成瀬氏の話で驚いたのは、選手の体をケアするだけで、今どのようなスイングをしているのか分かってしまうことだ。動作解析に通じているからだが、たとえば、なぜそこに痛みを感じるのかを選手に説明し、こういう動きをしているからで、その動きを修正すると痛みは消えるといった話を理路整然と行う。比嘉にしても、ショットが好調だったときと体の張りが異なるため、実際にスイングを見なくても、スタンス幅を広くしていることに気がつき、そこからボールの位置が左にあること、ダウンスイングの切り返しで間が無くなっていることが分かった。比嘉はスタンスを狭めただけで、他の部分が自動的に修正できたのだ。
成瀬氏がいうように、選手が自分の動きを理解できれば、ケガを未然に防ぐ確率は一気に上がる。基本的に、調子がいいときは、悪い動きをしていないのでケガをしにくい。逆にいうと、いい動きをしていないからケガをするのだ。なぜいい動きができないのかといえば、そこにいろんな要素が加わるという。
たとえば、アゲンストの強い日にプレーしたとする。パンチショット気味にボールを打つことで本来の自分が持つタイミングに誤差が生じる。本来なら、インパクト重視のスイングになっていたわけだから、素振りをいつもより多く行うことでスイングのタイミングを取り戻せていたはずだ。ところが、そのことに気づかずに調子が悪いのはスイングのせいだとああでもない、こうでもないと試行錯誤するうちに、悪い動きになってしまうのだ。
「選手が自分のことを知っていれば、調子を落としても、ああ、ここがこうなっていたからだなと、自分自身で調整できるようになり、それがケガの予防にもなるわけです。そういう選手が一人でも多く増えてくれるとうれしいですね」
と成瀬氏。時間があるときは必ず練習場に足を運び、選手がどのように体を動かしているのかをチェックする。自分の体やスイングのことを的確に把握してくれるわけだから、比嘉に限らず、成瀬氏に対する選手からの信頼は相当厚い。けっしてスポットライトを浴びることはないが、選手がベストパフォーマンスを発揮するためにも、絶対に欠かせない存在であることは間違いない。(文・山西英希)
成瀬氏がいうように、選手が自分の動きを理解できれば、ケガを未然に防ぐ確率は一気に上がる。基本的に、調子がいいときは、悪い動きをしていないのでケガをしにくい。逆にいうと、いい動きをしていないからケガをするのだ。なぜいい動きができないのかといえば、そこにいろんな要素が加わるという。
たとえば、アゲンストの強い日にプレーしたとする。パンチショット気味にボールを打つことで本来の自分が持つタイミングに誤差が生じる。本来なら、インパクト重視のスイングになっていたわけだから、素振りをいつもより多く行うことでスイングのタイミングを取り戻せていたはずだ。ところが、そのことに気づかずに調子が悪いのはスイングのせいだとああでもない、こうでもないと試行錯誤するうちに、悪い動きになってしまうのだ。
「選手が自分のことを知っていれば、調子を落としても、ああ、ここがこうなっていたからだなと、自分自身で調整できるようになり、それがケガの予防にもなるわけです。そういう選手が一人でも多く増えてくれるとうれしいですね」
と成瀬氏。時間があるときは必ず練習場に足を運び、選手がどのように体を動かしているのかをチェックする。自分の体やスイングのことを的確に把握してくれるわけだから、比嘉に限らず、成瀬氏に対する選手からの信頼は相当厚い。けっしてスポットライトを浴びることはないが、選手がベストパフォーマンスを発揮するためにも、絶対に欠かせない存在であることは間違いない。(文・山西英希)