17番は579ヤードのパー5。初日に「距離があるのでちゃんと当てなくちゃ」とリキみが入り、ただひとつボギーを叩いたホールだ。

「今週は4つあるパー5でしっかりバーディを獲りたいコース」と出場選手の誰もが言うが、この日、池村は17番はイーグルで残り3つのパー5はすべてバーディ。「パー5がしっかり獲れた」のは、残り2日間に向けていいイメージを残しただろう。

昨年ツアー初優勝。そして2勝目を狙う池村だが、ゆとりを生んでいる理由がある。日本全国を転戦するツアープロたちはホテル暮らしが普通だが、池村は少し違う。それが気持ちのゆとりをつくり、好調のうねりを引き寄せたようだ。

「今シーズンはまだホテルに泊まっていません。ゆっくりしたくて、ウイークリーマンションに泊まっています。最初はコロナ禍で外出するのがイヤで、キッチン付きの宿泊施設を探したのがきっかけでした。もともと外食が好きなほうではないので、炊飯器をいつも持ち歩いています」

食事をつくるのはもっぱら婚約者でキャディを務める坂口琴音さんの役目で、リラックスできる時間が増えて集中力が増したという。少しだけ困ったのは、「予選落ちをすると彼女が落ち込んでしまう」ことだというが、「慣れてほしいと思ったけど、自分が頑張ります」と池村は笑顔で話す。

ゴルフはメンタルが大きく影響するスポーツ。この時間の有効活用と、彼女に負担をかけさせたくないという池村の思いは、プラスに作用していることだろう。ツアー2勝目を目指して、池村は残り2日間も彼女と力を合わせて戦う。（文・河合昌浩）