<マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇29日◇ABCゴルフ倶楽部(7,217ヤード・パー72)>
台風22号の影響による悪天候で最終日のラウンドが中止になった「マイナビABCチャンピオンシップ」。54ホールの短縮競技となり、第3ラウンドで単独首位に立っていた小鯛竜也が優勝。プロ転向11年目にして嬉しいツアー初勝利となった。
【スイング連続】“イケメンフェーダー”小鯛竜也は素振りでスイングを作る
表彰式やフェアウェルパーティなど優勝者の行事を終え、マイナビブルーのジャケットを着て会見場に現れた小鯛。優勝が決まって「実感はボチボチ」と爽やかな笑顔を見せたが、昨晩から気持ちの整理が難しかったという。
プロになって初めて首位で最終日を迎える前夜。「メンタル的にどうしたらいいか整理が出来なかった」。先輩の高山忠洋からは、「周りがなんと言おうとやるつもりでいろよ」という激励メールが届いたが、「携帯の(検索)履歴が天気予報だらけ(笑)」になるほど最終日の空模様が気になり、「全然眠れなかった」。
予定よりも早く起床してしまい、カーテンを開けると雨は降っていなかった。小鯛がゴルフ場に到着するころには雨が降り始めていたが、予想よりも雨足が弱く最終ラウンドは予定通り行われていた。ストレッチをして、打撃練習をして…。いつも通りスタートを待ち構えていた。ところが、一つ前の組がティショットを打ったところで、雨が激しくなり中断の合図が鳴った。このまま中止になるだろう、と考える選手が多い中、小鯛は10年以上師事する谷川健コーチと2人、ロッカールームの奥で集中力を高めた。「最後の(中止の)発表があるまでは気持ちを切らさないようにと思っていました。再開になったときに気持ちの整理がつかなくなってしまうので」と、最後まで戦う姿勢を崩さない。中断から1時間後に中止の決定がアナウンスされ、ようやく張り詰めた表情を緩めた。
2007年の10月にプロ転向したが、レギュラーツアー初出場は2011年。2試合目に出場できたのは、3年後の2014年だった。「試合に出られなかった期間が長かった」。下部のチャレンジツアーに本格参戦できるようになったのも2014年から。「自分の実力を発揮する場所がない。これだけ練習しているのに出られる試合がない」状態が続き、「気持ちが腐る時期もあった」。気持ちに変化が生まれたのは、4年前に妻のゆいさんと結婚し、子供を授かってからだ。
「毎日子供の顔を見て、何をやっているんだろう。やっぱり稼がないと」と奮起するとともに、練習環境面でも変化があった。1歳年下の石川遼がシーズンオフに行う沖縄合宿に3年前から参加するようになり、練習だけでなく寝食を共にすることに。最初の頃は、ものすごい打ち込みの量に血豆ができ、「どんだけ練習していなかったのか」と思い知らされたという。
昨季のチャレンジツアー賞金ランキング4位の資格で、今季からレギュラーツアーに本格参戦。出場権を得た前半戦で安定して賞金を稼いだことで、後半戦の出場権を確保した。「ずっと出たかった」という地元で開催されるこの大会で、初出場&ツアー初優勝を果たし、「17歳でプロになった時から応援してくれている人たちの前で優勝できた。本当に良かった」と満面の笑み。苦しい時期を支えてくれたゆいさんと谷川コーチには、「感謝の気持ちは言い表せない」と最敬礼した。
「率直にホッとした」という今回の優勝。「4日間できなかったことは残念ですが、3日間であっても2日間であっても、自分にとっては変わらない1勝なので」と語った27歳。1打差の2位タイに終わった宮里優作からは、「叩き潰そうと思っていたんだけど(笑)」。現在賞金ランク1位の小平からは、「最終日のプレッシャーの中で勝ってこそ(本当の)優勝だと思う」と、厳しい激励が贈られた。小鯛本人もそこは百も承知で、「今回はラッキーもあってこういう勝ち方だったが、(次は)しっかり4日間戦って優勝したい。すぐに2勝、3勝とできるように準備していきたい」と引き締まった表情でキッパリ答えた。
この勝利で、2年間のツアー出場権は確保した。これからのプレーは、支えとなってくれた人たちへの恩返しと話した苦労人に優勝賞金の使い道を聞くと、「(妻と2人の子供のために)家を建てたいなと思っていたのでその足しになれば」とはにかんだイケメンゴルファーの前途は洋洋だ。
