<アジアパシフィックオープンゴルフ ダイヤモンドカップ 最終日◇15日◇大洗ゴルフ倶楽部 (茨城県)◇7163ヤード・パー70>
何度も味わったあの味は忘れられるものではない。今平周吾を突き動かしているのは、もう一度海外メジャーの舞台に立つことだ。今年のシーズンイン、目標に定めたのは賞金王でも複数回優勝でもなく、口にしたのは2年ぶりのメジャー参戦だった。そして今大会、優勝者に与えられる7月の「全英オープン」出場権を優勝という結果で見事に手にしてみせた。
今平周吾はあっち向いてほいも最強!?【オフショット動画】
優勝は昨年の9月以来。だが、昨シーズンは調子が悪かった記憶のほうがはるかに大きい。それは今年に入ってからも変わらない。「東建ホームメイトカップ」では最終日に爆発し9位タイに入ったが、その後は予選落ちも経験。もがく時間は長かった。さらにここにきて先週の空き週には胃腸炎にかかった。
そんな状態で挑んだ大洗。戦略はバーディを無理に獲りに行かないこと。「ボギーを打たないという気持ちのほうが強かったです。守りつつチャンスが来たらバーディを獲るという風にやっていました」。4人が並ぶ首位と1打差からスタートした最終日。バーディ二つが先行し、8番でボギーを叩くも後半は1バーディ。二つ伸ばし、最後は1打差で勝利した。
「16、17番あたりでは桂川(有人)選手が1打リードしていると思っていました。ボードを見たら桂川選手が8アンダーになっていたので、まだチャンスはあると思った」。16番からの3ホールは難関ホールが続く。17番パー4では前日にOBも打っている。そんな局面でも冷静にパーを並べ、リードを持って先にホールアウト。後続を振り切った。
難関大洗では無理は禁物。一発のミスで大きく遅れを取ってしまうなかで、賞金王に2度輝いている今平は冷静に自分のゴルフに徹した。4日間アンダーパーを並べての勝利。「うれしいですね。今年はパッとする成績もだせていなかったので、早い段階で優勝できてホッとしています」。キング復活を予感させる冷静な勝ち方だった。
コロナとともに薄れていった賞金王戴冠時の2018、19年の勢いを取り戻すのが今季の目標。そして、世界の舞台に挑戦する自分を取り戻すことが命題だった。16年の全英以来、19年までに7回挑戦したメジャー。すべて予選落ちに終わり唇を噛んだ。20年は秋開催となった「全米オープン」と「マスターズ」に出場し予選を通った。ところがコロナ…。一気に世界ランキングも落とした。
「2、3年前は常にメジャーに出られた状況でコロナになって、次のシーズンになってからいい成績が出なくてメジャーに出られなくて、悔しいというか、なんであのとき出られたのに、(いまは)出られないのかなという気持ちになった」
表情を崩さず、淡々と振り返るが、心の中は燃えていたに違いない。賞金王だった2年間の記憶もコロナによって消されてしまった。そんな事態から一歩前進。過去2度出場している全英で初の予選通過という目標に向かい、ここからさらにギアを上げて行く。
23日には「全米オープン」の日本最終予選会も控える。「ダブルで出たい」。全英だけでは物足りない。今年で30歳。「疲れやすくなっている」と体の変化も感じる年頃だが、そんなことをいっていられない、メジャーシーズンがまもなく到来する。(文・高桑均)
何度も味わったあの味は忘れられるものではない。今平周吾を突き動かしているのは、もう一度海外メジャーの舞台に立つことだ。今年のシーズンイン、目標に定めたのは賞金王でも複数回優勝でもなく、口にしたのは2年ぶりのメジャー参戦だった。そして今大会、優勝者に与えられる7月の「全英オープン」出場権を優勝という結果で見事に手にしてみせた。
今平周吾はあっち向いてほいも最強!?【オフショット動画】
優勝は昨年の9月以来。だが、昨シーズンは調子が悪かった記憶のほうがはるかに大きい。それは今年に入ってからも変わらない。「東建ホームメイトカップ」では最終日に爆発し9位タイに入ったが、その後は予選落ちも経験。もがく時間は長かった。さらにここにきて先週の空き週には胃腸炎にかかった。
そんな状態で挑んだ大洗。戦略はバーディを無理に獲りに行かないこと。「ボギーを打たないという気持ちのほうが強かったです。守りつつチャンスが来たらバーディを獲るという風にやっていました」。4人が並ぶ首位と1打差からスタートした最終日。バーディ二つが先行し、8番でボギーを叩くも後半は1バーディ。二つ伸ばし、最後は1打差で勝利した。
「16、17番あたりでは桂川(有人)選手が1打リードしていると思っていました。ボードを見たら桂川選手が8アンダーになっていたので、まだチャンスはあると思った」。16番からの3ホールは難関ホールが続く。17番パー4では前日にOBも打っている。そんな局面でも冷静にパーを並べ、リードを持って先にホールアウト。後続を振り切った。
難関大洗では無理は禁物。一発のミスで大きく遅れを取ってしまうなかで、賞金王に2度輝いている今平は冷静に自分のゴルフに徹した。4日間アンダーパーを並べての勝利。「うれしいですね。今年はパッとする成績もだせていなかったので、早い段階で優勝できてホッとしています」。キング復活を予感させる冷静な勝ち方だった。
コロナとともに薄れていった賞金王戴冠時の2018、19年の勢いを取り戻すのが今季の目標。そして、世界の舞台に挑戦する自分を取り戻すことが命題だった。16年の全英以来、19年までに7回挑戦したメジャー。すべて予選落ちに終わり唇を噛んだ。20年は秋開催となった「全米オープン」と「マスターズ」に出場し予選を通った。ところがコロナ…。一気に世界ランキングも落とした。
「2、3年前は常にメジャーに出られた状況でコロナになって、次のシーズンになってからいい成績が出なくてメジャーに出られなくて、悔しいというか、なんであのとき出られたのに、(いまは)出られないのかなという気持ちになった」
表情を崩さず、淡々と振り返るが、心の中は燃えていたに違いない。賞金王だった2年間の記憶もコロナによって消されてしまった。そんな事態から一歩前進。過去2度出場している全英で初の予選通過という目標に向かい、ここからさらにギアを上げて行く。
23日には「全米オープン」の日本最終予選会も控える。「ダブルで出たい」。全英だけでは物足りない。今年で30歳。「疲れやすくなっている」と体の変化も感じる年頃だが、そんなことをいっていられない、メジャーシーズンがまもなく到来する。(文・高桑均)