<ダンロップフェニックス 事前情報◇15日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>
公傷制度の適用を受けて、復活の今季を戦っていた重永亜斗夢が「ダンロップフェニックス」に滑り込んだ。潰瘍性大腸炎からの復帰後、20試合が保証されたなか、その最後だったのは先週の「VISA太平洋マスターズ」。そこで今季最高の9位タイに入り、今週の出場権の切符をつかんだ形だ。
「先週が実質最終戦だった」というなかでつかんだ“延長戦”。ランキング上位者のみが出場できる最終戦を除けば、今季も残り2試合。シード争いも熱を帯びているなか、現在、賞金ランキングは85位(809万3421円)。ランキング65位(出場試合数に満たない選手が2人いるため67位まで下りる見込み)までに与えられる来季シード権への一発逆転に向けて、望みを残した。
だが、本人としては、全然気にしていないという。「どうやってQTにつなげていけるか、QTもお金がかかることだからできるだけ稼いで、準備していきたいと思っていた。みんなが『(シード)あるよ、あるよ』って言ってくれて、もちろんチャンスがあるというのは分かっているけれど、まずは先週のように集中して、4日間通してゴルフをまとめられるようにしたい」と冷静に話す。
先週を迎えるまでの19試合では、5月の「ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント」での29位タイが最高位だった。復帰後なかなか思うような結果が出ない時間を過ごしていたなかで、最後の最後にいい感触をつかんだ。トップ10入りは、療養した2022年をはさんで、2021年4月「中日クラウンズ」(短縮競技・6位タイ)以来。「先週やっと、『ゴルフってこんな感じだったな』と。約2年半ぶりにできた。ゴルフを思い出している感じです」と、久々という会心のラウンドには、いいきっかけも感じさせるはずだ。
「そうなったら一番うれしいんですけど…」と今週のトップ10入りで来週につなげ、シードボーダーラインを上回りたい気持ちもあるが、QTに向けて状態を上げていくことがいま目指しているところでもある。欲することなくまずは自分のプレーに集中し、さらに上昇気流に乗っていきたい。(文・笠井あかり)