インサイドロープでプロゴルファーの凄みや熱気を感じ、ときおり会話のやりとりを見聞きするなど、“試合中の選手たちに最も近いメディア”であるツアーカメラマンが見た印象的な景色を紹介する。【カシオワールドオープン編】
ミスした後の…アプローチはさすがでした!
最終日に「64」をたたき出し、逆転優勝を果たしたキム・キョンテ(韓国)。最終18番パー5(530ヤード)では、3打目のアプローチを“OK”につけてバーディフィニッシュ。“鬼”のふたつ名にふさわしい圧巻の終幕となった…が、実はこのナイスショットの裏で、勝利が揺らいだ瞬間があった。
18番ホールに入った時点ですでに単独首位に立っていた。バーディチャンスの最終ホールで1つ獲れば、勝利はほぼ確実。ティショットをしっかりとフェアウェイにおき、悠々とセカンド地点に歩いて行く。「2打目は迷わずユーティリティを手に取って、ものすごくナイスショットを打っていました」と、そばで見ていた鈴木祥カメラマンが振り返る。
ところが、インパクト直後、満足げにボールを見送るキョンテの表情が一瞬でゆがんだ。天を仰ぎ、手で顔を覆う。「改心のショットだったようですが、突風に持って行かれてグリーン右サイドのラフに落ちたんです」。ここで崩せば、逆転される可能性もある。まさか、ここまで来て…。キョンテ本人は顔を覆った自覚はなかったそうだが、カメラはその表情をしっかりと捉えていた。
一瞬絶望を浮かべたが、気持ちが崩れることはない。アプローチはピンから数十センチにピタリとついた。「ものすごいナイスアプローチでした。私が撮影していた所からは足下が見えないのですが、ほとんどパターを振っていなかった。それで、ベタピンについたんだとわかりました」。つけいる隙は、“鬼”にはない。完璧なフィニッシュで勝利を決めた。
ミスした後の…アプローチはさすがでした!
最終日に「64」をたたき出し、逆転優勝を果たしたキム・キョンテ(韓国)。最終18番パー5(530ヤード)では、3打目のアプローチを“OK”につけてバーディフィニッシュ。“鬼”のふたつ名にふさわしい圧巻の終幕となった…が、実はこのナイスショットの裏で、勝利が揺らいだ瞬間があった。
18番ホールに入った時点ですでに単独首位に立っていた。バーディチャンスの最終ホールで1つ獲れば、勝利はほぼ確実。ティショットをしっかりとフェアウェイにおき、悠々とセカンド地点に歩いて行く。「2打目は迷わずユーティリティを手に取って、ものすごくナイスショットを打っていました」と、そばで見ていた鈴木祥カメラマンが振り返る。
ところが、インパクト直後、満足げにボールを見送るキョンテの表情が一瞬でゆがんだ。天を仰ぎ、手で顔を覆う。「改心のショットだったようですが、突風に持って行かれてグリーン右サイドのラフに落ちたんです」。ここで崩せば、逆転される可能性もある。まさか、ここまで来て…。キョンテ本人は顔を覆った自覚はなかったそうだが、カメラはその表情をしっかりと捉えていた。
一瞬絶望を浮かべたが、気持ちが崩れることはない。アプローチはピンから数十センチにピタリとついた。「ものすごいナイスアプローチでした。私が撮影していた所からは足下が見えないのですが、ほとんどパターを振っていなかった。それで、ベタピンについたんだとわかりました」。つけいる隙は、“鬼”にはない。完璧なフィニッシュで勝利を決めた。