要は“大人のゴルフ”に方向転換し始めたわけだ。同時に、ドライバーを持つ回数も減っている。ラフに入っても問題なく打てるホールではドライバーを握り、絶対にフェアウェイをキープしたいホールでは3番ウッド、あるいは7番ウッドを握るという。

さらに、「フジサンケイクラシック」からある試みに挑戦している。「忍耐力を持ってプレーすることをテーマにしています」というのだ。聞けば、これまではボギーを叩くと、それを取り戻すために無理な攻めをしてでもバーディを狙いにいっていた。その結果、悪循環に陥ることもあったが、今はボギーを叩いても取り戻そうとはせず、いいショットをすることだけに集中している。そのマインドがいい流れを生み出し、直前の3試合では5位タイ、11位タイ、6位タイ、そして今回の優勝へとつながったわけだ。

最終日もそのプレースタイルや考え方を貫いたキム。優勝賞金2200万円を加算し、賞金ランキングもトップに躍り出た。米下部ツアーであるコーンフェリーツアーのファイナルQTから挑戦できるチャンスもあるが、今年はコロナのことも考えて控えるという。賞金王、「日本オープン」、「ZOZO Championship」のどれをターゲットにするかと聞かれ、「すべて」と即答した。飛ばし屋に安定感が備わってきただけに、まんざらノーチャンスでもなさそうだ。（文・山西英希）