飛ばしに必要なのは「体重移動」なのか「その場で回転」なのか論争に結論! 答えは非常にシンプルでした
ゴルフではお決まりの“体重移動”。飛距離アップには必要な要素だが、あえて体重移動させる必要はないという。
配信日時:2024年8月6日 03時24分
レッスンではよく、球にパワーを効率よく伝えるためには体重移動が大事だといわれてきた。飛距離アップを目指すなら、是非とも正しい体重移動を覚えたいが、宮里藍の父でありコーチの優氏は、「むしろ、体重移動の意識なんて持たなくていいんです」という。それって、体重移動はいらないってこと?
「体重移動の話の前に、スイングにおいて重要なアドレスについて説明しましょう。実際に鏡の前でアドレスを取って自分の姿を見て欲しいのですが、スタンス幅から垂直に線を伸ばし、自分を仮想の箱で囲ったとき、左右の壁と腰との間隔が等しくなっているでしょうか。右腰は壁に近く、左腰が壁より離れているなど、左右の間隔が揃っていない場合は、バランスの取れたアドレスとはいえません。均整の取れた“ボックス型”のアドレスが取れて初めて、スイングに“軸”が生まれるのです」
右腰が壁に近いということは、重心が右にズレているということ。つまり、軸が傾いているため、バランスが悪いということか。
「スイングの土台であるアドレスから軸が歪んでしまうと、その後のスイングすべてが歪みの修正に終始することになり、当然、当たり外れの多いゴルフになってしまいます。また、アドレスの歪みから悪いクセが出てしまうケースもあります。右腰が壁に近い場合、左腰が低く右腰が高い傾いた軸のアドレスなので、バックスイングで右サイドが外に逃げやすい。さらに、下半身が外側に流れることで球から遠ざかった分を補おうと、上体は逆に球に近づこうとする。すると、トップで頭が沈み込むなど、歪んだスイングになってしまうのです」
アドレスの歪みだけでここまでスイングにも影響が出るなんて……それほどまでにアドレスは重要ということか。
「アベレージゴルファーよりシングル、シングルよりプロと、高いレベルの人のほうがアドレスに神経を使っています。それほどアドレスは重要で、正しく矯正するには右ヒザの流れと頭の沈み込みに注意する必要があります。右ヒザが外に流れないように意識すると、逃げ場がなくて苦しく感じるでしょうが、それは今まで楽をしてきた証拠ともいえます」
右ヒザが流れないようにするのはわかったが、そうすると左ヒザも流さないようにしないとならない。でもこれだと、体重移動ができなくなって、飛距離が出ない気が……。
「それがまさに、最初に話した“体重移動の意識は必要ない”につながります。体重移動というと、多くのアマチュアは横に動かすイメージを持ちがちですが、それではダウンで左に突っ込んだり、腰を左に突き出すような歪んだスイングになる。スイング中に下半身を左右に揺さぶるようなイメージは一切必要なく、その場でクルッと素早く回るイメージだけ持ちましょう。人間の体は、体を右に回せば体重は右に、左に体を回せば体重は左に移るようにできているのです」
胸の前で両手をクロスして構えて、その状態から両ヒザが左右に膨らまないようにクルッと上体を右、左と回してみると、バックスイングでは右足体重に、フィニッシュでは左足体重になっているのがわかるはず。体を回転させるだけで自然と体重移動できるから、あえて意識する必要はないということだ。飛ばそうとして下半身を横に動かしていた人は、上体を回転させる意識を持って打ってみると飛距離アップにつながるだろう。
◾️宮里 優
29歳でゴルフをはじめ、独学でゴルフ理論を構築。36歳の時に男子プロトーナメントの大京オープンにアマチュアとして出場。その後、ティーチングプロの道を歩む。子供たちと一緒に楽しみたいとやらせたゴルフだが、結果的に聖志・優作・藍の3人共プロゴルファーの道を選んだ。
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