絡めながら、左手の人差し指をピンと伸ばした独自の握りを採用していました。(現在はオーバーラッピンググリップを採用。詳しくは「石川遼は1年前から『オーバーラッピング』に変えていた! その理由とは」をご覧ください。)
実は「インターロッキンググリップ」には、絡めた指に痛みを感じやすいというデメリットがあります。石川の左手の人差し指を伸ばす握り方をすると、この痛みを軽減することができ、同時に5本の指でしっかり握っている右手の感覚を生かしたスイングが可能になります。感性を生かして、ボールをコントロールしたい人におすすめのアレンジになっています。
【2】オーバーラッピンググリップ
右打ちの場合で、左手の人差し指の上に右手の小指を乗せる握り方が「オーバーラッピンググリップ」です。レジェンドプレーヤーのジャンボ尾崎(尾崎将司)がこの握り方を採用しており、今でも根強い人気を誇っています。
「オーバーラッピンググリップ」のメリットは、左右の手それぞれの感覚を生かして、ボールを自在にコントロールできることです。切り返しで強いタメを作ったり、フェースを大きく開閉することができるため、意図的にボールを曲げたり、低い球を打ったりと球筋を自在にコントロールすることができます。
ちなみに、同じ「オーバーラッピンググリップ」でも、左手の人差し指と中指の間に右手の小指を乗せると、右手と左手が密着して一体感が強くなります。人差し指に乗せる握り方だと球筋が安定しない場合に試してみると良いでしょう。
【3】テンフィンガーグリップ
両手の10本の指が全てグリップと接する握り方が「テンフィンガーグリップ」です。野球のバットの握り方と似ていることから「ベースボールグリップ」と呼ばれることもあります。近年、勝みなみや時松隆光がこの握り方で活躍をしたことで、一躍脚光を浴びました。
「テンフィンガーグリップ」のメリットは、非力な人でもグリップがズレにくく、ボールをつかまえやすいことです。ゴルフクラブは、シャフトの延長線上にヘッドの重心がないため、スイング中に「フェースが開きやすい」という特徴があります。ゴルフを始めたばかりの初心者が、右に曲がるスライスに悩むことが多いのは、このゴルフクラブの特殊な構造が理由になっています。
そんなフェースが開く特性を抑える上で、「テンフィンガーグリップ」が効果を発揮します。10本全ての指で握ることで、フェースが開く動きを抑制し、同時にダウンでフェースをしっかり閉じることが可能になります。初心者やパワーのない女性ゴルファーでも、つかまえやすくなります。
勝みなみと時松隆光は同じテンフェインガーでも少し違う?
勝みなみは、両手の親指をグリップの上に乗せるタイプの「テンフィンガーグリップ」ですが、時松隆光はより特殊な握り方を採用しています。両手の親指を伸ばさず、ヨコに絡めることで、手首などの余計な動きを抑えることができる「テンフィンガーグリップ」で、方向性を重視したいゴルファーは試してみる価値があると言えます。
2.グリップする向きを変えれば球筋が変わる
左右の手の向きによって、フェース開閉の量や動きやすい方向が変わるため、出やすい球筋も異なります。左右それぞれの手をグリップに対して、どのような向きでセットするかも非常に大切なのです。
ウィークグリップにすると右に飛びやすい
自分の目線で見て、両手の親指がグリップの中心線(頂点)か、それよりも左にセットされるのが「ウィークグリップ」です。左手を開く形になるのでゲンコツ(こぶし)がほとんど見えず、対照的に右手は覆い被さる形になります。
「ウィークグリップ」の特徴として、左に引っかけるミスが出にくいことが挙げられます。左手を外に開き、右手を被せた形でグリップを握るぶん、フェースが閉じる方向に動きにくくなり、結果として、ボールのつかまり過ぎを抑えることができるのです。伝説的なプロゴルファーで、近代スイングの基礎を築いたベン・ホーガン(米国)も、自身の悪癖であるフックを矯正するために「ウィークグリップ」を採用したと言われています。
ただし、フェースが左を向きにくいということは、裏を返すとフェースが右を向く、つまり開きやすいということでもあります。特に現代の大型ヘッドのドライバーは、重心がシャフト軸よりかなり遠くにあり、フェースが開きやすい特性が強いため、スライスのミスにつながる可能性があります。
ストロンググリップにすると左に飛びやすい
自分の目線から見て、グリップの中心線(頂点)よりも右側に両手の親指をセットする握り方を「ストロンググリップ」と呼びます。左手が内側に閉じた状態になるため、正面から見たときにゲンコツ(こぶし)がしっかり見えることが特徴で、右手はグリップをヨコから握るような形になります。
「ストロンググリップ」の特徴は、なんと言っても「フェースが開きにくい」ことが挙げられます。左手を内側にネジり、右手はヨコから添えるような形になっているため、バックスイングでフェースが開きにくく、ダウンでは閉じる方向に動かしやすいため、スライスに悩むゴルファーにもおすすめです。現代の大型ヘッドのドライバーとの相性も良く、「ストロンググリップ」を採用する選手は年々増えています。
最近では、極端な「ストロンググリップ」でクラブを握り、テークバックでフェースを閉じるように上げて、ダウンではそれを開くように下ろすことで、スクエアなインパクトを作る従来のセオリーとは違ったスイングを身に付けた選手も増えてきました。ダスティン・ジョンソンやブルックス・ケプカ(ともに米国)がその代表で、2人とも圧倒的な飛距離と高い方向性を両立したドライバーショットを武器にしています。
スクエアグリップはストロンググリップに含まれる?
