PGAツアーがLIVゴルフを全面支援するサウジアラビアの政府系ファウンドのPIFと「統合」を進めるなか、欧州のDPワールドツアーがLIVゴルフと個別に協定を進めていると米メディアが報じている。PIFとの統合にはPGAツアーとDPワールドツアーも名を連ねているが、LIVゴルフに参戦する選手への対応は異なる。
LIVゴルフに参戦する選手がPGAツアーには一切出場できないのに対し、DPワールドツアーは「罰金」を支払うことで、メンバー資格の復活を認めているが、これとは別にLIV選手がアクセスできるようにすることなどが検討されているという。
DPワールドツアーはLIVゴルフが発足する以前から、PIFとのパートナーシップや提携について話し合われてきた経緯がある。しかし、この話し合いはPGAツアーとDPワールドツアーが「戦略的提携」を締結したことからストップ。現在はPGAツアーとDPワールドツアーが共催のトーナメントが行われている。
だが、昨年6月に電撃発表された「統合」は1年半経った現在も締結されておらず、さらにPGAツアーは「ストラテジック・スポーツ・グループ」から投資を受けて新会社、「PGAツアー・エンタープライズ」を発足する。
一方、LIVゴルフはDPワールドツアーに9月、ジョン・ラーム(スペイン)やティレル・ハットン(イングランド)らに課せられている罰金を解除する代わりに金銭的援助を行い、さらにLIV選手をDPワールドツアーの大会に自由に出場できるようにするというオファーを出したと報じられた。しかし、DPワールドツアーはこのオファーを断っている。
現時点では、罰金を支払うことでDPワールドツアーのメンバー資格を復活させることができ、セルヒオ・ガルシア(スペイン)は先月、100万ユーロ(約1億6400万円)を支払い復帰を目指すと報じられた。
一方、ラームは「罰金は支払わない」とスポーツ仲裁裁判所へ申し立てを行ったため、審理中は「出場停止は一時解除」となり、DPワールドツアーへ出場を果たした。トップ選手がPGAツアーを主戦場とするなかで、DPワールドツアーはLIVゴルフからスター選手を受け入れる可能性は大いにあり得るとみられている。(文・武川玲子=米国在住)