<パナソニックオープン 事前情報◇16日◇有馬ロイヤルゴルフクラブ(兵庫県)◇7100ヤード・パー72>
男子ツアー史上初の女性プレーヤー、寺西飛香留(てらにし・ひかる)がレギュラーツアー「パナソニックオープン」のマンデー(予選会)に出場。「全体的にショットは良かったけど、少しパッティングの読みが合ってなかった」と2バーディ・4ボギーの2オーバー「74」に終わり、本戦への出場権は獲得できなかった。
「出るからには通りたいという気持ちはありました。ちょっとスコアは足りなかったけど…」。バーディ発進を決めるも、流れを作ることはできなかった。しかし、男子ツアーのセッティングで回れたことには大満足。ラフの芝はところどころティフトンの野芝が入り交じり、ボールがすっぽり隠れるほど深いところもあった。
「普通の打ち方では対応できないというのが分かって、そこからどう脱出したり寄せられるのかを考えるのがめちゃくちゃ楽しくて。男子のセッティングに身を置けるということも、なかなかないことなので、練習ラウンドから楽しかった」
女子の試合ではあまり経験できない、頭を使い技術面が試される難しいセッティングに心が躍った。結果は目指したものではなかったが、充実した時間となった。
寺西が男子ツアー初の“女性選手”となったのは、8月末の「ファーストQT1富岡倶楽部 supported by SMBCモビット」でのこと。「ミニツアーでもちょこちょこ男子の部で参加してみて、アンダーとかも出せるようになってきていた。挑戦してみるのはありかなと思って受けてみました」。
中学2年生のときには「日本オープン」の予選会にも出場したことがある。「可能ならやってみたい」という好奇心の強さも手伝ってQTに初挑戦。トータル1オーバー・49位でフィニッシュし、JGTOツアープレーヤーとしての権利を獲得した。
そんな寺西が今回のQTで起きた“プチハプニング”を明かす。「最初行ったときに、(ゴルフ場側が)女性がいるということをまだ把握されてなかったので、もらったロッカーキーが男子だった(笑)。(女子ロッカーに)探しに行ったらないなってなって、(ロッカールームも)暗いなと思って」。
ゴルフ場で受付した際に渡されたのは、男性ロッカーの鍵だったという。その後、フロントで女性用の鍵を受け取り、無事に使えたようだ。女性選手はひとりということもあり「トイレ空き空きですよ(笑)」と話し、報道陣の笑いを誘った。
現在、JLPGAのプロテストを受験中。9月3~6日に城陽カントリー倶楽部(京都府)で行われた2次予選C地区を5位タイで通過し、10月29日から始まる最終プロテストに出場する。「どんな試合でも一生懸命、自分ができることをやるだけだと思っている。楽しみながら取り組めたら」。気負うことなく、合格を目指して挑んでいく。(文・高木彩音)