バンカーの状況別違い、わかりますか? 【傾斜、目玉、アゴ、砂質、距離】状況別バンカーショットの打ち方を徹底解説
バンカーショットの打ち方は一応マスターしたけど、コースではなかなか上手くいかない。そういうゴルファーも多いはず。その原因のひとつとして挙げられるのが、状況の違いです。バンカーショットとひと言でいっても、ボールが目玉になっていることもあれば、フェアウェイのように微妙な傾斜の場合もあります。また、砂の硬さもコースによって変わってきます。そこで本記事では、状況別バンカーショットの打ち方を徹底解説していきます。
配信日時:2024年8月9日 07時45分
バンカーショットの打ち方は一応マスターしたけど、コースではなかなか上手くいかない。そういうゴルファーも多いはず。その原因のひとつとして挙げられるのが、状況の違いです。バンカーショットとひと言でいっても、ボールが目玉になっていることもあれば、フェアウェイのように微妙な傾斜の場合もあります。また、砂の硬さもコースによって変わってきます。そこで本記事では、状況別バンカーショットの打ち方を徹底解説していきます。
1.バンカーショットの打ち方の基本
まず基本的なバンカーショットの打ち方を紹介しておきましょう。
ご存じのように、ボールが芝の上にあるアプローチショットと、砂の上にあるバンカーショットでは、根本的に打ち方が変わってきます。その違いが苦手意識を生む原因だといわれていますが、打ち方さえ覚えればそれほど難しくはありません。まずは、両者の決定的な違いと、基本的な打ち方を説明しましょう。
バンカーショットと普通のショットとはどこが違うの?
決定的な違いは、砂の上にボールがあるか、芝の上にボールがあるかということです。芝の上からのショットはインパクトで少々ダフっても、ヘッドが芝の上を滑るのである程度ボールは飛んでくれます。しかし、砂の上にある場合、少しでもダフると砂の抵抗でボールが飛ばなくなります。それならば必死でクリーンに打つよりも、わざとダフらせようということで、「エクスプロージョンショット」(砂を爆発させるショット)が生まれました。
実際、ボールより少し手前にクラブを入れて打つエクスプロージョンショットをすることで、脱出の可能性が格段に上がります。
エクスプロージョンショットの打ち方
まずグリップを少し短めに持ち、フェースを開きます。体重配分は右足4対左足6。腰をしっかり落として、手元を下げたハンドダウン気味に構え、ヘッドはボール1個分手前辺りに入れて振り抜きます。ヘッドを入れる位置は、“だいたい”で構いません。
細かいことをいえばキリがありませんが、基本的にはこれだけ。特別なことをせずに、ボールの下の砂を叩けば、少なくともバンカーからは脱出できます。
覚えておきたいバンカー内でのルール
ちょっと厄介なのが、バンカー内ではヘッドを地面に置けないこと。ヘッドをソールする(地面に付ける)行為は、「砂質を調べた」という理由で、ルール上禁止されています。そのため、「打ち込むポイントがズレてしまう」という人もいるようですが、これは慣れるしかありません。
また、テークバックでヘッドが砂に接触するのもNGです。極端な左足下がりのライでは、テークバックでヘッドが砂に触れることもあるので十分に注意しましょう。
2.状況別バンカーショットの打ち方
地面から打つショットの場合、傾斜があるかないか、ボールが浮いているか沈んでいるかなど、ボールのライを確認するはずですが、バンカーでも同じ作業が必要です。そしてそれによって、構え方や打ち方を変えなければいけません。
ここでは、傾斜、ボールの沈み具合(目玉)、アゴの高さ、砂の硬さに分けて、構え方、打ち方を説明していきます。
傾斜の対処法
傾斜は、左足上がり・下がり、ツマ先上がり・下がりと大きく4つに分かれます。それぞれの打ち方を紹介しましょう。
左足上がり
左足上がりの場合、基本的にボールは上がりやすく、バンカーショットの中でも比較的簡単です。
基本的には傾斜なりに立ち、傾斜に沿ってスイングすることがポイントです。体重が右足寄り(右6対左4)になりますが、右足内側に重心が来るように構えるようにします。ボールはやや左足寄りに置きましょう。
また、普通に構えて打てば勝手にボールは高く上がるので、フェースの開きは抑えめにして、フェース向きもほぼスクエアにして構えましょう。
