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    ゴルフの体重移動ってどうするのが正解? プロもやっている体重移動のコツを紹介

    ゴルフのレッスンで必ずと言っていいほど登場するキーワードが「体重移動」です。体全体を使って効率良くボールを飛ばすために必要不可欠な技術ですが、多くのアマチュアゴルファーが身に付けられずに悩んでいる課題でもあります。今回は、体重移動に関する考え方やプロが実践しているコツについて解説していきます。

    所属 ゴルフライター
    田辺直喜 / Naoki Tanabe

    配信日時:2024年4月5日 05時46分

    • レッスン
    • 体重移動
    • スイング理論
    目次 / index
    • 右足から左足に体重移動するのは危険!でも体重移動は必須、ではどうすれば?
    • バックスイングの体重移動はヨコじゃなくて『斜め後ろ!』 プロとアマの違いを石井忍が解説
    • 「原英莉花がお手本 切り返しの『抜重』で200%踏めてぶっ飛ばせる!
    • 年間女王もガニってた! 両ヒザの間隔を広げれば、左足に強く踏み込める
    • イ・ボミがゴルフレッスン テークバックは右腰を早めに回してから体重移動
    この記事の写真 6 枚を見る

    1.ゴルフにおいて体重移動は「超」重要

    ゴルフのスイングは、自分の体を軸としたクラブヘッドの円運動です。円弧が大きくなり、ヘッドが加速するほどボールを遠くに飛ばせますが、そのためには体重移動をしっかり行う必要があります。

    ゴルフにおける基本的な体重移動

    簡単に説明すると、体重移動とは、スイング中に右足、左足と順に加重していく動きになります。

    まず、バックスイングでは右足に体重をかけることで、上体をしっかり捻転させた深いトップを作ることができます。ヘッドを加速させるためのエネルギーをためているような状態です。

    続いて、切り返し以降はだんだんに左足に加重することで、クラブを引っ張り下ろし、ダウンの途中から急激に走らせることで、圧倒的なボール初速を出すことが可能になります。

    上体の動きだけでは、ヘッドスピードを上げるにも限界があり、ボールを遠くに飛ばすことができません。一方で、適切に体重移動を行うと軸を保ったまま、ヘッドを大きく、速く動かすことができ、再現性の高いインパクトで、効率良く飛ばすことができるわけです。

    体重移動がスムーズかつ大きくできるようになると、筋力や体格以上に飛ばすことも可能になるため、上達志向の強いゴルファーであれば、ぜひとも身につけてほしい技術です。

    2.体重移動のよくある2つのミス

    スイングに必要不可欠な体重移動ですが、体を大きく使う必要がある分、悪い動きも出やすくなります。

    体の軸をブラさずに足を使うことが体重移動の大原則ですが、多くのゴルファーは軸も一緒に動いてしまい、結果、ショットが不安定なものになっています。ここでは、体重移動を身に付けようとする際に陥りやすい代表的な悪い動きを紹介していきます。

    リバースピボット

    トップで、体の軸が目標方向に傾いた状態をリバースピボットと呼びます。バックスイングで軸が傾いた分、ダウンスイングで反対方向に戻ろうとする動きが強くなり、右肩が下がるあおり打ちになりやすいのが特徴です。インパクトでヘッドが戻る位置が不安定になるため、ダフリやトップといったミスが出やすくなります。

    リバースピボットは、バックスイングで右足への加重が小さく、左足に体重が残り過ぎた場合に起こることが多いです。手先でクラブを上げてしまっているため、ヘッドが思うように走らず、飛距離も出ないので絶対に避けたい形となっています。

    スエー

    体重移動がほとんどできていないリバースピボットに対し、体重移動をしようとするあまり、体全体がヨコに流れてしまう動きをスエーと呼びます。

    スエーの状態では、体が流れることで、軸もヨコにブレてしまうため、正確なインパクトができなくなり、方向性が悪くなります。また、上体を捻転できず、軸が動く分、ヘッドにかかる遠心力も小さくなるため、動きがダイナミックに見える割にボールが飛ばないこともスエーの特徴と言えます。

    スエーしてもOKな場合もある!?

