今大会最長の387ヤードをマーク! 豊永智大が日本勢初のアジアドラコン王者に輝く
16日にタイで行われた『アジアドラコン選手権』で、豊永智大が日本人として初めて優勝。決勝戦(ラウンド4)で豊永に敗れた小井土峡太が2位、日本大会5連覇中の三隅直人が3位に入り、日本勢が表彰台を独占した。
配信日時:2024年11月17日 22時35分
16日にタイで行われた『アジアドラコン選手権』で、豊永智大が日本人として初めて優勝。決勝戦(ラウンド4)で豊永に敗れた小井土峡太が2位、日本大会5連覇中で9月の『ULD(Ultimate Long Drive)世界選手権』で優勝した三隅直人が3位に入り、日本勢が表彰台を独占した。
今大会には日本を代表するドラコン選手、豊永、三隅、小井土、田澤大河、徐絢一の5人が出場。中国チャンピオンや韓国、オーストラリア、ニュージーランドの強豪選手もいる中で全員がトップ16に残った。そこからはトーナメント方式で、コイントスで先攻後攻を決めて2分半で6球ずつを打ち、より飛ばした方が勝ち上がっていく。
豊永は準々決勝で今年の日本選手権で3位に入った田澤と対戦。先攻の田澤が6球ファール(フェアウェイ外は計測しない)に終わり、「大河がファールした瞬間に次の三隅さんに切り替えができました」と、きっちり枠に入れて、三隅が待つ準決勝に駒を進めた。
先攻は豊永。「大会の中で誰も行っていない距離が出たので良かったです」と、今大会最長となる387ヤードを飛ばして、三隅にプレッシャーをかける。後攻の日本チャンピオンは353ヤードで、「しびれる試合」を豊永が制した。
決勝戦は、以前同じレッスンスタジオで働いていたこともある小井土との対戦。「お互いにこういう練習がいいんじゃないかとか、こういうクラブがいいんじゃないかとか真剣に相談した、長く時間を過ごした仲間なので、感慨深かったです」。結果は先攻の豊永が367ヤード、後攻の小井土が354ヤード。「アジアのレベルが高い中で勝てたのは本当に大きいし、自信にもなります」。日本のトップ選手たちを次々と撃破した豊永がアジアドラコンNo.1のタイトルを手にした。
豊永は長崎県壱岐市出身の37歳。15歳からクラブを握り、高校卒業後はツアープロを目指して奈良県のグランテージゴルフ倶楽部の研修生となった。そのときから「飛距離では誰にも負けたことがなかった」。その後、アプローチイップスに苦しみ、ゴルフインストラクターに転身する。
ドラコン競技に出始めたのは2018年から。そのデビュー戦ではラウンド用の45インチのドライバーでいきなりベスト8に入った。そして翌19年にはドラコン用の長尺ドライバーで日本選手権を制して日本一に。190センチ、120キロの恵まれた体型から繰り出されるドライバーショットは、ヘッドスピードの自己ベストが68m/s。最長飛距離は今年443ヤードに更新した。シーズン初めは92、93m/sだったボール初速が、シャフトを昔使っていたトラディショナルスポーツの守破離(シュハリ)に戻し、練習を重ねると98m/sまで上がり、37歳となっても「衰えは感じてない。まだまだ伸びしろはあると思う」と話す。
同い年の三隅をはじめとする他のドラコン選手たちの活躍も刺激になっている。「周りが伸びていくので、それに対して付いていかなきゃいけないし、負けられないというのがあるので、相乗効果で上がっていきますね」。三隅とは米国遠征の際には同じ家を借りて共同生活もしているが、「同じ37歳で仕事を辞めてドラコンに人生を賭けている。『直人』と呼びたいですけど、リスペクトがあるので僕は『三隅さん』と呼んでいます」と、何だか不思議な関係だ。普段はともに敬語で話し、三隅もまた「豊永さん」と呼ぶ。
アジア王者となり、その目は世界へと向いている。今年の「WLD世界ドラコン選手権」ではベスト32で敗退し、記録上は17位に終わった。「22年にベスト16に入ったときよりも手応えがあって、うれしいよりも悔しいしかなかった」。当然、世界への挑戦は来年以降も続けていく。「ベスト8とかベスト4くらいに入って、向こうの選手たちに脅威を感じさせたい」。アジアドラコン王者のベルトを引っさげ、世界の壁を豪打で破壊する。
◇ ◇ ◇
●身長174センチとドラコン選手では小柄な三隅直人はなぜ世界で活躍できるのか? 関連記事の【37歳の三隅直人が352ヤード飛ばしてドラコン世界一に輝く! 懸垂300回で「ヘッドスピード67~68m/s」】では、その飛距離の秘訣に迫っている。