＜三井住友VISA太平洋マスターズ　3日目＞◇13日◇太平洋クラブ 御殿場コース(7,246ヤード・パー72)

　国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」の3日目。石川遼が連続チップインバーディなどでスコアを伸ばしていく中、その4つ前の組でスタートした藤田寛之がとんでもないスコアを叩き出していた。藤田がこの日奪ったバーディは実に10個。10番でボギーを打ったものの、室田淳の持つコースレコードにあと1打と迫る“63”をマークして一気に首位タイに浮上した。

石川遼はどうなった？1打速報で振り返る

　大会前は不調のどん底にいた。師匠の芹澤信雄も「彼は重症です」と語るなどビッグトーナメントが控える終盤戦に来て事態は深刻だった。「昨日、師匠に泣きを入れる形で見てもらって。自分の中ではズレが大きすぎるので、かなり大きく大胆にやっていかないと駄目なんだなと…」時計の針でいえば10時の方向に振りぬくイメージ。師匠に受けたアドバイスを心に強く刻んでスタートした。そして、いつもよりも大胆にチェックポイントを意識して18ホールを回った結果がこのスコアだ。

　「ずっとショットが悪い中でどうにかやれていたのはパッティングが良かったから。ショットさえ戻ってくればと思っていたが、それが今日の形になった」ズレ続けていた歯車がついにガッチリ噛みあい石川もビックリのビッグスコアが生まれた。しかし、今日は大胆さが上手くはまったがまだ藤田の中ではまだまだ矯正している段階。これから微調整を加えじょじょに自分のモノにしていかなければならない。「明日は優勝とかスコアとか色々でてくる。簡単ではないとわかっていますが…」と優勝のかかる最終日は苦しいラウンドとなることを覚悟した。

　加えて同組となる相手は勢いに乗る石川遼だ。これには藤田も「非常に良いシチュエーションではあるのでしょうね。個人的見解ではなくて周りのね(笑)」と苦笑い。しかし、ひとたび噛み合えば、爆発力を持つ19歳をねじ伏せることも十分に出来るのはこの日のスコアが証明している。「今日くらいの感じになれたらいいですねぇ明日も…」日替わりで変わるショットを自分のものに出来るか。藤田の18ホールの挑戦が始まる。