<Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 事前情報◇23日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7216ヤード・パー72>
3週前の全戦、「横浜ミナトChampionship 〜Fujiki Centennial〜」では2日目に「61」、最終日に「65」を出して、単独3位に入った清水大成。今週は「地元ですしアマチュアのときから出させてもらっている大会で、めっちゃ勝ちたいです」という地元・福岡で50回目を迎える記念大会でツアー初優勝を狙う。
98年度生まれの男子版黄金世代。同い年にはすでにツアー通算4勝挙げて、今年はアジアンツアーで初勝利を達成した金谷拓実、ともに昨年ツアー優勝を遂げ今季は米ツアー下部のコーン・フェリーツアーを主戦場としている桂川有人や大西魁斗がいる。
昨年大会では自己最高の3位に入り、賞金ランキングも25位で終えた清水。昨シーズンのドライビングディスタンスは河本力に次いで2位に入っており、キャリーで300ヤードを超える飛距離を誇る。日大を出てすぐに2シーズン連続で賞金シードを獲得した逸材だが、初優勝にはまだ手が届いていない。
「ショットが一昨年の後半戦くらいから悪くなりだして、去年もそれをずっと引っ張ってしまって、これはダメだな思った」と、昨年の12月から丸山茂樹の米ツアー3勝などをサポートした内藤雄士氏の門を叩いた。内藤氏も同じ日大出身で「話したことがあるコーチで、コミュニケーションも取りやすい」と清水は感じている。
今週は練習日に内藤氏が会場を訪れ、スイングチェックを行っていた。「いまは体で打つことを取り組んでいます。調子が悪くなると手打ちになる。テークバックを手で上げていたので、それを改善すると切り返しも勝手に良くなる」。実際の練習では腕の間に練習器具のボールを挟み、「手で上げたら打てないので、しっかり胸を回して」と意識する。
ボールを挟んでハーフスイングで打つドリルは、昨年の12月から今年の2月くらいまで重点的に取り組み、いまでも「9番アイアンからドライバーまで全部挟みます」とメインで取り組んでいる。そのかいもあって、シーズン序盤は予選通過と予選落ちが半々くらいだったが、直近の4試合はすべて決勝ラウンドに進出して、前戦の3位を含むトップ10に2回入った。
初優勝へ足りないものは何かと聞くと、「まだ日によって曲がっちゃうこともありますしショットの安定性。そしてショットが悪くても耐えられるショートゲーム、全部になっちゃうんですけど、精神的なところもまだ弱い」と次々と課題が出てくる。精神的に弱さについては、「納得いかないショットやパットをしてしまうと、次のプレーに出さないつもりでも、思ったより飛んじゃったりとかする」という。
練習日は車で50分だという実家から通い、初日からはコース近くのホテルに移って戦闘モードへ。試合には家族や地元の仲間たちも応援に駆けつける。今大会は2011年のベ・サンムン、12年のキム・ヒョンソン、13年のS・J・パク(いずれも韓国)、18年の出水田大二郎、19年の比嘉一貴、21年のスコット・ビンセント(ジンバブエ)、そして昨年の河本力とツアー初優勝者が多い。昨年大会で3位に入り、前戦で3位と調子を上げている清水もそこに名を連ねたい。(文・下村耕平)