ちなみにグリップの王道とも言われる「スクエアグリップ」は大別すると、「ストロンググリップ」に含まれます。グリップの頂点よりも少しだけ親指が右にセットされ、左手のゲンコツも少し見える状態になりますので、「ちょいストロング」と呼ぶこともできるでしょう。
「ちょいストロング」がビギナーにおすすめな理由は、ALBA TV『黒田カントリークラブ 茜ちゃんに聞いてみた(ウィークだめ絶対!これがビギナーにおすすめのグリップ!)』をご覧ください。
3.基本的な握り方をマスターする4ステップ
ここからは、自分に合ったゴルフグリップの握り方を見つけるために実践してほしいポイントを紹介していきます。
【1】骨格に合った向きでグリップする
【2】グリップエンドは指2本以上、余らせる
【3】グリップは密着度を意識する
【4】指のつけ根を使ってグリップする
【1】骨格に合った向きでグリップする
最初に実践してほしいのは、骨格に合った両手の向きを見つけることです。アドレスと同じような前傾姿勢を取り、両手を脱力させて、ダランと垂らしてください。
腕をダランとさせたときの角度が、自分にとってナチュラルにクラブを握れる左右の手の向きとなります。そのまま両手を合わせるようにグリップしてみましょう。このグリップを自分なりの「スクエアグリップ」として覚えておくと、目的に合わせて握り方をアレンジしやすくなります。
【2】グリップエンドは指2本以上、余らせる
ゴルフグリップを握るときは、基本的に左手のヒラがはみ出さないように、グリップエンドから指2本分ほど余るようにして、短く握ることをおすすめします。
クラブをギリギリまで長く持つと、飛びそうに感じるかもしれませんが、グリップを握る面積が減るぶん、手の中でクラブが暴れやすくなって方向性が悪くなりますし、ミート率が下がって思ったほど飛距離が出ない可能性が高まります。
2度に渡って賞金王を獲得した今平周吾も、指を2本分以上短く握るスタイルを実践し、飛んで曲がらないショットで安定した活躍を見せています。
【3】グリップは密着度を意識する
グリップを握るときは、グリップと手のヒラが隙間なく密着するようにしましょう。
よくグリップは「小鳥をつかむように柔らかく握る」といった指導を耳にするかと思います。しかし、ただゆるゆるに握れば良いのかと言うと、決してそんなことはありません。グリップと手のヒラの間に隙間ができると、クラブが暴れてしまい、安定した軌道でヘッドを振れなくなります。また、グリップを強く握りすぎて手先に力が入ると、ヘッドがスムーズに走らず、ボールが曲がり、飛距離も出にくくなります。
隙間のないグリップを意識すると、手の中でグリップが暴れず、ヘッドの軌道が安定し、ブレづらくなるでしょう。安心感で、どんどん手の力みも取れていくはずです。
【4】指のつけ根を使ってグリップする
左手小指の付け根(第一関節)と人差し指の中間にグリップを当ててからグリップを握っていくと、オーソドックスな「フィンガーグリップ」を作ることができます。
グリップの握り方は、形に関係なく指を中心に握る「フィンガーグリップ」と手のヒラで握る「パームグリップ」に大別できます。基本的にフルスイングするショットの握り方は「フィンガーグリップ」の方が良いでしょう。指で握ることで手首を使いやすくなり、ヘッドをスムーズに加速させながらスイングできるからです。
一方で、「パームグリップ」は手のヒラの動きがロックされ、腕とクラブの一体感が強くなります。ヘッドを走らせるのが難しくなるためショットには不向きですが、フェース向きをスクエアに保ちたいパターなどではおすすめの握り方となっています。
「ストロンググリップ」の度合いになどによって、グリップを当てる位置は変化しますので、自分なりの当て方を探していきましょう。
4.まとめ
今回は、代表的なグリップの握り方や自分に合った握りを見つける方法などについて解説してきました。ゴルファーはそれぞれ身長やパワーも違えば、骨格や指の長さも違いますので、基本的な握りから少しずつアレンジを加えて、自分なりの握り方を見つけることが大切です。ぜひ、最適なゴルフグリップの握り方を見つけて、スイングの上達、そしてスコアアップにつなげてください。