<日本オープン 2日目◇11日◇東京ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇7251ヤード・パー70>
今大会を制するための“戦略”が、随所に散りばめられたラウンドだった。石川遼は、コース攻略のプランについて、「200ヤード以上からのショットでどれだけグリーンをとらえられるか。乗ればそこから気合いで2パットというイメージで昨日からやってきた。ロングパット、アプローチで優勝を狙っていこう」と語り、それを徹底した。
この意図を感じられたホールのひとつに、この日の初バーディが生まれた16番がある。ここは456ヤードのパー4だが、ティイングエリアで握ったのは4番UT。フェアウェイはとらえたが、一緒に回った中島啓太、清水大成には大きく置いていかれた。セカンドはピンまで残り250ヤード。それを3番UTでグリーン手前のカラーまで運ぶと、7ヤードのアプローチを直接決めるチップ・イン・バーディを奪った。
ティショットのほうがセカンドショットよりも短いクラブを選択したのは、524ヤードに設定されている3番パー4も同じ。ここは3番UTでティショットを放つと、3番ウッドで残り290ヤード先のグリーンを狙った。ともかくラフに入ったら、そのホールは必死にパーを狙うだけ…という状況に追い込まれるのが、今年の日本オープン。それを回避するためにも「コツコツ」と歩みを進めている。
「僕みたいな選択をする選手がどれくらいいるのかは今も分からない。でも僕のなかでは4日間ああいう攻めをすること、1ホール、1ホールの戦いに負けないように頑張っていこうと決めてやっている」
幸いグリーンが軟らかく仕上がっていることもあり、長いクラブでグリーンを狙ってもボールは止まりやすい状況でもある。「バーディよりもボギーを少なくするプレーは不可能ではないし、コツコツですけどやるしかない。“ここは取りたい、ここはボギーにしたくない”とかは、あまり考えないようにしている」。欲を封じ込めながら、ひたすらに刻むことを徹底している。
2つ目のバーディだった18番パー4も、残り240ヤードからの2打目を2.5メートルにつけて奪ったものだ。その手にドライバーが握られるのは、2ホールほど。長いセカンドショットを強いられる場面は多いが、これは自らが求めているプレーにも直結するという。「いい経験をさせてもらっている」とまで話す。
「自分が一番強化したいのが、200~250ヤードからグリーンを狙うショット。もっともっとレベルアップしないといけないと思っているし、できればこれからが楽しみ。ここはほぼ毎ホールそれができるし、チャンスだととらえています」
このプランは、例えば週末になりグリーンが硬くなったとしても貫くことを決めている。ただこれは“練習”のためではなく、それが“優勝”につながるものだと信じているからだ。2日間を終えトータル2オーバーは、トップ10付近を行き来する位置。これについても「悪くない」と及第点を与える。
「まずはイーブンパーに戻すことが目標。きょうの啓太(「67」で回った中島啓太)は素晴らしかった。3アンダー、4アンダーを出している選手も何人かいるし、そういったプレーヤーと勝負できるかは自分次第。そこへのモチベーションはあります」。最終日を終えたときに頂点にいることをイメージし、“少しずつ”そこに近づいていく。(文・間宮輝憲)