＜三井住友VISA太平洋マスターズ　2日日◇12日◇太平洋クラブ御殿場コース（静岡県）◇7262ヤード・パー70＞

名物の18番パー5。右ラフからの2打目のボールが池に沈み、しゃがみこんで頭を抱えた。劇的なイーグルもあれば、池に入れてスコアを落とすことがよく起こるホールだ。「そういうドラマが起こるコース。今日は悪い意味で最後、自分がやっちゃうと思わなかったので、笑っちゃいたいです」と苦笑いを浮かべた久常涼。18番パー5でボギーと落としたもの、この日「69」で回り、トータル2アンダー、首位と2打差の5位タイで決勝ラウンドに進んだ。

300ヤードオーバー！　19歳・久常涼のドライバースイング【連続写真】

まだ19歳。昨年12月にプロ転向し、デビューしたばかりのルーキーだ。昨年のQTを失敗したものの、主催者推薦で出場した下部のAbemaTVツアーで優勝を遂げてフルシーズンの出場権を獲得すると、9月までに同ツアー3勝を達成。規定により今年のレギュラーツアーの出場権を手にし、「バンテリン東海クラシック」からレギュラーツアー生活が始まった。

300ヤード以上の飛距離を武器に、「ほとんどドライバーを握る」超攻撃的なゴルフが持ち味。AbemaTVツアー8試合では、平均ストローク68.33、平均バーディ数5.70と驚異的な数字で3勝を挙げている。しかし、グリーンが硬く、速く、ラフも深いなどセッティングの難度ががらりと上がるレギュラーツアーでは、攻撃的なゴルフだけではうまくいかないことも感じていた。「刻んだ方がバーディを取りやすいところは刻みます。コースマネジメントも大切」。19歳の武器を生かしつつ、頭を使ったゴルフにも取り組んでいる。

「テレビで見ていた大会。今年出られると思っていなかった」と、はじめての御殿場は、月曜日から練習ラウンドを行った。「このコースはショットがよくないと、いいスコアで上がれないと思います。今週はずっとショットがいいので助けられています」。パッティング次第でもう少し伸ばせるとも話す。出場権の無かった今年、一気にレギュラーツアーの出場権まで獲得したシンデレラボーイ。日曜日の18番では良い意味で劇的なドラマを見せてくれ。るかも知れない。（文・小高拓）