<東建ホームメイトカップ 最終日◇15日◇東建多度カントリークラブ・名古屋(7,081ヤード・パー71)>
「これからのゴルフ人生が変わる」。激動の1日を終えて、噛み締めるように語った重永亜斗夢。後続に4打差をつけて最終日・最終組を迎えたが、後を追ってくるのはビッグネーム2人。「永久シードの片山晋呉さんと、一時代を築いた石川遼。この2人と回って勝てたのは、死ぬまで自慢できます」。念願の初優勝は、単純な勝利以上に価値のあるものとなった。
【写真】レジェンド青木も重永を祝福
スタートホールの1番・パー4では、同組2人が2打目でグリーンを捉えられない中、重永はピンから約3メートルにつけてバーディ発進。しかし、その後はなかなかスコアを伸ばせず。6番・パー3ではティショットを池に入れてダブルボギー。続く7番、9番でもボギーを叩き、4打あった石川との差は、気づけば1打差にまで縮まっていた。
その後も追いつかれることこそなかったが、1打差で迎えた17番・パー5で約7メートルのイーグルチャンスを迎える。「遼が惜しいイーグルパットを打って、僕もショートだけはしたくないと思って」。強い気持ちで打ったイーグルパットは「完全に入ったと思ったんですが、傾斜が強いところで抜けてオーバーした」と決められずも、この日2つ目のバーディを奪取。ともにバーディとした石川と1打差のまま、勝負は最終18番へ。
「攻めた結果、運よくギリギリのところに止まった」と、ティショットは右サイドの池ギリギリでストップ。セカンドを約10メートルにつけた重永に対し、先に石川が約18メートルのバーディパットを外し、初めて優勝が見えた。重永のバーディパットはカップのわずか数センチ横で止まり、石川がパーパットを決めるのを見届けてタップイン。「晋呉さんから、“ゆっくりマークして、優勝の瞬間をゆっくり噛み締めてくれ”と言われました」と、最高の瞬間を振り返った。
ホールアウト後、グリーンに駆け寄った妻の和歌子さんと娘2人を抱きしめ、「あれをしたかった」と幸せそうな表情を浮かべた。この日の朝6時の新幹線に飛び乗って駆けつけた和歌子さん。前日の夜には、「“あの2人と同組はきついよ”って言っていたので“だよねー”なんて話していました」と笑ったが、「泣かないと思っていましたが、涙が出ました。お祝いには、小さい頃から亜斗夢くんが好きな卵とじうどんを作ってあげたい」と妻ならではの祝福を贈る。
ビッグネーム2人に勝利したことに加え、初優勝をさらに彩ることがもう一つ。第3ラウンドが行われた14日は、2年前に地元・熊本が被災した日。「少しでも元気付けられたらと思います。2年ですけど、風化していっている時期に勝てたというのが、僕にとっては色々な意味で心に残る優勝」と噛み締める。大会前には、熊本城の城下にある加藤神社を参拝しており、「ご利益ありましたね。お布施しなくちゃですよね、いっぱい」と笑った。
名前の“アトム”の通り10万馬力かと思いきや、「馬力でしょ、馬の力ですよ。今日だって、0.0000…くらいの馬力ですよ(笑)」と最後は茶化して見せた重永。最高の形で迎えた新シーズンへ、勢いよく飛び出していく。(文・谷口愛純)
「これからのゴルフ人生が変わる」。激動の1日を終えて、噛み締めるように語った重永亜斗夢。後続に4打差をつけて最終日・最終組を迎えたが、後を追ってくるのはビッグネーム2人。「永久シードの片山晋呉さんと、一時代を築いた石川遼。この2人と回って勝てたのは、死ぬまで自慢できます」。念願の初優勝は、単純な勝利以上に価値のあるものとなった。
【写真】レジェンド青木も重永を祝福
スタートホールの1番・パー4では、同組2人が2打目でグリーンを捉えられない中、重永はピンから約3メートルにつけてバーディ発進。しかし、その後はなかなかスコアを伸ばせず。6番・パー3ではティショットを池に入れてダブルボギー。続く7番、9番でもボギーを叩き、4打あった石川との差は、気づけば1打差にまで縮まっていた。
その後も追いつかれることこそなかったが、1打差で迎えた17番・パー5で約7メートルのイーグルチャンスを迎える。「遼が惜しいイーグルパットを打って、僕もショートだけはしたくないと思って」。強い気持ちで打ったイーグルパットは「完全に入ったと思ったんですが、傾斜が強いところで抜けてオーバーした」と決められずも、この日2つ目のバーディを奪取。ともにバーディとした石川と1打差のまま、勝負は最終18番へ。
「攻めた結果、運よくギリギリのところに止まった」と、ティショットは右サイドの池ギリギリでストップ。セカンドを約10メートルにつけた重永に対し、先に石川が約18メートルのバーディパットを外し、初めて優勝が見えた。重永のバーディパットはカップのわずか数センチ横で止まり、石川がパーパットを決めるのを見届けてタップイン。「晋呉さんから、“ゆっくりマークして、優勝の瞬間をゆっくり噛み締めてくれ”と言われました」と、最高の瞬間を振り返った。
ホールアウト後、グリーンに駆け寄った妻の和歌子さんと娘2人を抱きしめ、「あれをしたかった」と幸せそうな表情を浮かべた。この日の朝6時の新幹線に飛び乗って駆けつけた和歌子さん。前日の夜には、「“あの2人と同組はきついよ”って言っていたので“だよねー”なんて話していました」と笑ったが、「泣かないと思っていましたが、涙が出ました。お祝いには、小さい頃から亜斗夢くんが好きな卵とじうどんを作ってあげたい」と妻ならではの祝福を贈る。
ビッグネーム2人に勝利したことに加え、初優勝をさらに彩ることがもう一つ。第3ラウンドが行われた14日は、2年前に地元・熊本が被災した日。「少しでも元気付けられたらと思います。2年ですけど、風化していっている時期に勝てたというのが、僕にとっては色々な意味で心に残る優勝」と噛み締める。大会前には、熊本城の城下にある加藤神社を参拝しており、「ご利益ありましたね。お布施しなくちゃですよね、いっぱい」と笑った。
名前の“アトム”の通り10万馬力かと思いきや、「馬力でしょ、馬の力ですよ。今日だって、0.0000…くらいの馬力ですよ(笑)」と最後は茶化して見せた重永。最高の形で迎えた新シーズンへ、勢いよく飛び出していく。(文・谷口愛純)