「ダンロップフェニックスは大好きな試合だけに、戦えない自分がいつまでも試合に出続けるわけにはいかないよ」

自分なりのけじめをつけた形だ。ジャンボ、中嶋はともにプロゴルフ界の一時代を築いたレジェンドだけに、結果に関係なく、いつまでもトーナメントでプレーする姿を見たいというファンも少なくない。反対に、強いままの選手でいてほしいからこそ、トーナメントから退くべきだという意見もある。まさに賛否両論だが、一つだけ言い切れることがある。それは、ゴルフに対する愛情を今なお失っていない、ということだ。

どんなに体がボロボロになろうとも、クラブを握っていることが喜びであり、至福の瞬間でもある。今年の「マイナビABCチャンピオンシップ」でジャンボと同組でラウンドした竹谷佳孝は、いまだにジャンボからは“ゴルフを上達してやろう”という気迫を感じたという。飛距離へのこだわりや1打に対する執念は健在なのだ。

中嶋にしても、体にかなりの故障を抱えている。おそらくレギュラーツアーどころか、シニアツアーで戦うことすら辛いはずだ。それでも、ダンロップフェニックスでは、痛い顔を見せることなく、必死で36ホールを回り切った。

「自分にはゴルフしかないし、ゴルフが大好きという気持ちだけで今までやってきた」

今回コースを後にするとき、ジャンボにとってのモチベーションを聞くと、こんなシンプルな答えが返ってきた。中嶋にしても同じ考えだろう。ゴルフをできるだけで幸せな気持ちになれる。それが、トーナメントという緊張感のある舞台ならなおさらだ。許されるなら、たとえ杖をついてプレーしてでも、トーナメントには出続けたいはずだ。