    スエーは基本的に避けるべき動きです。しかし、意図的にスエーの動きを入れることで、飛距離を伸ばせることもあります。

    例えば、体が硬くなってきたシニアゴルファーにとって、軸を保ったまま上体を捻転させるのは難しいですし、できたとしても体への負担が大きくなり、怪我につながる恐れがあります。そういった場合は体を無理に捻転させずに、左右に体を少しずつスエーさせることでクラブヘッドの運動量を増やしてあげれば、ヘッドスピードを上げて飛ばすことができるようになります。

    このようにスエーを利用して飛ばせる例もありますが、筋力や柔軟性の高い若者ゴルファーなどがこれを真似しようとすると、スエーの動きが大きくなり過ぎて、前述したようなミスが頻発する可能性が高いので、おすすめはしません。

    3.プロもやっている体重移動のコツ5選

    ここからはプロが適切な体重移動を行うために実践しているコツを紹介していきます。身につけるのが難しい体重移動も、発想を変えるとできるようになることもありますので、ぜひ練習場などで試してみてください。

    左右のお尻で体重移動を感じる

    史上初となるアマチュアでのツアー2勝を達成し、プロ入り後もルーキーイヤーにシーズン2勝を挙げて賞金ランク2位になるなど、順調にキャリアを重ねている蝉川泰果プロ。平均飛距離300ヤード越えの飛ばし屋ですが、スイングではお尻を使った体重移動を意識している、と話します。

    足から足への体重移動は体が左右にブレやすく危険ですが、トップで右のお尻、インパクトで左のお尻で体重を受け止めるイメージを持つと、軸を保ったまま鋭く体を回転することができるようです。

    詳細は「右足から左足に体重移動するのは危険!でも体重移動は必須、ではどうすれば?」をご覧ください。

    右足から左足に体重移動するのは危険!でも体重移動は必須、ではどうすれば?

    右足から左足に体重移動するのは危険!でも体重移動は必須、ではどうすれば?

    バックスイングでの体重移動は斜め

    米国男子ツアーのトッププロも使用するなど、近年、体重移動のレッスンに用いられることが増えているのが「スイングカタリスト」という計測器です。地面に対する足圧の強さや変化を測定することができ、プロの感覚的な方法論を具体的な数字で見ることができることが魅力となっています。多くのツアープロを指導する石井忍コーチも、スイングカタリストをレッスンに活用する一人ですが、プロとアマチュアのスイングでは体重移動に決定的な違いがある、と話します。

    1つ目の違いが、バックスイングにおける体重のかけ方です。アドレスでは、プロもアマチュアも同じ母指球(ツマ先側)に体重がかかっていますが、そこから右足に加重する段階で違いが出てきます。アマチュアはヨコ方向に体重移動が起こり、軸も右に傾く傾向が強いようですが、プロは左足の母指球に体重をかけたまま、右足はカカト側に体重をかけていくのです。

    この動きは国内女子ツアー通算10勝(2024年4月5日現在)の小祝さくらプロが実践している動きとなっています。ショットメーカーの実力者の動きと聞くと気になりませんか。

    詳細は「バックスイングの体重移動はヨコじゃなくて『斜め後ろ!』 プロとアマの違いを石井忍が解説」をご覧ください。

    バックスイングの体重移動はヨコじゃなくて『斜め後ろ!』 プロとアマの違いを石井忍が解説

    バックスイングの体重移動はヨコじゃなくて『斜め後ろ!』 プロとアマの違いを石井忍が解説

    切り返しで「一瞬」力を抜く

    前出の石井コーチは、プロのスイングカタリストのデータを見ていくと、切り返しで地面を踏む力が一瞬減少することが分かっていると話します。より具体的な数字を出しますと、プロは切り返し直後に約30%脱力し、その直後に約200%という強烈なパワーで地面を蹴っている、と言うのです。

    女子ツアー屈指の飛ばし屋である原英莉花プロがこの脱力を巧みに使う代表例となっています。切り返し直後にヒザを曲げる動きを入れてから、右足のツマ先で地面を蹴ることでスイングのパワーを生み出しているのです。

    詳細は「原英莉花がお手本 切り返しの『抜重』で200%踏めてぶっ飛ばせる!」をご覧ください。

    「原英莉花がお手本 切り返しの『抜重』で200%踏めてぶっ飛ばせる!

    「原英莉花がお手本 切り返しの『抜重』で200%踏めてぶっ飛ばせる!

