<ゴルフ日本シリーズJTカップ 2日目◇29日◇東京よみうりCC(東京都)◇7002ヤード・パー70>
今年の最終戦は、1999年以降の記録ではツアー史上最多となる6人での“賞金王争い”が繰り広げられている。そのなかの一人、現在賞金ランキング4位の43歳・岩田寛は、2日間を終えてトータル3アンダー・7位タイ。トップと6打差で、3日目を迎える。
5バーディ・2ボギーの「67」で回った2日目は「もうちょっと伸ばしたかったなと思いますけど、出だしがああいう感じになってしまったので…」と、前半2番からの連続ボギーを悔やんだ。それでも、4番から3連続バーディを奪取。グリーンに近づくにつれて“S字”にうねり、やや打ち下ろしで風の影響も受けやすい6番パー5では、197ヤードの2打目を7番アイアンでピン左80センチにつける。ギャラリーからは「アルバトロスかと思った~! すごいな。ナイスー!」などの歓声が起こった。
そんなスーパーショットを見せるも、イーグルパットを外してしまい「納得はしていない」と表情を曇らせる。舞台となる東京よみうりCC(東京都)のグリーンには、「一度も攻略できていない。(タッチが)合わせづらいのと、思ったように曲がらなかったり、曲がったりというのが、もうずっとです」と長い間、苦戦している。
特に最終18番のパー3は“魔のグリーン”と言っても過言ではなく、奥から手前にかけて下りの傾斜があり、芝目が効いていて難しい。しかし、同日の平均スコアが『3.367』という難ホールで、8メートルの「下りのすごい曲がるスライス」を沈めてギャラリーを再び沸かせるバーディフィニッシュ。これには「たまたま入っちゃった感じです」と、少し表情を緩ませた。
現在、岩田の獲得賞金は9313万902円。1億1244万879円で1位に立つ平田憲聖とは、1930万円9977円と差が開いている。ただ岩田が優勝(賞金額、4000万円)した場合、平田が単独2位(賞金額15000万円)でも逆転賞金王となる。本人のなかでは「(賞金王への意識は)不思議とないですね。でも、みんなでそうやって争ったほうが(大会は)盛り上がる」と最後まで諦めずに戦っていくつもりだ。
賞金ランキング1位で終えると、例年通りであれば米国男子下部のコーンフェリーツアーの最終予選会に出場することができる。さらにトップ3入りすると、こちらも例年通りであれば2024-25年シーズンのDPワールド(欧州)ツアー出場権を獲得。ただし、昨年同2位の蝉川泰果は1試合、同3位の金谷拓実は2試合(メジャー除く)のみの出場にとどまったように、実際には限られた出場機会となる。
岩田は今大会で上位フィニッシュすると、トップ3入りの可能性も出てくる。そこでも「もし入ったら、行きたい国にしか行かないな。スイスとかスペイン。行ったことないんですよ」と“岩田節”を炸裂。行ってみたい国に行けるチャンスをつかむためにも、3日目はさらにスコアを伸ばしていきたいところ。報道陣に翌日に向けての準備について聞かれると、「調整しても次の日になったら上手くいかないんですよ、泣きそうです」と心の内を明かす。ゴルフはその日の体のコンディションで調子が左右されやすいスポーツ。43歳のベテランでもそれを感じるようで…。
今季も残り2日。今季3勝目に向けて、静かに上位へと迫っていく。(文・高木彩音)