優勝者のスイング
パターのリズム「イチ、ニー、サン」では危険!? 山下美夢有は最後が「サーン」【優勝者のスイング】
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップを制し、2年連続の年間女王となった山下美夢有。そのスイングをひも解いてみよう。
配信日時:2023年11月27日 09時08分
最終戦を制し、シーズン5勝、2年連続で年間女王となった山下美夢有。シーズン平均ストロークは歴代最少となる「69.4322」を記録。史上初となる2年連続での平均ストローク60台を達成した。そんな山下のスイングを「ドライバーからパターまで、リズムやテンポが変わらず、迷いなく振っている。身長が低いプレーヤーは、球を上げようとして煽る動きが入りやすいのですが、レベルに綺麗にターンしているもの彼女の特徴です」と、長いクラブも苦にしないスイングだと分析するのはプロコーチの南秀樹。われわれも参考にしたいポイントを教えてもらった。
最終戦の勝利、そして2年連続の女王を支えたのは、ショットはもちろん「パッティングの上手さもある」という南。今季の山下のデータを見ると、平均パット数はパーオンホールで「1.7256(1位)」、1ラウンド当たり「28.7368(7位)」といずれも女王に相応しい数字。バーディ数も「458」で2位につけており、「勝負どころで決めているのがわかる」(南)。
そんなパットの上手さは、ショット同様にリズムやテンポが変わらない点にあるという。「まずはルーティン、構えてからバックスイングを上げるまでがとてもスムーズで毎回同じなので、ストロークが安定します。入らなかった時はラインやタッチの問題となり、ストロークに悩むことが少ない。反対に構えてからモジモジする人は、なかなかクラブが上がらず、インパクトで緩んだり、パンチが入ったりする。こうなると修正点が多くなって、調子の波が大きくなるんです」。
スムーズにクラブを上げて下ろすために意識したいのは、「イチ、ニー、サン」といった基本的なリズムの取り方。ポイントはそのタイミングだ。「“イチ”はヘッドを置いてアドレスしたところ、“ニー”がバックスイング。そして“サン”はフォローで“サーン”と長めにすると、ボールが押せて方向性が良くなります」。同じように“イチ、ニー、サン”とリズムを取っていても、そのタイミングや長さによってストロークに及ぼす影響は変わってくる。モジモジしないためにも、ヘッドを置いたら“イチ”をカウントして動き出す。そしてフォローはちょっと長めに“サーン”と言って、ヘッドを低く長く出していこう。
ストロークをスムーズにする練習ドリルも取り入れみよう。ワキのちょっと下に棒を挟んで鏡を見ながら素振りをすれば、体が使えて軸ブレを抑えたストロークにつながる。「ワキに挟んだ棒を動かすようにすれば、肩の回転が入って体でクラブを上げることができます。その際、気をつけたいのが軸ブレ。お腹に力を入れて、体重は拇指球に。正面に鏡を置いて素振りをすれば、どのポジションならブレないのか教えてくれます。また後方に鏡を置いて、頭の高さをキープすることを意識すれば、さらにストロークが安定するでしょう」。
ロングパットが寄せきれない、ショートパットも確率が悪いなら、ストロークに課題があるのは明白だ。次のラウンドまでに自宅で特訓してみよう。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属
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