バンカーの新セオリー!? 岩井千怜はスクエアスタンスでインから下ろす【女子プロの寄せ技】
岩井千怜の従来のセオリーとは違うバンカーショットを、プロコーチの石井忍が解説する。
配信日時:2024年7月29日 22時35分
女子プロのリカバリー率は約6割。つまりパーオンしなくても、半分以上の確率でパーセーブしている。そのテクニックを連続写真から学ぶ。今回取り上げるのは22歳にしてツアー6勝を挙げている岩井千怜のバンカーショット。「最近増えてきた」という従来のセオリーとは違う打ち方を、プロコーチの石井忍が解説する。
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写真は練習日なのでピンではなく右のターゲットを狙っている。それを加味してもスタンスは完全にスクエア。スタンス通りにボールが飛んでいます。
昔は30ヤードくらいの距離があるバンカーショットでも「オープンに構えて、アウトサイドからカットに打つ」のがセオリーでした。しかし、今の選手たちは、その技を使わなくてもワンピンには寄せられています。最近のウェッジはフェースを開いてカットに打たなくてもバンカーからボールを拾えるし、スクエアに構えて打つ選手が増えました。
軌道もアウトサイド・インではなく、フェアウェイからのアプローチのようにプレーンに沿ってインから下ろしている。もちろん、オープンに構えてカットに打つのはプロにとって難しい技術ではありません。もし50センチに以内に止めようとするなら、カットに打たないと止まらないけど、ホームランのリスクもある。結局、どちらが再現性が高いかとなったら、スクエアに打った方がいい。
アマチュアの方に参考にしてほしいのはヒザを曲げすぎていないこと。「ヒザを曲げて、腰を深く落として」というのは、カットに打つときのアドレス。砂を深く取るから体を低くしているだけ。アプローチみたいに打つときはそんなに砂は取らないから、軽く曲げるだけで十分です。
昔のバンカーショットとの共通点はクラブを短く握ること。バンカーはボールの手前にヘッドを入れることが命だから、短く握った方が正確にヘッドをコントロールできます。
■岩井千怜
いわい・ちさと/ 2002年生まれ、埼玉県出身。22年から毎年2勝を挙げて、ツアー参戦3年目で早くも通算6勝。双子の姉、明愛とともに年間女王を狙える位置につけている。Honda所属。
■石井忍
いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。98年にプロ転向し、かつてはツアープレーヤーとしてレギュラーツアーで戦っていた。現在は『エースゴルフクラブ』を主宰し、プロゴルファーやアマチュアの指導を行うほか、軽快なトークで解説者としても人気を博す。
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●バンカーショットがアマチュアにとって難しい理由の1つは、通常のアプローチよりも2~3倍大きく振らなければならないこと。「ホームラン」の恐怖もあって、スイングが緩んでショートしがちだ。関連記事の『バンカー名人の上田桃子 距離のあるバンカーは、トップは大きくフィニッシュは小さくなる』ではピンまで距離があるときのバンカーショットについて解説している。