【パターがスコアの4割】パッティングでスコアを稼ぐためのライン読みの基本
スコア90のラウンドを全ホール2パットで回ったとすると、スコアの4割(計36パット)を占めるパッティング。当然スコアにおけるその影響力は甚大で、パット数を減らせるかどうかが、スコアアップに直結してきます。そしてパッティングの成功率を上げるために重要になってくるのが、いかにラインを読むかということ。上りか下りか、右に曲がるのか左に曲がるのか。それによって打つ強さ、打ち出す方向が変わってくるからです。ラインがしっかり読めていれば、ストロークも自信を持ってできるようになります。
配信日時:2024年6月19日 09時31分
1.ラインの読み方の基本
ラインを決定づける要素はいくつかありますが、重要なのは「距離」、「上りか下りか」、「左右への曲がり方」で、重要度もこの順になります。
アマチュアゴルファーは、「スライスかフックか」を最も気にしますが、曲がり幅は距離によって変わってくるし、上り下りによっても変わってくるからです。
正しいラインを読むためには、まず「距離」、そして「上りか下りか」、最後に「左右への曲がり方」。この3つの情報をしっかり手に入れましょう。
ラインを読むための基本手順
トーナメント中継を見ていると、選手たちがボールの後ろからカップを見たり、カップの向こう側に行ったり、またはラインから5mぐらい離れた横位置からしゃがんでラインを読んだりと、グリーン上を歩き回っていますが、各選手とも自分のルーティンに基づいて動いています。
ここでは、ラインをしっかり読め、しかもスロープレーになりにくいという観点から、基本的なライン読みの手順を紹介していきます。
ティショット前の確認:全体傾斜を確認する
カートに備わっているゴルフカートナビには、グリーンの形状と全体的な傾斜を教えてくれる機能が備わっています。ティショットの前に、ある程度の傾斜を確認しておきましょう。
キャディ付きプレーの場合は、ティショットを打つ前に、キャディさんから全体傾斜を確認しておくといいでしょう。
グリーン手前での確認:30~50ヤード手前で、全体傾斜を把握する
山に登るとその山の全体の姿は見えないように、グリーンに上がってしまうと全体的な傾斜が見えなくなってしまいます。そのため、グリーンの30~50ヤード手前で、全体傾斜を目視でしっかり確認しましょう。
仮に100ヤード以上ある距離のショットでグリーンにオンしていたとしても、50ヤード手前辺りでカートを降り、歩いてグリーンに向かい、山の頂上を見つけておくことをオススメします。
グリーン上での確認:【1】ボールからカップまでの距離を歩測する(ついでに上りか下りかを確認する)
グリーンに上がったらボールマークし、カップまで歩測します。距離の正確な把握が、ライン読みにおいては最も重要な要素です。
ただし、このとき、何となくでいいので、ボール位置からカップまで上っているのか、下がっているのか確認します。
グリーン上での確認:【2】歩測の後、カップの後方から左右の傾斜をチェックする
歩測の後、カップの後方からボールを見て、左右の傾斜を確認します。
グリーン上での確認:【3】歩測の後、カップからボールに戻る際に、ラインの中央付近で上りか下りかを確認する
歩測の後、カップからボールに戻る際に、ラインの中央付近で、ラインから少し離れたところから、上り下りを確認します。もし時間があったら、低い姿勢で見るようにしましょう。
グリーン上での確認:【4】ボールの後方から、左右の傾斜をチェックする
最後に、ボールの後方からラインを見て、それまで読んだ左右の傾斜通りかどうかを確認します。
2.ラインが全く分からないときの3つの対処法
ゴルフを始めたばかりの人にとって、ラインを読む作業というのはかなり難しいことです。また、中・上級者でも、キャディ付きプレーでゴルフをやってきた人は、自分で読むというクセが付いていないので、さっぱり分からないという人も少なくありません。
そういう人は、以下3つの対処法を覚えておいてください。
【1】一番低いところからグリーン全体を見る
少し遠目からグリーンを見ると、最も高くなっているところや、全体の傾斜は分かります。その情報をもとに、グリーンの最も低いところに行って、ボールとカップとの関係を確認してみてください。
カップに対してボールの位置は高いのか低いのか、カップとボールとを結んだラインが左右どちらに傾いているか、がある程度分かるはずです。
【2】できるだけ低い姿勢で見る
できるだけ低い位置から見た方が傾斜というのはより明確になります。カミロ・ビジェガスやザンダー・シャウフェレが、グリーン上でうつ伏せ状態になっている姿を見たことがあると思いますが、あれも微妙な傾斜を確認するため。あそこまでする必要はありませんが、ボールやカップの後方から確認するときはせめてしゃがんで見るようにしましょう。
