＜日本オープンゴルフ選手権競技　最終日＞◇18日◇武蔵カントリークラブ・豊岡コース(7,083ヤード・パー72)

　敗者となった石川遼の表情は不思議と澄み渡っていた。

　埼玉県にある武蔵カントリークラブ・豊岡コースで開催された、国内男子メジャー第3戦「日本オープンゴルフ選手権競技」。史上最年少優勝に向け単独首位からスタートした石川遼は出入りの激しいゴルフでスコアを1つ伸ばすだけに留まり、トータル6アンダーでホールアウト。勝負は同スコアで並んだ小田龍一、今野康晴との三つ巴のプレーオフに突入した。「3人とも緊張していましたね」というプレーオフ1ホール目は3選手ともパー、そして2ホール目。小田が絶好のバーディチャンスにつけており、入れるしかない4メートルのバーディパットがカップに蹴られた瞬間、石川遼の日本オープンが終わった。

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　石川は出だしの1番でバーディを奪う最高のスタート。4番でボギーを叩くも直後の5番でバーディを奪いすぐに取り戻してみせる。しかし、6番パー5ではバンカーからの第4打目を打つ際に鳴り響いたカメラのシャッター音で仕切り直しを余儀なくされると、この4打目はグリーンをオーバー。アプローチも寄らずこのホールダブルボギー。さらに9番でもボギーを叩きスコアを2つ落としてバックナインへ突入する。だが、10番でバーディを奪い悪い流れを断ち切ると、後半は3バーディ・ノーボギーと息を吹き返し首位タイで最終18番ホールへ。決めれば優勝のバーディパットが惜しくもはずれ勝負はプレーオフへ突入。最後は小田のスーパーショットに屈し2位タイでメジャー第3戦を終えた。

　結果は昨年と同じ2位。だが、明らかに内容が違う2位だ。「自分の思うようにはいかないトーナメント。いつボギーを打つかわからないし、チャンスにつけたら必ず決めなければいけないと思わされる。これがメジャーの舞台で優勝争いをすることなんだなと感じた」周りのプロから見れば無謀とも思えるガムシャラな攻めが奏功した昨年大会、苦しみながらも上位をキープしメジャーの重圧と向き合いながら圧巻のプレーを見せた今年。精神的に極限まで追い込まれる状況で、プレーオフに持ち込む粘りを見せたことは明らかな進化の証。今季躍進の原動力がこの大舞台でも十分に発揮された。