新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。そんな状況のなか、少しでもツアーへの思いを馳せてもらおうとツアー取材担当が見た選手の素顔や強さの秘訣、思い出の取材などを紹介。今回は、2年前の「東建ホームメイトカップ」でのこぼれ話。
「キツい!」と言っていた、片山&石川との最終組3ショット【写真】
女子プロでは、渋野日向子プロが独特の言い回しでファンの心をグッとつかむコメントを残していますよね。 “シブコ節”なんて取り上げられたりもしていますが(ALBA.Netだけですかね?)、私が個人的に男子の“名言クリエイター”だと思っているのが、重永亜斗夢プロです。質問への切り返しが早く、ウィットに富んだコメントをさらっと口にする。ですが、私の第一印象は“なんて控えめな人なんだ!”でした。
重永プロが初優勝した、2018年の「東建ホームメイトカップ」。開幕前にパターを替えてよくなったらしい、という話を聞いていたので、どこかのタイミングで聞きに行こうと思っていました。すると、さっそく初日にトップの石川遼プロと1打差の、2位タイ発進。
各社の記者が集まっての囲み取材が終わり、練習グリーンに向かったのを見て「チャンス」と思い追いかけました。私にとって、ガッツリ話を聞くのはこのときが初めて。パターを手にしたところで話しかけ、パターは何から何に変えて、どんな練習をしているか、そして写真を撮らせてもらって…と正味10分前後でしょうか。取材を終え、お礼を言って退散しようとしたところ、「わざわざ、ここまでありがとうございました」と声をかけてもらい、ビックリ。ラウンド後に囲み取材を終えて、さらに個別の取材となると、選手としては練習時間が削られる。むしろこちらが謝らなければいけないのに!と反省したのを覚えています。
実はこのやりとりの前にも、ちょっと衝撃を受けたコメントがありました。ラウンド後、開口一番に飛び出したのが「ボクは遼とかのレベルじゃないんで、遼のケツについて1日でも目立てればいいかなと思ってます」という、ちょっと後ろ向きとも取れる言葉。あまりにも控えめすぎる発言に驚きましたが、後に自身で「基本ネガティブですよ。弱音吐くし、その上ビビリです」と語っていました。
そして「1日でも目立てれば」と言っていた3日後、見事主役の座に。「僕なんかが優勝するなんて、ないと思ってた。永久シードの片山晋呉さんと、一時代を築いた遼と同組ってキツイでしょ(笑)。でも、2人と回って勝てたのは死ぬまで自慢できる」。優勝会見でもネガティブワードは健在でしたが、率直な表現は印象に残ります。その後も18〜19年シーズンで何度か話を聞く機会がありましたが、そのたびに、ちょっと自虐を含んだストレートな言葉に笑わせてもらうこともしばしば。ツアーが再開したら、“亜斗夢”語録でも作ってみようかなと、密かに画策しているのでした。(文・谷口愛純)
「キツい!」と言っていた、片山&石川との最終組3ショット【写真】
女子プロでは、渋野日向子プロが独特の言い回しでファンの心をグッとつかむコメントを残していますよね。 “シブコ節”なんて取り上げられたりもしていますが(ALBA.Netだけですかね?)、私が個人的に男子の“名言クリエイター”だと思っているのが、重永亜斗夢プロです。質問への切り返しが早く、ウィットに富んだコメントをさらっと口にする。ですが、私の第一印象は“なんて控えめな人なんだ!”でした。
重永プロが初優勝した、2018年の「東建ホームメイトカップ」。開幕前にパターを替えてよくなったらしい、という話を聞いていたので、どこかのタイミングで聞きに行こうと思っていました。すると、さっそく初日にトップの石川遼プロと1打差の、2位タイ発進。
各社の記者が集まっての囲み取材が終わり、練習グリーンに向かったのを見て「チャンス」と思い追いかけました。私にとって、ガッツリ話を聞くのはこのときが初めて。パターを手にしたところで話しかけ、パターは何から何に変えて、どんな練習をしているか、そして写真を撮らせてもらって…と正味10分前後でしょうか。取材を終え、お礼を言って退散しようとしたところ、「わざわざ、ここまでありがとうございました」と声をかけてもらい、ビックリ。ラウンド後に囲み取材を終えて、さらに個別の取材となると、選手としては練習時間が削られる。むしろこちらが謝らなければいけないのに!と反省したのを覚えています。
実はこのやりとりの前にも、ちょっと衝撃を受けたコメントがありました。ラウンド後、開口一番に飛び出したのが「ボクは遼とかのレベルじゃないんで、遼のケツについて1日でも目立てればいいかなと思ってます」という、ちょっと後ろ向きとも取れる言葉。あまりにも控えめすぎる発言に驚きましたが、後に自身で「基本ネガティブですよ。弱音吐くし、その上ビビリです」と語っていました。
そして「1日でも目立てれば」と言っていた3日後、見事主役の座に。「僕なんかが優勝するなんて、ないと思ってた。永久シードの片山晋呉さんと、一時代を築いた遼と同組ってキツイでしょ(笑)。でも、2人と回って勝てたのは死ぬまで自慢できる」。優勝会見でもネガティブワードは健在でしたが、率直な表現は印象に残ります。その後も18〜19年シーズンで何度か話を聞く機会がありましたが、そのたびに、ちょっと自虐を含んだストレートな言葉に笑わせてもらうこともしばしば。ツアーが再開したら、“亜斗夢”語録でも作ってみようかなと、密かに画策しているのでした。(文・谷口愛純)