国内男子ツアー開幕まで1週間を切った。昨年まで9季連続で『フェアウェイキープ率賞』を受賞している稲森佑貴は「10季連続キープして、本当に稲森賞に変わるかどうか。僕的には少し楽しみなことでもある」と、今年も意気込んでいる。そんな“日本一曲がらない男”のスイングを、 臼井麗香のコーチを務める柳橋章徳氏に解説してもらった。
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稲森選手のスイングの最大の特徴は、手元の位置が体の正面にずーーっとあることですね。トッププレイヤーでも、トップで一旦体の正面から外れ、ダウンスイングで戻すことがほとんど。これだけ、キープしている選手は唯一無二だと思います。
体の正面から手元が外れ、ダウンスイングで戻せないと振り遅れてしまう。振り遅れれば遅れるほど、ヘッドは垂れるので、インパクトのときに合わせないといけません。合わせる動きはフェース開閉のタイミングを狂わせ、ミスを誘発します。しかし、稲森選手は体の正面から手元が外れないので、そういったことは起きない。それに、頭の位置も変わっていないので、左右の動きも少ないはず。だから再現性高くインパクトできて、曲がらないんです。
もう一つポイントは、アドレス時のヘッドの位置です。ボールからヘッド2個分くらい離して構えています。ボールの近くにヘッドを置くと右骨盤と右肩が少し下がる感じになり、ヘッドが寝ながら入って、手元も浮きやすくなる。おそらく、稲森選手はそういった動きが嫌なんだと思います。
アマチュアの場合、ボール近くにヘッドを置くと、肩や胸が左を向いてしまいがち。真っすぐ打ったつもりでも体が早く開いてカット軌道になり、コスり球が増えてしまいます。ヘッド2個分くらい離せば、アドレスの歪みがなくなり、自然とアッパーにインパクトできますよ。
■稲森佑貴
いなもり・ゆうき/ 1994年生まれ、鹿児島県出身。2024年はツアー史上初のフェアウェイキープ率80%超えで、9季連続でフェアウェイキープ率1位に輝く。国際スポーツ振興協会所属。
■柳橋章徳
やぎはし・あきのり/1985年生まれ、茨城県出身。強豪・中央学院大学ゴルフ部ではレギュラーとして活躍。PGAティーチングプロA級の資格を取得し、男女のトッププロを指導。現在は臼井麗香のコーチを務める。
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世界中のツアー通算113勝を挙げているジャンボ尾崎のスイングは、現代でも大いに参考になる。関連記事「ジャンボ尾崎は40年前から時代を先取り! 小さなメタルウッドで300Y飛ばす秘密とは?【ジャンボ軍団が解説】」で解説している。