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アイアンにサビ? あえて疲れは残す? 下部ツアー賞金ランク1位、生源寺龍憲がちょっと変わってた

現在、下部のABEMAツアー2連勝中で賞金ランキングトップを走る生源寺龍憲(しょうげんじ・たつのり)が、主催者推薦で出場している。162センチで300ヤード飛ばす新星を掘り下げてみた。

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年8月25日 13時00分

アイアンは藤本技工の『101CB』
ノーメッキなのでフェースにサビがある
アイアンもウェッジもノーメッキ
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アイアンは藤本技工の『101CB』 (撮影:ALBA)

<Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 初日◇24日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7216ヤード・パー72>
 
現在、下部のABEMAツアー2連勝中で賞金ランキングトップを走る生源寺龍憲(しょうげんじ・たつのり)が、主催者推薦で出場している。初日は4バーディ・3ボギーの「71」をマークし、1アンダーは59位タイで滑り出した。

アイアンのフェース面もサビだらけです【写真】

山口県出身の25歳は父親の影響で10歳からクラブを握った。高校は岡山県の作陽に進学し、同志社大学を経て2020年にプロ転向。高校時代は渋野日向子と同級生で、「僕は体育コースではなく進学コースに行っていたので、同じクラスではありませんでしたが、部活のときは一緒でした」という。
 
ABEMAツアーで年間3勝を挙げると、その年のレギュラーツアー出場権が得られる。QTランキング47位で今季をスタートした生源寺は、現在2勝でリーチをかけている。「3勝したいのもあるんですけど、レギュラーに来たとしても、シードを獲れる力がないといけないので、レギュラーに出られるチャンスがあれば、そこでチャレンジしたい」。生源寺にとってレギュラー出場権はあくまで通過点にすぎない。
 
■疲れをゼロにすると感覚までゼロになる
 
1年半前にトレーナーの今林伸司(いまはやし・のぶかず)氏と出会ってから、好調が持続するようになった。「体を100%リセットした状態が一番いいとされているんです。でも、試合が続くなかで、それまでの振り感だったり感覚は残したい。疲れをゼロにすると感覚までゼロになっちゃうので、必要以上にやり過ぎないようにしています」というのだ。あえて疲れを残すことで、ゴルフに必要とされる繊細な感覚を失わないようにしている。
 
今林氏は生源寺の高校の後輩で、欧州ツアーを主戦場とする久常涼のトレーナーでもある。「それまでもいろんなトレーナーさんにお会いしたんですけど、今林さんは僕の体のことをすごく考えてくれて、本気度が高い。福岡にいらっしゃる方なので、今週は毎日ケアしてもらっています」。その信頼は厚く、生源寺にとって欠かせない存在となっている。
 
■兵庫県市川町で作られたノーメッキアイアンを使う
 
そして、バッグの中をのぞいて気になったのはアイアンセットがサビていること。通常、アイアンにはメッキ処理が施されていて、サビることはない。ツアープロやトップアマではスピン性能を上げるためにウェッジをノーメッキにすることはあるが、アイアンでは珍しい。
 
あまりに年季が入った見た目に、この芥屋ゴルフ倶楽部の米国人グリーンキーパー、アンドリュー・マクダニエル氏には、「20年くらい使っているのか?」と聞かれ、「『Just one year』(ちょうど1年だよ)と言ったら、爆笑していました」と笑う。
 
そして、ノーメッキアイアンを使う理由については「1つは打感がいいのと、フライヤーしにくいです」と話す。フライヤーとはラフから打ったときにボールとフェースの間に芝が挟まり、スピンが減って初速が上がる現象で、1番手~3番手くらい飛びすぎてしまう。「僕はもともと球が高いプレーヤーではないので、スピンが入ってほしいところがあって、いろいろ試した結果、ノーメッキにたどり着きました」。ちなみに、生源寺が使うのは、国内アイアン製造発祥の地、兵庫県市川町でゴルフクラブを製造する藤本技工のもの。知る人ぞ知る老舗メーカーだ。
 
■体が小さくても世界に通用する選手に
 
そんな生源寺の目は世界を見据える。「今年の12月にはアジアンツアーのQTにエントリーして、どんどん世界で活躍できるプレーヤーになっていきたい。去年、賞金王を獲られた比嘉一貴さんもヨーロッパだったり、海外の試合に出ている。体の小さいプレーヤーが世界で通用すれば、いろんな人に元気を与えられると思っています」。
 
昨季、国内男子ツアーで賞金王に輝いた比嘉一貴は身長158センチ。今季は賞金ランキング1位の資格で欧州男子ツアーを主戦場としており、「マスターズ」、「全米プロ」、「全英オープン」の3つのメジャー出場も果たした。比嘉も賞金王になる前から「僕みたいに小さい人でも、プロの世界で戦っていけるというのを見せたいですね。誰でも夢のあるスポーツだというのを見せられたらなと思います」と語ってきた。身長162センチの生源寺自身も、比嘉と面識はないが同じ思いを持っている。
 
さらに、「ゴルフは階級がないので、大きい人には負けたくないというのは常にありますね。飛距離でも負けたくない」と生源寺。今年のオフは今林氏のもとでトレーニングに励み、「それまで僕は飛ぶプレーヤーではなかったんですけど、3カ月で20ヤードくらい伸びました」という。270~280ヤードだったドライバーの飛距離は、290ヤードに伸び、ときには300ヤードを超すことも。事実、今季のドライビングディスタンスは291ヤードを記録している。
 
小さい体をめいっぱい使って飛ばすが、左足重心で構えた軸は崩さない。「コントロールという意味もあります。僕が目指しているのは曲がらないスイングで、体を鍛えて飛ばせるようになりたい。スイングを変えて飛ばすのではなく、パワーをつけて飛ばしたいんです」。
 
生源寺と同じ98年度生まれの男子版黄金世代には、ツアー通算4勝で今季アジアンツアー初勝利を挙げた金谷拓実、ともに昨年ツアー初勝利を挙げて今季はコーン・フェリーツアーを主戦場に戦う大西魁斗や桂川有人らがいる。「同級生の金谷君は、僕が勝手に意識しているだけですけど(笑)、近づきたいなとは思いますね」。比嘉や金谷の背中を追いながら、レギュラーツアーでも結果を残していく。(文・下村耕平)

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