<日本プロゴルフ選手権 2日目◇28日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>
2020年にすい星のごとく現れた石坂友宏。19年末にプロ転向し、3戦目の「ダンロップフェニックス」で金谷拓実との新人プロ同士のプレーオフを戦い、惜しくも敗れて2位。コロナ禍で統一された20-21年シーズンは、4度の最終日最終組を経験し、賞金ランキング17位で初シードを獲得した。昨季は優勝争いに絡めなかったが、3シーズン目にして初優勝のチャンスがグッと近づいてきた。初日を「69」で回ると2日目のこの日も4バーディ・3ボギーの「71」と1つ伸ばしてトータル4アンダー。首位と3打差で週末を迎える。
フェアウェイを外せば深いラフ、グリーン周りはさらに深いラフとメジャー仕様の難セッティングに対してアンダーパーを並べ、「パッティングが非常にいいです」と話す。2日間のフェアウェイキープ率は28.571パーセントで124位。パーオン率は63.8889パーセントで32位と決して高くはない。それでもパーキープ率は67.735パーセントで4位にいるのはパッティングを中心として得意のショートゲームが活躍しているからだ。
初日は28パット、2日目は25パットをマーク。「シビアなパットを結構入れられています」。外せば流れが悪くなる、入れれば流れがよくなるというクラッチパットを沈めていることで、この順位をキープしている。
パッティングが好調な理由は「器具を使う練習をやめてロングパット中心の練習に変えた」ことが大きい。中島啓太が初優勝を遂げた「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」の最終日、中島のバッグを担ぐ島中大輔キャディと話す機会があった。「中島くんは、『ロングパットで入れるイメージを作っている』とおっしゃっていたんです」。島中キャディの言葉どおり、パッティング練習の7~8割はロングパットの練習に時間を費やしている。
ボールを下手投げのイメージで距離感を出すのが石坂流。「5メートル以上、10メートルとかの距離を上り、下りとかいろんな状況で入るイメージを出しています。カップがないところを狙う場合は、3球すべて同じところに止まるように意識しています」。今大会は難しい状況が多くベタピンにつきにくい。長い距離のパットを打たされることが多いが、「10メートル以上あっても“OK”の距離に寄るので楽ですし、ミドルパットも入るイメージが出ています」と大きな効果が出ている。
ちなみに短い距離のパットのときは3球使って練習するが、「3球とも同じところから打って、同じ振り幅ですべてカップインする意識でしています。アマチュアの方にもおすすめです」と、再現性の大切さを教えてくれた。
シード選手として2年目のシーズンだが前半戦はASO飯塚チャレンジドの25位タイが最高で、賞金ランキングは90位と出遅れている。「昨年の前半もよくなくてシードを獲れました。僕はスロースターターだと思っていますし、後半戦が始まる日本プロは楽しみにしていました」。昨年の経験から前半戦を終えても焦りはないという。「あと2日間、優勝というよりまずはトップ10に入ることが大事だと思います。まずは明日伸ばせるようにがんばりたい」。静かな気持ちで3日目を戦う。(文・小高拓)