<日本オープン 3日目◇14日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
最終18番パー5で花道からの約12ヤードのアプローチを直接沈め、イーグルフィニッシュで力強いガッツポーズを披露した片岡尚之。最終日は首位と2打差のトータル4アンダーから逆転優勝を目指す。
出だしの1番、2番で連続バーディを決めるなど、1イーグル・5バーディ・3ボギーの「66」をマークした片岡。しかし、スタート前の朝の練習場では「調子が悪くてボールがバラバラで、80くらい打つかも」と思ったと笑う。コースでは「7割、8割くらいにスピードを落として、あまり(ダウンスイングの)タメを作らないで」打ち、「目の前の一打をどうしようか」と集中して回った。それが功を奏し、「上がってみたら4アンダーだった」という。
再現性の高いスイングを目指し、オフからコーチの谷将貴氏とスイング改造に取り組んできた。その影響もあって開幕から数試合は予選落ちが続き、一時は「プロゴルファーに向いてないのかな」というほど落ち込んだ。それが、「夏くらいから結果が出始めて、自分のなかでも納得できるショットが増えてきた」。7月の「セガサミーカップ」、9月の「フジサンケイクラシック」ではともに優勝争いのすえに2位に入り、賞金シードを確定させた。
2週前からは、「来年に向けてキャストを使う感じで大きく変えた」。それまでは手首を固めて「押さえる感じ」で打っていたが、手首をこねずに左手首を甲側に折ってリリースする動きを取り入れた。「(手首を)捻ってないから、球は捻れない。それがすごく難しくて苦戦していて、きょうもうまくできていなかったんですけど」と話す。手首を使うことで球の高さを上げ、硬いグリーンでもボールが止まりやすくする狙いがある。
オフを待たずに大きな変更に踏み切ったのは「試合のなかで、どういうミスが出るのかを確認したいというのもあります。そのほうが(身につくのが)早い」から。さらに「どちらにしろ、いつかはやらなきゃいけない動きだった」とも。来年に向けての取り組みが、早くも結果として表れたかたちだ。
1973年のツアー制施行以降、北海道出身者で「日本オープン」覇者はいない。北海道江別市出身の片岡が勝てば史上初となる。その情報を聞くと「いいですね。一番を獲りたいです」と意気込む。厳しい位置にピンが切られる最終日に向けて、「変わらずフェアウェイキープして、グリーンに乗せて、チャンスをしっかり獲って、耐える。これだけです」と気を引き締めた。(文・下村耕平)