優勝者のスイング
左ヒザの動きが大人しくなった岩井千怜 フェアウェイキープ率が急上昇!【優勝者のスイング】
RKB×三井松島レディスで今季2勝目、大会連覇を成し遂げた岩井千怜。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年5月13日 06時48分
昨年は姉の明愛と年間女王となった山下美夢有とのプレーオフを制し、ディフェンディングチャンピオンとして迎えた今年。2日目を終えてトップに3人が並ぶも、終わってみれば2位に3打差を付ける圧勝で大会連覇を飾った岩井千怜。そのスイングについてプロコーチの南秀樹は、「すごく滑らかなスイングをする選手で、腰をレベルに回転させるのが上手く、インパクトからフォローにかけては右腰、右ヒザ、右サイドの押し込みもスムーズ。しっかりとクラブを振り切ることができています。レベルに強く振れるのは、飛距離につながるポイントです」と分析する。
また昨年とのスイングを比較すると「アドレスで若干ですが右に体重をかけているように見えます。これによって左ヒザの動きが大人しくなり、よりレベルブローに打てていると思います」と分析。スタッツを見ると、2023年は64.11%(54位)だったフェアウェイキープ率が、まだ試合数が少ないものの24年は72.67%(22位)と向上している。
悪天候が予想された最終日はセカンドカットが行われ、スタート時間も前倒しとなった。それでも選手たちはレインウェアでのプレー。これからの季節は、我々アマチュアも雨の中のラウンドをする機会が増えることだろう。芝が濡れた状況では、少しでもボールの手前にクラブが入ればボールが飛ばない、ダフリにシビアなシチュエーションとなる。岩井のスイングからは、そんな雨の日のゴルフを得意にするヒントがあるという。
「岩井さんのように体の高さが変わらず、レベルに振れればクラブの入射角が安定。ボールに直接コンタクトできるので、雨でもクリーンにヒットできます。ポイントは左ヒザの高さを変えないこと。バックスイングでは、なるべく両ヒザの間隔を変えず、左ヒザの動きを小さくできれば、切り返し以降に元の位置へ戻す動きを抑えられるので、スイングがシンプルに、安定性もアップします」。
インパクト付近では左ヒザが伸びているが、「前傾が変わってないので体の高さ、ボールとの距離が変わらない。ヒザは伸びても、胸は下を向いたままに、股関節の角度を意識すると前傾がキープできます」
アドレスでヘッドを浮かせて構え、ボールを直接打つ練習をしたい。「ヘッドを浮かせて構えると、歯でボールを打ちやすくなります。それでもボールを浮かせるには、ダウンブローにフォローを低く出さなくてはなりません。左体重でヘッドを真っすぐ出すように、ボールをやや右足寄りに置き、フォローはヘッドが腰の高さで止めるくらいの意識を持つと、前傾が変わりにくく、フォローが低くなります」
PWやショートアイアンから練習をはじめよう。マットを擦らずボールに直接コンタクトし、ボールを浮かせることができれば、濡れた芝も怖くなくなる。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属
◇ ◇ ◇
●チェックポイントをいくつも意識していると、動きがぎこちなくなってしまうことも……。それよりも、「○○○のように振ってみて」と言われた方が、イメージが広がって良いフォームになることがあるのでは? 【豆腐、アイス、弓矢にメンコ……アナタに合うのはどれ〜】がオススメ!
優勝者のスイング