<For The Players By The Players 最終日◇12日◇THE CLUB golf village (群馬県)◇7172ヤード・パー71>
首位から出たニュージーランド出身の44歳、マイケル・ヘンドリーが、1イーグル・2バーディ・3ボギーで6ポイント(pt)を加算。トータル38ptで2015年の「東建ホームメイトカップ」以来、9年ぶりとなるツアー2勝目を挙げた。「これまでに勝つチャンスはあったけどなかなかものにすることができなかったので、今回勝つことできて本当にうれしい」と感慨に浸った。
まず2番パー5で6メートルのイーグルパットをねじ込み、5ptを獲得。リーダーボードを抜け出した。「いくつかのホールでピンが傾斜にかかっているところに切られていて、非常にスコアを作るのが難しい1日だった」とその後は思うようにポイントを積み重ねることができず、一時は前半にスコアを伸ばした小袋秀人に並ばれる場面もあった。
それでも、「攻めるところと守るところのバランスを大事にした」と冷静さを失わず、最終18番ではボギーを叩くも1pt差を守り抜いた。
昨年2月に豪州ツアーで6年ぶりの4勝目を挙げた。しかし、4月の日本開幕戦のあとに体調が急変。帰国し精密検査を受けると『白血病』と診断された。そこからは入院生活が始まり、体重は一時期17キロも減。厳しい闘病生活中は、クラブを握ることはできず、5カ月間もゴルフから離れた。
その後次第に体調は回復し、9月には退院。10月からチップショットの練習から始め、今シーズンから特別保障制度を用いて日本ツアーに復帰した。「白血病の後は、ゴルフが再びできることが幸せ」。この優勝を真っ先に伝えたいのは、つらい闘病生活を支えてくれた家族。母国のニュージーランドには妻、9歳と5歳の娘がいる。「まずは愛しているという言葉を伝えたい」と満面の笑みで話す。
そして、今年7月には海外メジャー「全英オープン」(スコットランド・ロイヤルトゥルーンGC)に出場する。昨年3月のアジアンツアー「ワールドシティ選手権」で2位に入り同年の出場権を得ていたが、病気のため今年の大会に持ち越しとなっていた。「こうしてゴルフ人生のセカンドチャンスを得ることができて、プロの舞台に戻って戦えることをうれしく思う。今後はゴルフを楽しむことと家族との時間を大切に過ごしていきたい」。人生の“どん底”を経験した男に、再びよろこびを噛みしめる日が訪れた。(文・神吉孝昌)