    ガニ股で左足を強く踏む

    スイングカタリストの出現により、プロはインパクト時に95%以上の体重を左足にかけていることが分かっています。アマチュアゴルファーの多くは、右足に体重が残り過ぎて、バックスイングでためた力を適切に解放できていないことがほとんど。石井コーチは、両ヒザの距離感を見直すことで、右足に体重が残ることを防げられる、と話します。

    具体的には、ダウンスイングでプロは、左ヒザを目標に向けながら、両ヒザの間隔を広げて、一瞬ガニ股の状態を作っています。両ヒザを広げることで左足に体重をかけやすい状態になるからです。2年連続でメルセデス・ランキング年間女王に輝いた山下美夢有プロのように、両ヒザの間隔を狭めずに左足の外側で踏ん張るように振るのも、しっかり左足に体重移動させるコツとしておすすめです。

    詳細は「年間女王もガニってた! 両ヒザの間隔を広げれば、左足に強く踏み込める」をご覧ください。

    年間女王もガニってた! 両ヒザの間隔を広げれば、左足に強く踏み込める

    年間女王もガニってた! 両ヒザの間隔を広げれば、左足に強く踏み込める

    右腰を早く回す

    最後は2023年に、国内女子ツアーを引退したイ・ボミ(韓国)プロです。ボミプロ自身、バックスイングで上手く右足に体重を乗せられず、左足体重のトップになって、右腰がスエーしてしまっていた時期があったと話します。そのまま切り返すと、カット軌道で右に曲がるミスが出ていたようです。

    そんなスエーを防ぐために考えたコツが、テークバックで右腰を早く回すことでした。骨盤を早めに回すことで、上体をスムーズに回すことができ、右足に体重が乗った理想的なトップが作れるようになったのです。この動きを1つ入れるだけで、前傾角度もキープしやすくなり、体幹を使ってクラブを振れるようになりました。体重移動に悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。

    詳細は「イ・ボミがゴルフレッスン テークバックは右腰を早めに回してから体重移動」をご覧ください。

    イ・ボミがゴルフレッスン テークバックは右腰を早めに回してから体重移動

    イ・ボミがゴルフレッスン テークバックは右腰を早めに回してから体重移動

    4.体重移動が身に付く練習法

    体重移動は、スイングの「流れ」の中で、スムーズに行う必要があり、それゆえに難しくなっています。即効で身につけるには、形を作るよりも、自然に体重移動の動きができるようになる練習法を行うのがおすすめです。ここでは、体重移動を身につけるのに最適な2つのドリルを紹介していきます。

    ステップ打ち

    体重移動を頭で考えるのではなく、体で覚えることが可能になる練習法が、ステップ打ちです。

    まず両足を揃えた状態でボールに対して構え、そこから左足を広げながらフォロー側にクラブを振り出して助走をつけます。そこから右足を広げて、クラブを上げていき、同時に左足を上げることで、右足に体重を乗せていきます。そこから左足を地面に落として踏み込み、ボールを打っていくのです。大げさに足を使うことで、体重が左、右、左と移動していく動きを感覚的につかむことができます。

    使用するクラブは基本的に何でもOKですが、最初のうちはウェッジなど、短いクラブがおすすめです。練習を重ねて慣れてきたら、だんだんに長いクラブにもチャレンジしていきましょう。

    連続打ち

    ボールをタテに3個並べて、順番に打っていく連続打ちも体重移動が身に付くおすすめの練習法になっています。

    まず1つ目のボールから離れたところに両足を揃えて立ちます。そこから左足に体重を乗せながらフォローサイドにクラブを出し、続けて右足を右斜め前に踏み出しながらバックスイングを上げていきます。トップまで上がったら今度は、左足を左斜め前に踏み出して、ボールを打っていくのです。打ち終えたら、再び右足を右斜め前に踏み出しながらバックスイング…といった具合に、前方に進みながら、ボールを連続して打っていきます。

    ステップ打ちがその場でヨコ方向に体重移動を行うのに対し、連続打ちは、前方に歩いて進みながらボールを打つ練習法になっています。静止せずに、連続してボールを打つことでフィニッシュの位置から戻ってくるクラブの反動を利用して体重移動を行うことができるため、効率的な動きを体に刷り込むことができます。

    このドリルを繰り返した後で普通にボールを打つと、驚くほど体重移動がスムーズに行えるようになっているでしょう。

    5.まとめ

    今回は、スイングの重要な技術である体重移動について解説してきました。体重移動は、トッププロであっても悩むことがある難しい動きで、身に付けるには多くの練習が必要となります。しかし、一度コツをつかめたら、スイングの再現性や飛距離が大幅に向上して、ゴルフのレベルが一気に上がることは間違いありません。ベストスコアの更新やシングルハンディ取得を目指すゴルファーには、ぜひ本記事を参考に正しい体重移動を身につけていただきたいです。

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