なお、平らなライから打つよりもロフト角が増えるため、ボールが上がりやすくなり、飛距離が落ちることを覚えておきましょう。クラブが砂に深く入り過ぎないようにすることもポイントです。
左足下がり
左足下がりは、バンカーの傾斜の中で最も難しいライです。ボールが上がりにくく、平らなライからよりもランが多く出ることを計算に入れて打ちましょう。
基本的には左足上がり同様、傾斜なりに立ち、傾斜に沿ってスイングします。目線を低くすることで、斜面に対して肩のラインと平行に合わせやすくなります。
左足上がりと異なり、フェースを開いて構えることが大事。また、ボールもやや右足寄りに置きます。
打つときのポイントとしては、左ヒザの角度を保ち、左足体重をキープして、ヘッドが傾斜に沿って動くようスイングすること。クラブを振り抜いた後も左ヒザの角度を保ちましょう。左ヒザが伸びてしまうと、右足に体重がかかりダフリが出やすくなるので注意してください。
ショットの後はクラブヘッドを低く前に出して、ボールの先にある砂も上に飛ばすようなイメージで振っていきましょう。
なお、ボールが上がりにくいので、SWよりもロフトがあるウェッジを持っている場合は、それを使いましょう。
ツマ先上がり
ツマ先上がりは、極端な前上がりでない限り、比較的簡単に出るはずです。
注意点は、ボール位置が足元より高いためにインパクトで予想以上に砂を取ってしまうこと。そうならないように、クラブをいつもより短く持ちましょう。
また、通常の傾斜と同じように左に飛び出しやすいので、構えるとき少し右を向いておきましょう。
ツマ先下りのバンカーショット
ツマ先下がりの傾斜は、バンカーの際に近いところにボールが止まっていることが多いので、スタンスをしっかり取れないことがあります。下半身が動くことでインパクトが不安定になり、 トップやダフり、ホームランなど、あらゆるミスが出やすくなります。
そうならないように、両ヒザをいつもより深く曲げて重心を下げ、スタンスはやや広めに取るようにしましょう。また、前傾姿勢もできるだけキープしましょう。
ボールは少し左足寄りに。通常のバンカーショットのように、砂を薄めに切り取るイメージで打つといいでしょう。
ツマ先上がりとは逆に、構えるとき少し左を向くことも忘れずに。
目玉の対処法
目玉になるのは大きく分けて2つあります。1つは、ボールが高く上がってドスンと落ちたとき。もう一つは、アゴに突き刺さるような感じで落下したとき。
ここではこの2つの目玉の打ち方を解説しましょう。
一般的な目玉
通常のバンカーショットは、砂の上にボールが乗っていますが、目玉の場合は砂の中にボールがめり込んでいるので、フェースを開いた状態だと砂の下にヘッドが潜ってくれません。だから、フェースは開かないこと。特にボールが深く潜っているときは、フェースを閉じ気味にした方がいいでしょう。
そしてその構えから、できる限りアップライトなスイングで、ヘッドをボールの手前に急角度で打ち込みます。ドスンとヘッドで砂を叩いたら、スイングはそこで終り。目玉焼きを“しろみ”ごと飛ばすようなイメージでやると上手くいきます。
それと、ボールが止まりにくいのも目玉の特徴。大叩きを防ぐためにも、ピンに寄せようなどとは考えず、バンカーから脱出することに専念しましょう。
アゴに突き刺さった目玉
深い目玉同様、フェースを閉じますが、トゥが砂を向くくらい思い切りフェースをかぶせましょう。トゥから砂に入れる感覚で打ち込めば、小さな振り幅でも大きな力でインパクトできます。
また、足場が悪い中で大振りするのは危険。少しでも打点がブレれば、エネルギーを効率的に伝えられず、ボールを飛ばせなくなります。
状況にもよりますが、左足をバンカーの縁にかけられるのならかけて、右足に全体重を乗せてアドレス。体重移動せずにリストを使ってスイングすれば、軸が安定して打点も狂いにくくなります。
アゴの高さ
多くのアマチュアが苦手としているのがアゴの高いバンカー。アゴが高いと、その分高く上げないといけないと思ってしまいがちですが、かえってその気持ちがミスを生みます。
ここでは、アゴが高いバンカーの打ち方を解説します。
アゴが高い
アゴが高いからといって、無理にボールを上げようとしてはいけません。フェースを開いて、ハンドダウンで構え、ボールから少し遠くに立ちます。
