優勝者のスイング
飛んで曲がらない『右足の粘り』って何だ? 新垣比菜のフットワークが超ヒント!【優勝者のスイング】
「ヨネックスレディス」で6年ぶりのツアー2勝目を果たした新垣比菜。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年6月3日 22時33分
大会2日目に1イーグル・7バーディの「63」。自己ベストとなる9アンダーを叩き出し、雨の降る最終日もスコアを伸ばした新垣比菜が、2018年の世代一番乗りとなったツアー初優勝から6年ぶりの2勝目を飾った。プロコーチの南秀樹は、そんな新垣を「今年はクラブが振れている」という印象を持っていたそう。スイングについても、以前よりもミスが出にくなっていると分析する。
「ドローヒッターなので、以前は悪くなるとインパクトからフォローにかけて右肩が下がり、体重も右足に残って、フッカー特有のミスをしていました。それが上手く修正されていて、右サイドが下がりにくくなっています。インパクトではやや上に、縦のバネを使っているのも特徴。この動きをするとインパクト付近でジャンプして安定感を損なうことがありますが、下半身、特に右足が粘っていて、方向性やスイングの再現性も高めています」。この右足の粘り方は、申ジエ(韓国)に似た動きだという。
参考にしたいのは、ベタ足に近い、右足を粘り強く動かす点。ダウンスイングで右ヒザがボール方向へ出る、腰が引ける、割れるといった下半身を使い過ぎるタイプには、参考になるポイントだ。
「右ベタ足はスイングを安定せるポイントですが、取り入れようと思っても誤ったやり方をしているとボールが曲がり、本来の効力を発揮しません。右足が浮くことを我慢して、右足に体重が残れば、腰が引けたり、割れたりしてカット軌道になり、スライスが止まらなくなります。インパクトでは腰が開き、肩のラインは正面を向くのが理想。そして体重は左足カカトと左足太モモ裏の足の付け根部分、2つにあるのがマストです。右ベタ足は我慢するものではなく、左サイドを意識することで、右サイドが大人しくなってできるものと考えてください」。
左足カカトと左足太モモ裏、双方に力が加わっているのもポイントで、カカトだけでは腰が引けやすく、太モモ裏だけでもツマ先体重となって体の回転がつまってしまう。
左サイドの意識を強く持つための練習が、左足の裏側、足の付け根にクラブのグリップ側を当て、お尻と床でクラブを軽く挟むようにしてハーフスイングすること。体に当てるクラブはウェッジ、手にする番手はショートアイアンがオススメ(体に当てたクラブは、場所によっては滑りやすいので、ウェッジほどの長さの突っ張り棒などがあれば、それを使いたい)。太もも裏に当てたクラブを倒さずに振れればOK、クラブが倒れるようならツマ先体重になっている。
「太モモ裏にクラブを当てることで、『ここに乗る』という意識が明確になり、カカト&太モモ裏の2つに乗った理想的な形になりやすいんです。ここに乗れれば、右足が前に出ることなく、右足体重になることもないでしょう」。
右足が粘ってボールに力が伝わり、飛んで曲がらないスイングへと近づけるだろう。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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