<東建ホームメイトカップ 初日◇10日◇東建多度カントリークラブ・名古屋 (三重県)◇7069ヤード・パー71>
今季下部ツアーが主戦場となるプロ2年目の23歳・出利葉太一郎は、主催者推薦で自身初の国内男子ツアー開幕戦に出場している。初日は6バーディ・3ボギーの「68」で回り、3アンダー・17位タイで発進した。
日大ゴルフ部出身。ドライバーの平均飛距離は「キャリーで310ヤードぐらい」と男子ツアーのなかでも飛ばし屋のひとりだ。「先週の下部ツアーの開幕戦もショットがよかった。今週はコースが広いのでしっかり振っていきたい」。持ち味を生かして、爪痕を残すつもりだ。
今大会は初出場だが、実は2022年に日大の先輩・片山晋呉のキャディを務めた。「キャディとしてのイメージしかなかったので、自分がプレーしてこんなにプレッシャーを感じるんだなとか、グリーンのアンジュレーションもこんなにあるんだなというのをキャディ目線とプレイヤー目線で感じていてすごく今週は楽しいです」と笑顔をみせる。
片山は01年大会の覇者でもある。そのときは「練習の仕方も教えてもらいました」とプレー中のマネジメント力だけではなく、技術面も伝授された。もちろん、コース攻略も勉強になり今週に生かしている。「奥に行ってはいけない。手前からというのを考えていましたけど、実際にやってみて、(グリーンが)硬いので…」。その言葉のひとつひとつを、自分の腕で具現化していきたい。
ホールによってさまざまだが、逆L字のような形もあれば、2段グリーンなど難度の高いグリーンが多く、パーオンしにくいホールもある。当時の片山のプレーを振り返ると、「アプローチももちろん上手いけど、寄せられる可能性が高いところに外している」と技術面だけではなく、マネジメントが徹底されていた。
ラウンド中に「ここからチップインしていた」と思い出したのが、当時の初日に11番パー4でチップインバーディをしていたシーン。そのとき、片山のキャディにつくチャンスをくれた、同じ日大の先輩・堀川未来夢が同組で、二人の会話からも片山のすごさを感じることにになった。
「未来夢さんが、晋呉さんに『アプローチ上手いですね』って言っていて、それに対して『いや、場所がいいんだよ』と答えている姿があったんです。もちろん技術が高いからですが、チップインできるところに外しているんだなと」。先輩たちの会話はいまも頭に残っており、そんな片山のプレースタイルに憧れを抱いてもいる。
そんな経験のおかげもあり、難しいコンディションのなかでも冷静に考えることができ、納得がいく初日になった。今年は下部ツアーが主戦場ではあるが「レギュラーツアーに出られるときにチャンスをつかみたい」と限られた試合のなかで“トップの舞台”に立てる回数を増やしたい。
出利葉の好発進の“カギ”となった片山は、今季国内シニアツアー開幕戦「ユニテックスシニアオープン」でツアー2勝目を挙げた。ただ今大会はエントリーしていたが、腰痛のため欠場。4年ぶりに同じ舞台に立つことは叶わなかった。会場にはいないが、プロ転向前にいいイメージを持たせてくれた大先輩に最高の一報を届けたい。(文・高木彩音)