そして打つときは、少しアウトサイドに上げ、前傾をキープしたままスイングします。そうすれば、ボールは自然と高く上がります。逆に、ボールを上げようとすると、無意識のうちに体が起き上がり、打点がバラついてしまうので注意しましょう。
なお、とてつもなくアゴが高く、しかもボールがアゴに近い場合は、低い方から出すというのも一つの選択です。
砂質
砂が硬いか、軟らかいか、によっても打ち方が変わってきます。よくプロたちは、構えるときに足場を固める動きをしますが、あの動作のとき、足の裏で砂の硬さも確かめているのです。
ここでは、砂質が硬いときと、軟らかいときの打ち方を紹介しましょう。
砂質が硬い
硬い砂の場合、通常のバンカーショットのようにフェースを開いてヘッドを砂に潜り込ませようとしても、バンスが跳ね返されてトップしてしまうことがあります。
だから硬い砂ときは、フェースを開かず、フェースの向きもスクエアにして構えます。そして、飛ばす砂の量も少なくなるように打ちましょう。どちらかというと、バンカーショットというよりは、アプローチの感じで打つといいでしょう。
当然、ボールは高く上がらないので、アゴが高いときはグリーンを狙うのを諦めて、低い方向に出す勇気も必要です。
また、60度など、ロフトが大きめのウェッジで狙うのも一つの方法です。
砂質が軟らかい
砂が極端に軟らかい場合は、通常のバンカーショットのようにエクスプロージョンショットをすると、ヘッドが潜ってしまう場合があります。だからヘッドをあまり深く入れず、緩やかなU字軌道で砂の表面をサラッと薄く取る打ち方をしましょう。
フェースは開かず、スクエアに構えて打つのもポイントで、真横からヘッドを入れましょう。そうすれば、ボールだけを拾いやすくなります。
3.バンカーショットの距離の打ち分け
ボールを直接打たないバンカーショット(エクスプロージョンショット)の最大飛距離は、キャリーで男子プロで30~40ヤード、女子プロで30ヤード程度。つまり、30ヤード以上は、通常のバンカーショットでは届かないということです。
ここでは、バンカーショットの距離の打ち分け方と、30ヤード以上の打ち方を紹介します。
10~30ヤード
エクスプロージョンショットで打てる30ヤードまでの距離は、振り幅ではなくアドレス時の体とボールとの距離を変えることで打ち分けます。
例えば、10ヤードを打つときはボールから離れて立ち、スタンスを広げて腰を落として、重心を落として構えます。そうすればフラットなスイング軌道になり、ボールが高く上がり、飛距離が抑えられます。
一方、距離を出したいときは、ボールの近くに立ち、スタンスを狭めにして構え、重心位置も高くします。そうすることで、アップライトなスイング軌道になり、ヘッドを上から入れてボールの手前の砂を強く叩けます。また、体重移動が使えるようになるので、ボールを遠くに飛ばせるようになります。
くわえて、ボールを右足寄りに置けば、砂が薄く取れて飛距離が出て、左足寄りに置くと、砂が多めに取れて飛距離が落ちるということも覚えておくといいでしょう。
30ヤード以上
SWでのエクスプロージョンショットでは届かない距離の場合の打ち方は、2通りあります。
1つは、SWではなく、AWやPWで打つという方法です。打ち方は通常のエクスプロージョンショットと同じ。ロフトとクラブの長さを利用して距離を出すだけなので、簡単かつ確実です。
実際に大半の女子プロはこの方法を採用していて、某女子プロの場合、25ヤードまでは56度のSW、25~35ヤードは49度のPW、40~50ヤードは9番Iを目安にしているそうです。
もう1つの方法は、SWのままで、砂を薄く取って距離を出す方法です。これは一歩間違えるとホームランになってしまうなど、高度なテクニックが必要なので、アマチュアにはあまりオススメできません。
4.まとめ
アマチュアゴルファーの多くがバンカーショットを苦手にしているのは、バンカー練習をする機会が少ないというのが一番の理由だと思いますが、状況別の基本的な打ち方を覚えておくと、実際のコースでもパニックになることがなくなると思います。
ぜひ、それぞれの対処法を頭に入れて、本番に臨んでください。バンカーに対する苦手意識が確実に薄れると思います。