台風22号の影響による悪天候で最終日のラウンドが中止になった「マイナビABCチャンピオンシップ」。54ホールの短縮競技となり、第3ラウンドで単独首位に立っていた小鯛竜也が優勝。プロ転向11年目にして嬉しいツアー初勝利となった。
【スイング連続】“イケメンフェーダー”小鯛竜也は素振りでスイングを作る
表彰式やフェアウェルパーティなど優勝者の行事を終え、マイナビブルーのジャケットを着て会見場に現れた小鯛。優勝が決まって「実感はボチボチ」と爽やかな笑顔を見せたが、昨晩から気持ちの整理が難しかったという。
プロになって初めて首位で最終日を迎える前夜。「メンタル的にどうしたらいいか整理が出来なかった」。先輩の高山忠洋からは、「周りがなんと言おうとやるつもりでいろよ」という激励メールが届いたが、「携帯の(検索)履歴が天気予報だらけ(笑)」になるほど最終日の空模様が気になり、「全然眠れなかった」。
予定よりも早く起床してしまい、カーテンを開けると雨は降っていなかった。小鯛がゴルフ場に到着するころには雨が降り始めていたが、予想よりも雨足が弱く最終ラウンドは予定通り行われていた。ストレッチをして、打撃練習をして…。いつも通りスタートを待ち構えていた。ところが、一つ前の組がティショットを打ったところで、雨が激しくなり中断の合図が鳴った。このまま中止になるだろう、と考える選手が多い中、小鯛は10年以上師事する谷川健コーチと2人、ロッカールームの奥で集中力を高めた。「最後の(中止の)発表があるまでは気持ちを切らさないようにと思っていました。再開になったときに気持ちの整理がつかなくなってしまうので」と、最後まで戦う姿勢を崩さない。中断から1時間後に中止の決定がアナウンスされ、ようやく張り詰めた表情を緩めた。
2007年の10月にプロ転向したが、レギュラーツアー初出場は2011年。2試合目に出場できたのは、3年後の2014年だった。「試合に出られなかった期間が長かった」。下部のチャレンジツアーに本格参戦できるようになったのも2014年から。「自分の実力を発揮する場所がない。これだけ練習しているのに出られる試合がない」状態が続き、「気持ちが腐る時期もあった」。気持ちに変化が生まれたのは、4年前に妻のゆいさんと結婚し、子供を授かってからだ。
「毎日子供の顔を見て、何をやっているんだろう。やっぱり稼がないと」と奮起するとともに、練習環境面でも変化があった。1歳年下の石川遼がシーズンオフに行う沖縄合宿に3年前から参加するようになり、練習だけでなく寝食を共にすることに。最初の頃は、ものすごい打ち込みの量に血豆ができ、「どんだけ練習していなかったのか」と思い知らされたという。
昨季のチャレンジツアー賞金ランキング4位の資格で、今季からレギュラーツアーに本格参戦。出場権を得た前半戦で安定して賞金を稼いだことで、後半戦の出場権を確保した。「ずっと出たかった」という地元で開催されるこの大会で、初出場&ツアー初優勝を果たし、「17歳でプロになった時から応援してくれている人たちの前で優勝できた。本当に良かった」と満面の笑み。苦しい時期を支えてくれたゆいさんと谷川コーチには、「感謝の気持ちは言い表せない」と最敬礼した。
「率直にホッとした」という今回の優勝。「4日間できなかったことは残念ですが、3日間であっても2日間であっても、自分にとっては変わらない1勝なので」と語った27歳。1打差の2位タイに終わった宮里優作からは、「叩き潰そうと思っていたんだけど(笑)」。現在賞金ランク1位の小平からは、「最終日のプレッシャーの中で勝ってこそ(本当の)優勝だと思う」と、厳しい激励が贈られた。小鯛本人もそこは百も承知で、「今回はラッキーもあってこういう勝ち方だったが、(次は)しっかり4日間戦って優勝したい。すぐに2勝、3勝とできるように準備していきたい」と引き締まった表情でキッパリ答えた。
この勝利で、2年間のツアー出場権は確保した。これからのプレーは、支えとなってくれた人たちへの恩返しと話した苦労人に優勝賞金の使い道を聞くと、「(妻と2人の子供のために)家を建てたいなと思っていたのでその足しになれば」とはにかんだイケメンゴルファーの前途は洋洋だ。