「ボールを投げる動きには順番がある」 藤田寛之のスイングを復調させた仲間からのアドバイス
今季序盤はショットの不調に苦しんできた藤田寛之。そこから全米シニアオープン2位に入ることができた裏には、チームの仲間からのアドバイスがあった。
配信日時:2024年7月11日 05時02分
「逆球も出るし、ダフリも出る」。シーズン序盤の藤田寛之はショットの不調に悩まされていた。昨年の賞金ランキングで3位に入った国内シニアツアーでは、今季3戦を戦って、38位、43位、18位とベスト10はなし。苦しいシーズン序盤を過ごしていた。
それが2週前に出場した「全米シニアオープン」では一転、ショットが冴え渡る。最後はプレーオフで惜しくも敗れたものの、海外メジャーで大健闘の2位。フェアウェイキープ率は出場選手中1位の91.67%、パーオン率は5位の77.63%を記録した。これには「フェアウェイが広かったのが1個ある」と苦笑いしながらも、同じ『チームセリザワ』の遠藤正人のアドバイスが復調のきっかけになったと明かす。
「ボールを投げる動きには順番がありますよねって言われたんです。自分はフェースが開くのが嫌で手先でコントロールしていて、スイングが不自然だったと気付かせてくれた。ボールを投げるときにボールを先に持っていこうとはしない。足から動いて、腰、肩、ヒジときて最後にボールを持っていこうとしている。それが原点です」
体の連動性を持ってスイングする。それは藤田自身も分かっていたことではある。しかし、開くフェースを真っすぐにしようとするあまり、「腰を止めようとか」部分的な修正にばかり目がいき、不自然なスイングとなっていた。「スイングの概念とはまた違う。『動作』としてそれが自然という感覚。スイング自体は変えていないんです」。
遠藤のアドバイスを受けて、およそ1カ月前から体の連動性をテーマに練習に取り組んできた。「今もやっているんですけど、振りやすくなった。『力が入っている』とよく言われていたのがなくなっていると思います」とスイングが復調。その成果が全米シニアオープンで表れた形だ。
今月25日からは「全英シニアオープン」に出場する藤田。上位に入れば米シニアツアーのシード権も見えてくるが、それが簡単ではないことは本人も十分に分かっている。55歳になった今、新たな挑戦が始まった。
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●藤田寛之は飛距離をカバーするショートゲームを武器に、レギュラーツアーでは通算18勝を挙げ、2012年には43歳で賞金王に輝いた。関連記事の【アプローチの名手・藤田寛之のSWはなぜ“58.5度”なのか?】では、数々の勝利に貢献してきたウェッジのこだわりについて語っている。