ショットメーカー・稲見萌寧が行う“ゴムチューブ素振り”と“ヒザ立ち打ち”の効果
稲見萌寧は「自分がそのとき悩んでいることで、このドリルいいんじゃない?」と、自ら練習法を考えながら、ショット力の向上に努めている。
配信日時:2024年3月20日 06時12分
正確なショットを武器に国内女子ツアー通算13勝、米国女子ツアー1勝を挙げている稲見萌寧。「自分がそのとき悩んでいることで、このドリルいいんじゃない?」と、常に練習法を考えながら、ショット力の向上に努めている。
そのひとつがティアップしたボールをヒザ立ちの状態で打つドリル。稲見は「6番とか7番アイアン」を使用している。コーチの柳橋章徳氏は「他の選手も行っている腕の使い方の訓練ですが、彼女は別の意味でやっている」と話す。そんな稲見の悪癖は「全部一枚の壁みたいに動いてしまう」こと。調子が悪いときは上半身と下半身の捻転差がうまく作れず、ボールを強く叩くことができない。
「ヒザ立ちで足に制限をかけることで、胸郭から上を捻転する動きが生まれます」と柳橋コーチ。稲見は強制的にクラブと体が引っ張り合う状態を作ることを目的としている。通常のスイングと同じように、ヒザ立ち打ちの切り返しでも「若干」下半身が先行することで「当たる」という。
もうひとつ、「ゴムチューブをどれだけスピードを上げて力強く振れるか、私とコーチたちで勝負していました(笑)」というドリル。これはトレーニング用のゴムチューブを、フォローでビュンと大きな音が鳴るように振るだけ。柳橋コーチは「ゴムチューブは軟らかくてグニャグニャ。ムチのように引っ張らないと速く振れないのがわかります」と効果を語る。
実際、稲見のゴムチューブ素振りと、ドライバーのスイングを見比べてみると、インパクトに向かって引っ張りながらフォローでスピードを上げていることがわかる。「いちいち深く考えちゃうと練習ドリルの意味がない」と稲見。体のどこをどう使おうとか意識しなくても、ゴムチューブを振ることで、引っ張りながら加速させるしなやかな動きが身に付くのだ。
■稲見萌寧
いなみ・もね/1999年生まれ。東京都出身。東京五輪では銀メダリストにして、2020-21年シーズンの賞金女王。昨年11月、日米共催の「TOTOジャパンクラシック」で優勝し、その資格で今季から米国女子ツアーに参戦している
■柳橋章徳
やぎはし・あきのり/1985年生まれ。茨城県出身。名門・中央学院大学でレギュラーとして活躍し、その後ティーチングの道へ。昨年6月から稲見萌寧のコーチを務めている
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