優勝者のスイング
左足下がりの池越えも苦にならない 大里桃子のフェードが安定感MAX!【優勝者のスイング】
「宮里藍サントリーレディス」で3年ぶりとなるツアー通算3勝目を飾った大里桃子。そのスイングから学ぶべきポイントをプロコーチの南秀樹に聞いた。
配信日時:2024年6月12日 08時14分
昨季は腰痛などに苦しみシード落ち。「ゴルフを辞めよう」と思うくらい悩んだという大里桃子が、3年ぶりにツアー通算3勝目を飾った。ゴルフの調子が上向いたひとつの要因が球筋をフェードに変えたこと。QTで上位に入り、今季の出場権を確保。いまは「スイングに悩むことはない」という。
大里のスイングについて南に聞くと、「もともとはドローヒッターで、背が高くスイングプレーンも大きな選手。ただ、ドローヒッター特有の悩みでもあるクラブが下から来やすいタイプ。今は、そのあたりが修正され安定感が増しています」と話す。
スイングリズムも特徴的だ。「トップをワイドに上げる中で、ゆったりとしたリズムを刻んでいきます。切り返しでも急ぐことなく、クラブを上げた同じリズムで下ろしています」とリズムが大きく変わらないのも安定する要素に挙げる。
さらに、左に振り抜く体勢を作っているのもフェード的な動きだ。「無理に体を残してしまうとボールがつかまってしまう。プレーン自体立っているので、左に振れればフェードが出ます。そのために無理に前傾をキープしたり、胸の面を残したりせず、自然に体を回転させています」。
宮里藍サントリーレディスの舞台は、六甲国際ゴルフ倶楽部。トーナメントでは、これまでも最終ホールで見応えのある攻防が繰り広げられてきた。打ち下ろしのパー4で、ティショットから大きく打ち下ろしていき、左足下がりとなることが多いセカンドでは、左に池とバンカーがあるグリーンを狙う。
最終日は毎年恒例となっている左サイドにピンが切られており、「プロでも試合となると難しいシチュエーション」と南。左足下がりのライから、硬いグリーンにボールを止めなければならず、今大会でも最終日にバーディを奪ったのは、優勝した大里と2位に入った山下美夢有の2人だけだった。
大里のスイングからは、左足下がりからでもナイスショットを打つヒントがある。まずは左足下がりからのショットではアドレスが重要と南。「傾斜なりに左足体重で構えたら、そのまま素振りをして最下点を確認。確認した最下点よりも、ボール半分から1個分程度手前(右足寄り)にボールをセットします。左に軸を倒し、いつもよりボールを左から見ているので、『右に置き過ぎ』と錯覚しやすいことに注意してください」。ボールを右に置くほど、クラブの入射角が鋭角になり過ぎ、ボールコントロールが難しくなってしまう。
スイングでは左に振ることを意識したい。「クラブを上から入れたいライですが、ダウンスイングよりもフォローを意識。目標よりも左に振ること、大里プロのように無理に体を残さず左に振り抜ければ、クラブは上から入ります」。ただし、左足下がりが苦手な人は、体の回転を意識すると右に体重が残りやすくダフりのミスを招きかねない。そんな人は「振り切らずに、フォローを低い位置で止めてみましょう」。
プロでも難しい左足下がりも、アドレスと左に振り抜くことで満足のいくショットが打てそうだ。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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