また、ラインの横から上り下りを確認するときは、低い方のサイドから見ると、より高低差がハッキリします。
【3】グリーンを4分割してラインを読む
この方法は、手前から奥に向かって上っている「受けグリーン」でしか使えませんが、知っておくと便利です。
まずグリーンの真ん中にカップがあると想定して、グリーンを4分割します。そうすると、グリーンは奥に向かって上っているので、
・左手前のエリアは、上りのスライス
・右手前のエリアは、上りのフック
・左奥のエリアは、下りのスライス
・右奥のエリアは、下りのフック
になります。これを頭に入れて、グリーン上で答え合わせをすればいいのです。国内のコースには受けグリーンのホールが多いので、ぜひ活用してください。
3.目視以外でラインを読む3つの方法
これまで紹介したように、本来ラインというのは、自分の目から得られる情報を基に判断するのですが、ゴルファーの中には、マニュアル的なものが欲しいという人もいるのではないでしょうか。
実はプロにもそういう人がいて、目から得た情報に、それらのデータをプラスしてラインを決めている選手もいます。
ここではプロたちもやっている3つの方法を紹介しましょう。
【1】パターを吊してラインを読む
ツアープロたちがよくパターを目の前に吊るす動作をしていますが、あれもグリーンのラインを知るための行為です。英語で「プラムボミング」(Plumb Bobbing)と言います。
簡単に言えば、カップとボールの延長線上後方に立ち、パターを真っすぐ垂らして鉛直線を作り、そのシャフトを利き目だけで見て、シャフトの左側にカップが見えればスライスライン、右側に見えればフックラインと判断する方法です。
最後の確認として、この方法を使うプロも多いようです。
【2】エイムポイント・エクスプレスリード
エイムポイント(AimPoint)というのは、グリーンの傾斜を測る方法で、これを応用したのが「エイムポイント・エクスプレスリード」(AimPoint Express Read)です。傾斜の読み方というよりは、どちらかというと打ち出し方向を決めるための方法になります。
やり方は次の通りです。
1:カップに正対して左右どちらの足に重力がかかるかを「5段階」で判断します。グリーンが平坦なら「0」、傾斜が強い場合は「5」とします。
2:ボールの位置に立ってカップの方向を見て、判断した段階分だけ指を立てます。傾斜の度合いが「右3」なら、指を3本立てます。
3:カップの端から、その指の数をずらした位置にボールを打ち出します。
まず傾斜の段階が合っていなければ話になりませんが、ラインを跨いで立ち、どちらに傾いているかを判断する方法は、ほとんどのプロがやっています。最初は難しいかもしれませんが、やり続ければだんだん分かるようになるはず。
この方法を採用するかどうかは別として、傾きを確認する作業はやり続けた方がいいでしょう。
【3】パターを地面に置いて傾きを見る
傾斜を判断するために、パターのソールを地面にピタッとくっ付けて、パターの傾きを見るという方法もあります。単純な方法ですが、一つの指針になります。
4.打ち出し方向の決め方
例えラインがしっかり読めたとしても、打つ方向や距離感があっていなければ、カップインは望めません。
打ち出し方向に関しては、人それぞれの感覚があり、例えばフックラインの場合、「カップ1個分右に仮想カップを置き、そこに向かって打ち出す」という人もいれば、「カップに入る曲線をイメージして打ち出し方向を決める」という人もいます。
ここでは、“天才的なライン読みの持ち主”といわれている青木瀬令奈と、パッティング研究の第一人者、橋本真和ツアープロコーチの狙い方を紹介するほか、スネークライン(複合ライン)の狙い方も解説します。
青木瀬令奈の打ち出し方向
1:最初に、カップから逆算して、カップまで「真っすぐコロがるライン」を見つけます。
2:次に、自分のボールとそのラインを結ぶ仮想ポイントを探します。コツは、カップイン時のボールスピードをイメージすること。下りのラインなら、最後にポトリとカップに落ちる感覚。この仮想ポイントは、速いグリーンならカップから遠く、遅いグリーンなら近くなり、下りの場合はカップに向かってボールを流し込む感覚、だと青木瀬令奈は言います。
3:最後に、そのポイントとボールを結んで、打ち出す方向とコロがるスピードを決めます。
特に大事なのは2の手順です。コロコロとコロがり、最後にポトリとカップインするイメージを持つと、ストレートライン上のポイントを見つけやすくなります。
ここでは下りのラインを例に紹介しましたが、青木瀬令奈の場合、上りor下り、フックorスライスなど、どんなラインでもこの手順を踏んでいるそうです。
青木瀬令奈のレッスンは以下のリンクからもチェックできます。
◆大きく曲がるラインはどう読む?ツアー屈指のパター名人、青木瀬令奈が詳しく教えてくれた!
