<三井住友VISA太平洋マスターズ 初日◇7日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
大会アンバサダーを務める石川遼は第1ラウンドを「66」で回り、4アンダー・4位タイで終えると練習場に向かい、ギャラリーを楽しませるためにマイクを着けて「ゴルフクリニック」を行った。普段のスタート前の練習でどういう意識で打っているのかなど、ボールを打ちながら解説した。
その中身に少しだけ触れよう。まずスタート前の練習は58度のウェッジの小さい振り幅からはじめて、徐々に振り幅を大きくする。飛距離はそれほど意識せずに、なるべくクリーンに打つなど、石川流のポイントを話す。
「アマチュアのみなさんは、マットの上から打つと思います。ダフっていても分からないので、なるべくマットの音がしないようにボールをクリーンにヒットする感覚が良いと思います」とワンポイントアドバイスも織り込む。
その後は54度、50度、ピッチングウェッジ、9番アイアンのウェッジ類とショートアイアンを打ち、気分によって奇数番手、偶数番手と徐々に大きくする。「長いクラブは1球ずつでもいいので打ってちょっと感触を試しておく」と5番アイアン、そして4番、3番ユーティリティもかならず1球は打つという。
そしてドライバーまで行き、「280とか290ヤード打てる体が温まった状態になったら、最後にその力感で58度を打ちます」。プロや上級者はスタート前にウェッジで締めくくることが多いが、その理由も解説した。
「練習の最初は体が温まっていないので距離は計測しません。体が温まった状態で58度を打ったときに何ヤード飛ぶのかをしっかり測ります」。その日の状態、コースでの距離感を把握するために最後にウェッジで打つという。
最後に、質疑応答の時間でギャラリーからの質問を受け付けた。「ベストパフォーマンスの時でいいんですけど、何番アイアンぐらいまでであればカップ(ピン)を直接狙う感覚ってあるものですか?」と。
それに対して石川は「基本的にカップ(ピン)を狙うって1試合で1回ないかなって感じですね。必ずカップではないどこかを狙っています。なんとなくピンを狙うという感じより、必ず(ピンの)奥なのか、手前なのか、右なのか、左なのか。ミスしてもいいほうを自分で認識して、カップよりもそっち(安全な)サイドを狙って、仮想のカップを必ずイメージします。100ヤードのショットでも30センチ右とか、30センチ左という狙い方をします」と答える。
さらに詳しい解説を続ける。「試合だとノーリスクという場面が少ない。右も広い、左も広い、手前も奥も広いという状況が100ヤードで来たら狙う感じです。今練習を見てても分かると思いますが、僕は左より右にミスするほうが多い。自分の傾向として。それをしっかり利用して打っていく。なので『今日は左に行く感じが少ない』と思ったら、(グリーンの)左ピンとかは割と積極的に狙えますが、右ピンを積極的に狙うと右のミスが出たときに右のラフに外れてしまうので。普段より左を向いて狙っていこうとかそういう感じでイメージします」。常に自分のミスの傾向を把握しておき、その傾向をピン位置と相談しながら、ミスをしても大きなピンチにならない攻め方をすると、丁寧にわかりやすく話した。
この日は平日にも関わらず4030人のギャラリーが来場。「こういった形でみなさんとお話することができて楽しかったです。今日はたくさんの方に観戦しに来ていただいて僕らも非常にうれしかったですし、またいい選手もいっぱいいますので、ぜひこれからの男子ゴルフに注目していただければと思います」と締めくくってクリニックを終えた。