<長嶋茂雄 INVITATIONALセガサミーカップゴルフトーナメント 最終日◇8日◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(7,178ヤード・パー72)>
5年ぶりの美酒の味は思い出すのに時間がかかってしまった。「久々だったから忘れかけていたよ。ようやく“こういう気持ちだった”と思い出したところさ」。2013年の「関西オープン」以来となる優勝を果たしたブラッド・ケネディ(オーストラリア)は、そう言って微笑んだ。
【関連写真】高々とカップを掲げるケネディ
前半から4バーディの猛チャージ。後半に入っても手綱を緩めることなく、バーディを奪取。今大会と相性のいい今平周吾も、首位からでたキム・ヒョンソン(韓国)も追い抜いたことを知らなかった。「周りのスコアは全く見ずに自分のプレーに集中しました」。池の絡む今大会難易度1位の名物ホール・16番も「ネガティブなことは一切排除して今のことだけを考えた」としっかりグリーンをキャッチしてパー。「これが大きかったね。次以降につながった」と17番、18番と連続バーディで締めくくりガッツポーズ。だが、この時点ではまだ順位は分かっていない。
ホールアウト後、自分の順位をチェックするとリーダーボードの一番上にいた。このときまだ2位のヒョンソンはプレー中。「差があまりなかったので、とても緊張して待っていたよ。でも、ヒョンソンが16番でボギーを叩いて大丈夫と思って妻と娘に連絡を入れた。向こうも興奮気味だったから会話にならなかったね(笑)」と優勝を確信。追いつかれること無く、トータル12アンダーで栄冠を手にした。
この5年間は決して平坦では無かった。優勝できそうなチャンスは何度もあったし、賞金ランクは常に30位以内。最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だって毎年のように権利を得ていた。だが、届かない優勝。40歳を超えて、引退の2文字が頭をよぎるようになる。
「優勝することは難しい。でも分かっていても勝てないときは自問自答をしてしまう。娘2人も大きくなってきて、家庭とゴルフのバランスも難しくなってきた。でもトップ60に入っている限りは続けていきたいと思って頑張ってきた」。
そう思って自分を鼓舞した。4年前からは先週の米ツアー「クイックン・ローンズ・ナショナル」を制したフランチェスコ・モリナリ(イタリア)と同じメンタルのパフォーマンスコーチに師事。「先々のことではなく今に集中する」ことをより意識するようにした。加えて5月に50歳の谷口徹がメジャー制覇したことも「ゴルフは年齢じゃない」と大いに刺激になった。
また、6月の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」から8月の「RIZAP KBCオーガスタ」まで試合が飛び飛びとなることから、この3か月間はトレーニング期間と位置づけ体作りを重視した。「体感とバランスを鍛えました。どこかが衰えたというよりは維持するためにやっています」。今大会前にクラブを握ったのは4日前。「ゴルフとトレーニングの両立は難しい」と絞ってやってきたことが実を結んだ。
44歳を迎えての優勝に「勝てるという気持ちがある限りは長く続けていきたいと思う」。自分はまだやれる。そう確信を得て、愛する家族の待つオーストラリアへの帰路と向かっていった。(文・秋田義和)
5年ぶりの美酒の味は思い出すのに時間がかかってしまった。「久々だったから忘れかけていたよ。ようやく“こういう気持ちだった”と思い出したところさ」。2013年の「関西オープン」以来となる優勝を果たしたブラッド・ケネディ(オーストラリア)は、そう言って微笑んだ。
【関連写真】高々とカップを掲げるケネディ
前半から4バーディの猛チャージ。後半に入っても手綱を緩めることなく、バーディを奪取。今大会と相性のいい今平周吾も、首位からでたキム・ヒョンソン(韓国)も追い抜いたことを知らなかった。「周りのスコアは全く見ずに自分のプレーに集中しました」。池の絡む今大会難易度1位の名物ホール・16番も「ネガティブなことは一切排除して今のことだけを考えた」としっかりグリーンをキャッチしてパー。「これが大きかったね。次以降につながった」と17番、18番と連続バーディで締めくくりガッツポーズ。だが、この時点ではまだ順位は分かっていない。
ホールアウト後、自分の順位をチェックするとリーダーボードの一番上にいた。このときまだ2位のヒョンソンはプレー中。「差があまりなかったので、とても緊張して待っていたよ。でも、ヒョンソンが16番でボギーを叩いて大丈夫と思って妻と娘に連絡を入れた。向こうも興奮気味だったから会話にならなかったね(笑)」と優勝を確信。追いつかれること無く、トータル12アンダーで栄冠を手にした。
この5年間は決して平坦では無かった。優勝できそうなチャンスは何度もあったし、賞金ランクは常に30位以内。最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」だって毎年のように権利を得ていた。だが、届かない優勝。40歳を超えて、引退の2文字が頭をよぎるようになる。
「優勝することは難しい。でも分かっていても勝てないときは自問自答をしてしまう。娘2人も大きくなってきて、家庭とゴルフのバランスも難しくなってきた。でもトップ60に入っている限りは続けていきたいと思って頑張ってきた」。
そう思って自分を鼓舞した。4年前からは先週の米ツアー「クイックン・ローンズ・ナショナル」を制したフランチェスコ・モリナリ(イタリア)と同じメンタルのパフォーマンスコーチに師事。「先々のことではなく今に集中する」ことをより意識するようにした。加えて5月に50歳の谷口徹がメジャー制覇したことも「ゴルフは年齢じゃない」と大いに刺激になった。
また、6月の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」から8月の「RIZAP KBCオーガスタ」まで試合が飛び飛びとなることから、この3か月間はトレーニング期間と位置づけ体作りを重視した。「体感とバランスを鍛えました。どこかが衰えたというよりは維持するためにやっています」。今大会前にクラブを握ったのは4日前。「ゴルフとトレーニングの両立は難しい」と絞ってやってきたことが実を結んだ。
44歳を迎えての優勝に「勝てるという気持ちがある限りは長く続けていきたいと思う」。自分はまだやれる。そう確信を得て、愛する家族の待つオーストラリアへの帰路と向かっていった。(文・秋田義和)