打ち出し方向を決める実戦ドリル
2つ目は、ゴルフテクノロジーを駆使し、数多くのトッププロを指導している橋本真和ツアープロコーチのメソッドです。
まずはパッティンググリーンを利用して、次の手順でパッティングをやってみましょう。
1:カップとボールを一直線で結び、その距離に対してボールから「3分の2」のところにティ(A)を刺します。これをベースラインと言います。
2:次にカップインする入口を決めてそこにティ(B)を刺します。これがけっこうキモで、初・中級者はフックラインの場合、右手前を入口にしがちですが、上級者は右真横を入口にします。
3:次に、ティ(A)とおなじくボールから「3分の2」の距離で、「ここを通ればカップインするだろう」というところに、ティ(C)を刺します。これはボールが曲がってくるラインを想定します。
4:最後に、(A)と(C)の距離と同じ距離になるように、ティ(D)を刺します。つまり(A)と(C)と(D)は、等間隔に並べています。(D)は打ち出し方向の目安です。
5:これでライン読みは完成。最後に(D)のティを狙って打ちます。
※ボールが曲がってくるライン上にある(C)のティに当たる可能性があるので、(C)のティはボールマークなどに変えておく
実際のコースではティを刺せませんが、このイメージで打ちます。ポイントは、カップの入口(B)と、ボールが曲がってくる(C)の位置。ここさえ間違っていなければ、カップインの確率は上がります。
この練習をやると、ほとんどの人は、自分がいかに甘いラインで狙っていたかが分かるはず。ぜひ一度試してみてください。
橋本真和のレッスンは以下のリンクからもチェックできます。
◆最強ツアープロコーチが教える マジック★ゴルフメソッド 橋本真和コーチ編(ALBA TV)
スネークラインの狙い方
パッティングのラインには、スライス、フックが混ざり合った、「スネークライン」と呼ばれるラインがあります。このような複合ラインでは、「ボールのスピードが速ければ曲がらない」ということと、「ボールのスピードは、打ち出した直後が最も速く、止まる寸前に遅くなる」ということを覚えておけば、それほど難しくはなくなります。
例えば、「フック→スライス→フック」というラインの場合、最初のフックラインは、それほど傾斜の影響を受けず、次のスライスラインも普通のスライスラインほど曲がらないと考えていいでしょう。最も傾斜の影響を受けるのは、ボールのスピードが弱まる最後のフックライン。だから、最後のフックラインを読めばいいのです。
曲がりくねったラインでもパニックにならず、最後のラインがどうなっているかをしっかり見極めましょう。
5.まとめ
パッティングというのは、ストロークの技術も大切ですが、その前にいかにラインを読むかということが重要になってきます。ラウンド経験が少ない初級者の場合、日常生活で傾斜を読むということはないので、いきなりラインを読む作業には慣れないと思います。しかし、読もうという努力すれば、それが積み重なって、確実に読む力はついてくるものです。まずは読んで、その通りに打ってみる。その繰り返しこそが上達の道です。ぜひ諦めずに、ラインを読み続けてください。